26年度の薬価制度改革に向け、厚労省の中央社会保険医療協議会で論議が粛々と進行している。改定が医療用医薬品マーケットにどのくらいの影響を及ぼすかーー。大まかな傾向を占う薬価調査結果(25年9月分取引)の速報値は、平均乖離率(保険薬価と医療機関への卸販売価格の差=いわゆる薬価差)「4.8%」――。前回の「5.2%」より0.4ポイント縮小し、過去最低記録を更新した。病院や薬局が経営原資として”薬価差”を当てにする時代はもう終わったのだ。むしろ近年は、薬価より高く購入する“逆ザヤ現象”も明らかになっているくらいだ。4.8%という数値が

◆日本製薬工業協会の宮柱明日香会長(製薬協フォーラムにて)
当然だが医師も医薬品も、医療にとってなくてはならない存在であり、事物である。一方はヒト、一方はモノという違いはあるが、同じ医療現場で、それぞれが持つ能力を相互補完的に発揮して患者、家族を助けるという共通のミッションを担う、切っても切れない密接な関係にあるのだ。しかし、診療報酬、薬価改定に関して言うと、両団体の主張は微妙に異なる。
毎年恒例の「製薬協フォーラム」(日本製薬工業会主催)が11月27日、経団連会館で開かれた。講演会、懇談会の2部構成でいずれも盛況。医療保険制度改革、診療報酬、薬価制度改革論議が大詰めを迎える中、この会は毎回、“束の間の休息”の場となり、会場は終始和やかなムードに包まれる。。
講演会にはBNPバリバ証券のチーフエコノミスト、河野竜太郎氏が登壇し、

◆米国研究製薬工業協会(PhRMA)のアルバート・ブーラ会長(ファイザー取締役会長兼CEO)
米国研究製薬工業会(PhRMA)のアルバート・ブーラ会長(ファイザー取締役会会長兼CEO)【写真】が来日し、17、18の2日間に渡り高市早苗首相ほか政府高官などを訪れ、会談した。医薬品分野のイノベーションに力を入れるよう要請したという。ブーラ会長がCEOを務めるファイザーは9月末、米国のトランプ大統領との間で「革新的な新薬は最恵国待遇(MFN=米国外で最も価格が安い国)の価格で提供する」と合意形成している。10月10日には英国アストラゼネカ、11月6日には米イーライリリーとデンマークのノボノルディスクファーマも、

◆MSDのプラシャント・ニカム代表取締役社長、HPVワクチンの男性定期接種化を求める
MSDが男性を対象にしたHPVワクチンの定期接種化を強く訴えている。
HPVワクチンは主に女性を対象とする疾患予防ワクチンとして登場したが、その後、臨床試験を積み重ね男性にも適応を広げている。今年8月、4価(予防できるウイルスの型数)の「ガーダシル」に加え、9価の「シルガード9」も男性適応の承認を得た。
しかし、現在、国の予算で賄う定期接種の対象は子宮頸がん予防を目的とする女性のみ。男性は定期接種の対象になっていない。一方、海外に目を転じると先進国首脳会議(G7)のメンバー7か国のうち、日本を除く6か国は女性だけでなく、男性も対象にした定期接種プログラムを実施している。
こうした日本の現状にMSDは懸念を抱いている。同社のプラシャント・ニカム代表取締役社長は「HPV関連のがんや、疾患を予防するワクチンのアクセスが日本の男性に十分に与えられていないことは非常に残念だ。日本の定期接種化が遅れれば遅れるほど将来、取り返しがない損益につながる」(25年11月7日開催の記者会見)と日本政府に向け早期実施を訴えている。
25年末までが“締め切り”となっている政府の宿題(検討課題)「薬剤給付の在り方」で、個別項目に挙がっているのは①長期収載品②先行バイオ医薬品③OTC類似薬――の3点だ。つまり、この3点について医療保険給付の仕組みを変えるのか、変えないのかが焦点なのだが、現時点でのゼロ(変えない)、イチ(変える)予測は、3点どれも「ゼロ(変えない)」はない。厚労省が11月6日に開いた社会保障審議会医療保険部会【右写真】に提示した「論点」の書きぶりは、「イチ(変える)」が前提。どこまで踏み込むかは別にして前傾姿勢に満ち満ちている。【医療保険部会の資料はコチラをクリック】
政局の混乱もひとまず収まり、
後期高齢者と若年世代の医療保険給付と負担について衝撃的なデータが明らかになった。医療保険制度改革を前に、厚労省が10月23日の社会保険審議会・医療保険部会に提出した資料に盛り込まれている。

一人当たり医療費は高齢になるにつれて増えていくので我々、国民は「自己負担も高齢になるにつれて増えていく」と考えがちだ。しかし、厚労省の資料によると、自己負担が増えていくのは60台後半(65~69歳)まで。その年齢層をピークに70歳以降の世代は医療費が大きく増えているにもかかわらず自己負担が一旦、大きく下がり、それ以後も低めに抑えられている。右写真(厚労省の資料から抜粋、資料の22頁001584438.pdf)
要するに後期高齢者の医療費負担がその他の世代と比べて極端に低く、優遇されているのだ。厚労省は、自己負担割合が1割もしくは2割になっているほか、高額療養費の「外来特例」などが影響して、後期高齢者の負担が極端に低く抑えているのではないか、との見ている。
医療機関で処方してもらうより薬局で買った方が患者負担が安く済むOTC類似薬は何かーー。東大大学院の五十嵐中特任准教授【写真】が分かりやすい資料をまとめた。それによると、薬局購入の方が医療機関処方に比べ負担が半分以下に収まる疾患領域が多々ある。ただ、必ずしもすべての領域で薬局の方が安いわけではなく、医療機関処方の倍近く負担が跳ね上がる疾患領域もある。この資料は、五十嵐氏が欧州製薬団体連合会(EFPIA)が21日に開いたプレスイベントで公表したもの。現在、政府が検討しているOTC類似薬の給付見直しを実行に移すうえで、重要な資料になると思われる。
五十嵐氏がまとめた資料は「保険医療費

◆製薬協の宮柱明日香会長
首班指名(総理選出)前の与野党協議がダラダラ長引き、いまや「混戦」「泥沼」とも言える状態だが、医療、医薬品関連施策の審議会、検討会や業界活動はそれを横目に粛々と進んでいる。16日は26年度の医療制度改革に向け厚労省の社会保障審議会・医療保険部会(以下、医療保険部会)が開かれたほか、日本製薬工業協会の理事会があった。医療保険部会は「薬剤給付の在り方」がテーマー。製薬協の理事会後の記者会見には、宮柱明日香会長も登壇した。
夏の参院選後、政権の在り方を巡ってゴタゴタが続き事実上、国政が前に進まない「政治空白」がもう3か月近く続いている。それでも行政の審議会や、産業団体がしっかり動いているから国家は体裁を保っている。日本は世界的に見て、稀有な平和国家だとつくづく思う。でなければ、永田町(議会)の政治家がこんなに長く内輪もめに専念(?)できない。とまあれ次の医療保険、診療報酬、薬価制度改革の枠組みを決める年末の予算編成まで残された時間は2か月ほどしかない。
16日の医療保険部会では、ここ最近、注目を





