Posted on 10月 17th, 2025 by IDAKA

◆製薬協の宮柱明日香会長
首班指名(総理選出)前の与野党協議がダラダラ長引き、いまや「混戦」「泥沼」とも言える状態だが、医療、医薬品関連施策の審議会、検討会や業界活動はそれを横目に粛々と進んでいる。16日は26年度の医療制度改革に向け厚労省の社会保障審議会・医療保険部会(以下、医療保険部会)が開かれたほか、日本製薬工業協会の理事会があった。医療保険部会は「薬剤給付の在り方」がテーマー。製薬協の理事会後の記者会見には、宮柱明日香会長も登壇した。
夏の参院選後、政権の在り方を巡ってゴタゴタが続き事実上、国政が前に進まない「政治空白」がもう3か月近く続いている。それでも行政の審議会や、産業団体がしっかり動いているから国家は体裁を保っている。日本は世界的に見て、稀有な平和国家だとつくづく思う。でなければ、永田町(議会)の政治家がこんなに長く内輪もめに専念(?)できない。とまあれ次の医療保険、診療報酬、薬価制度改革の枠組みを決める年末の予算編成まで残された時間は2か月ほどしかない。
16日の医療保険部会では、ここ最近、注目を
Posted on 10月 10th, 2025 by IDAKA
自民党総裁に高市早苗氏【写真】が選出されたが、公明党やその他野党との調整が難航し首班指名が大幅に遅れている。首班指名(総理決定)の臨時国会は当初15日を予定していたが、20日以降にずれ込む可能性が出てきた。すぐに組閣しても年末まで残るところ2か月と少しかない。夏の参院選後、自民内部の紛争で政局が荒れに荒れた。新総裁誕生で少しは落ち着くかと思いきや、そうはらず今は野党との調整で揉めている。この間、山積する諸課題は手付かずのままーー。26年度の医療保険制度改革や、診療報酬・薬価制度改革にもかなりの影響が出るだろう。厚労省の関連審議会で議論は進めているが、政権の形、方針が
Posted on 10月 6th, 2025 by IDAKA

◆日本認知症学会理事の岩田淳氏(東京都健康長寿医療センター副院長)
日本イーライリリーが国内販売している早期アルツハイマー型認知症(AD)の進行遅延薬ケサンラ(ドナネマブ)は「アミロイドβ凝集体が除去できた時点で投与を完了できる」という最も大きな特徴に関してエビデンスを積み上げ続けている。承認前に実施した18か月(1年半)の臨床試験(TRAILBLAZER-ALZ2)で証明しているが、その後も続けていた32カ月の長期試験結果で、実証性をさらに高めた。日本認知症学会理事の岩田淳氏(東京都健康長寿医療センター副院長)は長期試験の結果について「投与をやめても効果が
Posted on 9月 30th, 2025 by IDAKA

経済同友会の新浪剛史氏が同会代表幹事を辞任した。本人からの申し出により、臨時理事会が受理した。
違法成分含有の疑いがあるサプリメントの購入を巡り警察の取り調べを受けたことから、すでに9月1日付でサントリーホールディングスの代表取締役会長を辞任している。経済同友会の代表幹事については、しばらく自粛し、状況が落ち着いたら続投したい意向を見せていたが、本日30日付で辞任となった。警察の取り調べがどのくらい進展しているのか、いつ終わるのかー。全くわからないままサントリーと経済同友会のトップを降りた。2014年から約10年の長きに渡り、経済財政諮問会議(内閣府所管)の議員を務めているが、こちらはどうなるかー。現時点で内閣府は何も発信していない。自民党の内部紛争で政局が荒れる中、財界の存在意義、あり方も問われ揺らいでいる。
新浪氏の問題の発端は、同氏が海外で
Posted on 9月 26th, 2025 by IDAKA

◆日本イーライリリーの片桐秀晃氏(研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部本部長)
日本イーライリリーが早期アルツハイマー型認知症の進行抑制薬(以下、AD薬)「ケサンラ」(ドナネマブ)で副作用の発現を抑える新たな用法用量の承認を取得した(8月25日付)。今後、新規患者は新しい用法用量で治療を受けることになる。より安全に治療を受けられるようになったのだから、患者にとって朗報だ。試験を実施し、承認を得た日本イーライリリーに敬意を表したい。そのうえで専門ジャーナリストの私がケサンラで注目しているのは、
Posted on 9月 18th, 2025 by IDAKA

◆日本製薬団体連合会の安川健司会長(左)と日本製薬工業協会の宮柱明日香会長(右)
政局は自民党の内部紛争が続きグチャグチャ。「あははは(笑)。何やってんだ日本は。もうどうしようもないね」と、国際政治に見放されないか非常に心配だ。
ともあれ政局の混乱をしり目に、26年度の薬価制度改革に向けた議論は粛々と進行している。9月17日の中央社会保険医療協議会薬価専門部会で2回目の業界意見陳述があった。
この席で製薬業界は
Posted on 9月 10th, 2025 by IDAKA

◆新薬「エアウィン」への期待を語る久留米大医学部の福本義弘教授=MSD製薬主催のメディアセミナー(9月2日)にて
MSD製薬が肺動脈性の高血圧症(PAH)を対象とする治療薬「エアウィン」(一般名ソタテルセプト)を発売した。PAHは指定難病でエアウィンは希少疾患用医薬品だ。国内の対象患者数は約5000人と多くはないが、この薬は既存薬にない全く新しい作用機序を有している。ここ数年、事業説明会のたびに「学会のガイドラインを塗り替える新薬候補品だ」(白沢博満代表取締役上級副社長 グローバル研究開発本部長)と紹介していた。今後、臨床現場で順調に浸透し、治療効果を実証すれば、MSDのレピュテーション(Reputaion)は上がる。当然、それは収益にプラスに働く。しかし、私が注目しているのは、
Posted on 9月 5th, 2025 by IDAKA

◆沢井製薬の木村元彦社長
沢井製薬がデジタル・医療機器事業に挑戦、保険診療で使える減酒治療補助アプリ「HAUDY(ハウディ)」(キュア・アップ製)の販売(9月1日)を開始した。
医療用医薬品ビジネスは薬価の毎年改定、頻繁なルール改定があって先読みが難しい。画期的な新薬や新規モダリティによる革新的な技術を連続的に生み出さないと、今後、事業収益は先細りし、社会的な存在感も希薄化する。そんなこともあって、ここ数年、製薬企業が医薬品以外の新事業に乗り出し、将来の収益源として開拓する動きがある。
沢井のハウディ販売はそうした動きのひとつだ。製薬企業としては高血圧治療アプリを販売す
Posted on 8月 29th, 2025 by IDAKA
製薬企業の医薬情報担当者(MR)の国内総数は2015年以降、減少傾向が続いている。【ピーク時6万人台から4万人台へ】新薬のモダリティ(特性種別)や、業界慣行が激変したほか、デジタル化で情報提供ツールが多様化しているためだ。MRという職能を全うするのは簡単ではない。たゆまぬ自己研鑽、高度な知識、コミュニケーション能力が求められる。会社に命ぜられるまま、杓子定規のような対応しかできないMRは、そのうち「別にヒトである必要はない。AI(字人工知能)でいい。従ってあんたは来なくていい」と一蹴され、淘汰されるだろう。
一方、疾患に苦しむ患者と直接向き合う医師は、薬物治療に関する悩みが深く幅広い。おそらく現場MRなら誰しも一度は、医師から思いもよらぬ質問を受け、立ち往生したり、言葉に詰まったりした経験があるだろう。ある種の窮地に陥るわけだが、そこをどう乗り越えるかー。
8月25日に開かれたMRフォーラム(MR認定センター)に演者として登壇した医師から、
Posted on 8月 22nd, 2025 by IDAKA

◆中央社会保険医療協議会イメージ写真
日本医師会の幹部が公的な場で製薬業界の代表に強く“苦言”を呈する場面に久々に遭遇した。
中央社会保険医療協議会の部会で、長島公之委員(日医常任理事)が、日本の薬事、薬価制度に関する業界意見について「批判やマイナス点の指摘ばかり。例えば『このままだと