武田薬品のシャイアー買収会見で思ったこと。考えたこと。

はい!みなさん、お元気ですか?いや~、先週は武田薬品のシャイアー買収で持ちきりでした!

武田は日本時間8日午後15時過ぎ、買収交渉成功のリリースを出しました。その後、夜23時まで。電話によるカンファレンスコールをメディア向け=同時通訳有り1回、無し1回、投資家・アナリスト向け=同時通訳有り1回、無し1回、合計4本開きました。日本と海外別々にやったわけですね。そして、翌9日、武田の東京本社ビルで、記者会見を開きました。まずは、同社広報のみなさん、そしてクリストフ・ウェバー社長はじめ幹部のみなさま、お疲れ様でした!!

 この大型買収、前にもこのブログで取り上げましたが、私自身は心情的に前向きに評価したいです。しかし、記者会見の内容は、すとんと腑に落ちるものではありませんでした。これだけの大型買収ですから研究開発候補品が増えたり、領域が拡大するのは当たり前のことです。むしろ、今後、将来にわたって、いかに新薬を出し続けることができるのか?その視点での説明が必要なのですが、ほとんどありませんでした。有利子負債が買収資金3挑円、シャイアー内部2兆円、武田1兆1000億円で、合計6兆円を超え、これをどう解消するかも焦点ですが、「有利利子負債は徐々に小さくなる。また、売上高や利益が拡大するから、相対的に薄まる」という程度の説明でした。すっきり感がないです。

 記者会見の冒頭、社外取締役で、取締役会議長を務める世界第二位の日本初建設機械メーカーコマツの坂根正弘元CEOが舞台に立ったのは意外でした。今回の買収の意義を述べたわけですが、ひとつだけ違和感を感じました。

坂根氏はこう述べました。「製薬は知らない分野ではじめ戸惑ったのだが、問題点は基本的には同じだと認識した。すなわち総花主義、平均点主義、自前主義。そこからの脱却が必要と判断した」。確かに製薬企業は「我々は、生命関連商品を扱う企業。他の産業と一緒にしてもらっては困る」と長らく変革、改革を拒否してきました。違いばかり強調して「変わる」努力をしなければ世の中から取り残されるのは目に見えています。しかしながら、他の産業と「同じ」か、「違う」か、という単純な二元論に陥るのも危険で、そうなると本質が見えなくなる。「同じ」ところもあるし、「違う」ところもあるというのが現実でしょう。だから、問題点は他産業と「同じ」と断じて、何でもかんでも切り捨てて行くのもまずい。坂根氏の話の中で、捨てちゃまずいんじゃないか?と思うのは「自前主義」です。研究開発で自前主義がなくなり、他社から買いあさるばかりになったら、商社になってしまう。すべてとは言わないまでも、「自分たち自身で新薬を生み出すんだ!!!」と。そういう強い意志を持ち続けることができなければ、もはや製薬企業ではないです。

坂根氏の後、社外取締役の東恵美子氏もスピーチに立ちました。ウェバー社長は、買収のメリットしか強調しまでんでしたが、東氏は「リスクがない買収はありえない。しかし、これを好機ととらえないと株式利益を最大限生かしていないことにもなる」と話したのが印象的でした。

武田薬品の買収会見後、そのまま塩野義製薬の決算説明会に参加しました。塩野義は経営計画に沿って、実直に企業運営し、業績を上げています。久々に手代木功社長のスパッと切れのいい話しっぷりを聞いて、なんだかほっとしました。武田の買収については「我々とはビジネスモデルがまったく違うステージにあるので論評は難しい」としながら、原則論として「私自身の考えだが、とどのつまり製薬企業は、研究開発でモノを出し続けなければ成長は難しい。一時的に(買収で)時間を買っても、会社が大きくなれば、さらにそれを維持するためにパイプラインを強化しなければならない。それができなければ大きくなっても仕方がない」と話されました。

武田薬品のシャイアー買収はまだ色々、ありそうです。しかし、閉塞感を抱えながら、遅々として突破口を見つけられずにいた日本の製薬業界に一石を投じたのは確かです。いろんな角度から、いろんな方たちが発言し、分析し出しています。そういう意味で、武田はトップ企業でありながら、リスクを抱えながら新たな一歩を踏み出すフロンティアです。そこに誰も異論はないでしょう。

写真は武田薬品のシャイアー買収記者会見で、その意義を強調する取締役会議長の坂根氏(上段)、社外取締役 東氏(中段)、そしてウェバー社長(下段)。それではみなさん!素敵な一週間をお過ごしください!

 

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