画期的ながん治療薬「キムリア」の登場で「正しい報道を」と専門医が訴える。

みなさんお元気ですか?4月も後半に差し掛かりました。春の舞台で華やかに咲く桜の花も「染井吉野」から「八重桜」に主役が交代しました。

 「死を覚悟した患者さんに無駄な希望を与え、再び奈落の底に突き落とすことがないよう正しい情報をお伝え下さい!!!」。

 先週18日に開かれたメディアセミナーで、北海道大学の豊嶋崇徳教授が放った一言です。 

 メディアセミナーはノバルティスファーマ主催。今話題の新しい血液がん治療薬「キムリア」がテーマでした。キムリアは患者のT細胞を取り出して遺伝子を導入し、がんに対する攻撃性を高めたうえで、再び患者に投与するというこれまでにない画期的な治療薬です。他の治療法で効かなかったり(難治性)、受けても再発した患者さん(再発)が対象になります。新しい治療選択肢になるのは間違いないです。しかし、副作用も強く、投与したからと言ってすべての患者さんに効くわけではありません。そのため再発、難治性の患者さんなら誰でも投与が受けられるわけではなく、診療ガイドラインに沿って医師が厳密に選別した患者さんのみが投与可能になります。

 とかくこの種の画期的な治療法、治療薬が登場するとメディアは画期性と明るい側面のみにスポットを当てて報道しがち。その結果、発売と同時に急速に臨床現場に広がり、不幸な有害事象が多発するというケースが珍しくありません。

 それだけに豊嶋教授の一言はズシンと肚に響きました。

長所のみを過剰に報じて煽っておいて何か問題が生じたら今度は企業と医療機関を叩く。そんな無責任なジャーナリストにならないよう私自身、十分、注意しなければならないと、気が引き締まる思いです。キムリアは5月の薬価収載後、発売される見通しです。引き続きウオッチしていきます。

 写真はメディアに重い一言を放った北大の豊嶋教授。それではみなさま、素敵な一週間をお過ごしください。

 

 

 

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