医薬品販売業務受託機関(CSO)が日本で産声を上げた98年から四半世紀経った。ご承知のようにコアビジネスは派遣MR(コントラクトMR=CMR)だ。移ろいやすく予測が難しい医薬品市場で、MRの一定数を「固定費」(自社雇用)から「変動費」(CMR)に切り換えれば経営を効率化できるーー。メーカー各社の大きな期待を背負って登場した。とはいえ過去25年を振り返るとCSO市場は決して右肩上がりではなかった。鈍化したり、再び伸びたりー。波があって平穏ではない。社会環境もクライアントニーズも刻々と変化している。CSO各社も新たな事業開拓に乗り出している。
エーザイの内藤晴夫代表執行役CEOが7日の記者懇談会で、早期アルツハイマー型認症(AD)の進行抑制薬レケンビ(レカネマブ)の成長戦略を示した。「我々はAD診断、治療の“旗手”。新しい道を切り開いていく」と意欲を表明、26年度に2.9億円、32年度に1.3 兆円の売り上げを見込んでいる。内藤CEOが言う通りエーザイはADの根本原因とされるアミロイドβ凝集体に直接作用する医薬品を初めて世に出したフロンティア(開拓者)企業だ。それは誰もが認めている。だからこそ越えねばならないハードルも多い。それを承知で、私は一国民としてエーザイに、新たにチャレンジして欲しいことをお伝えしたい。
ノボ ノルディスクファーマが国内で約30年ぶりの肥満症治療薬、ウゴービ皮下注(GLP-1受容体作動薬、セマグルチド)を2月22日に発売した。薬価収載が昨年11月22日付だったから「収載から3か月以内」という規定ギリギリ、満を持しての発売だ。同日開いた記者会見に、キャスパー ブッカ マイルヴァン代表取締役社長【写真】らが登壇。適正使用推進、安定供給確保に向けた取り組みを徹底する姿勢を見せた。新薬の発売記者会見は、企業にとって「晴れやかな舞台」になるはずだが、ウゴービの記者会見は、どことなくピリピリ感が漂っていた。最後の質疑応答も予定時間より5分以上早く切り上げられた。その後、マイルヴァン社長以外の役員は退席、いわゆる“ぶら下がり取材”には一切応じていただけず、以後の質問はすべてPR会社×××××を通じて行うよう指示を受けた。ジャーナリストとしては
医薬品、医療機器に次ぐ第3の治療技術としてここ数年、注目を集めている治療用アプリーー。PCやスマートフォンのアプリを通じて医師と患者を結び、双方に各種情報を逐次発信。患者の行動変容を促しながら、医師の生活指導を強化することで疾患治療に導くものだが、日本の医療保険診療で、どこまで浸透するか。現時点では未知数だ。製薬企業はどうするか?医薬品と並行して、自社のビジネスアイテムに取り込むか?それとも、医薬品の存在を脅かす新技術として行く手を阻むか?企業によって対応は異なっている。少なくとも医療保険での評価は、
ギリアド・サイエンシズ ジャパンのケネット・プライスティング代表取締役社長は19日、オンコロジー領域で2030年末までに売り上げの約3分の1とするグローバル戦略改革を示した。買収した米カイトファーマ買収によりCAR-T療法のグローバルリーダーに躍り出ている。加えて薬物複合抗体(ADC)のサシツズマブ ゴビテカン製剤「トロデルヴィ」の適応拡大を進めていくが、日本も同路線を踏襲し幅広いがん領域適応を目指す。
※この原稿は業界OB、大先輩「ShinOM」さんに書いていただきました!ストレートニュースですが、“精度”と“深み”そして“切れ”が違います。他媒体では読めない!是非!
24年度の薬価制度改革は製薬業界の要望が多数反映された。日本製薬工業協会の上野裕明会長は15日の記者会見で「ドラッグラグ・ロスの解消やイノベーションを後押しする第一歩。引き続き新たな“価値評価の仕組み”の議論を進めていく」と前向きに評価した。24年度は医療、介護、障害福祉サービス報酬の3つの改定が重なる“トリプル改定”の時期で、そもそも薬価にどれだけ財源が回るのか心もとない状況だった。しかも納入価と薬価の平均乖離率が約6%で過去10年で最低、引き下げによって発生する財源も少ない。そんな中で、なぜ制度改革に、これほど多くの業界要望が受け入れられたのかーー?財政面から考察する。