【11月6日発】もうすぐ登場!リリーの早期AD薬ケサンラ  エーザイのレケンビに続き国内2つ目 結合ターゲット、使い方の違いが実臨床でどう評価されるか?

 

◆日本イーライリリーのメディアセミナー(10月29日開催)風景。古和久朋神戸大教授・認知症予防推進センター長(右)、片桐秀晃日本イーライリリー・ニューロサイエンス領域本部本部(中)、小森美華同医薬部長(左)

 日本イーライリリーが9月に承認を得た早期アルツハイマー型認知症の進行抑制薬ケサンラ(ドナネマブ)が年内に発売となる見通しだ。現在、厚労省の中央社会保険医療協議会が医療保険で支払う薬価と、最適使用を推進するためのガイドライン(最適使用推進GL)を審議しており、近く結論を出す。日本では同じ適用でエーザイとバイオジェンが共同開発したレケンビ(レカネマブ)が先行承認され、昨年末から臨床現場で使われている。ケサンラが登場すれば国内で2つ目の薬剤となる。 

 ケサンラ発売後、両薬の使い分けはどうなるのかーー。医療現場、患者、家族、国民の関心は、これまで以上に高まっていくだろう。当然、情報発信するメディアの責任も重くなる。発信の際、最も注意しなければならない点が2つある。ひとつは、いずれもアルツハイマー型認知症の「進行を遅らせる」薬であって、完全に「治す」薬ではないという点。そしてもうひとつは症状が軽い「早期」のみが対象で「中度」「重度」の患者には使えないという点だ。この点を軽視もしくは曖昧にしたままの“過剰発信”は、患者、家族、国民に誤解を与え、医療現場に混乱をもたらす。

 さて前置きはこれくらいにして今回は、2つ薬剤の特性についてレポートする。

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【11月1日発】大塚ホールディングス トップ交代 井上新CEO トータルヘルスケアのグローバル化 米国でスタートへ 

 大塚ホールディングス(大塚HD)、大塚製薬は、1031日開催した両社取締役会において、202511日付で大塚HDの代表取締役社長兼CEOに井上眞代表取締役COO【写真左】が昇格、樋口達夫代表取締役社長兼CEOが取締役相談【同右】に就くトップ交代を決議した。樋口氏は大塚製薬の代表取締役会長から代表権のない取締役会長になる。井上氏は、31日の記者会見で医薬品事業とニュートラシューティカルズ(NC)事業を合わせたウェルビーング事業としての発展を目指すとした。また、大塚の独自性をさらにグローバルにも展開するとし、すでに米国での両事業間の調整に乗り出したことを明らかにした。※この原稿は、業界OB「ShinOM」さんにご執筆いただきました。

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【10月30日発】 アステラス製薬は、どうやって研究者にAI活用、普及を促したか、「工夫」の一端を紹介

 

◆志鷹義嗣専務担当役員(研究担当)

 アステラス製薬が5年ほど前から積極的に進めていたAI(人工知能)を使った創薬(以下AI創薬)で成果が出始めた。AIとロボット技術をフル活用したSTING阻害薬(自己免疫系疾患治療薬)「ASP5502」が従来にないスピードで9月に第Ⅰ相(PⅠ)試験入りを果たした。ただ、ここに至るまで、いくつかの“工夫”を凝らしている。「単にAIを作って導入しただけでは研究者は使わない」(志鷹義嗣専務担当役員・研究担当)。「AIで化合物をデザインして、研究者に渡しても“こんなの僕はやりたくない”となる」(角山和久デジタルXリサーチX)――。要は、生身のヒトであって実経験を積んだ研究者とAIをいかに近づけ、作業を融合させるかが重要なのだ。その点、AI創薬に取り組む同業他社も同じだろう。では、アステラスは具体的にどんな工夫を凝らしたのかーー。

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【10月25日発】日本の「医療DX」はもはや「バズワード」! 国民、患者にメリットが伝わらないと進まない

 

◆慶応大医学部の宮田裕章教授 「医療DXは患者に見えるようにメリットを可視化すべき」と話す

 一般、専門メディアで、ここ数年、「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を聞かない日はない。新型コロナ感染症のパンデミックを機に「今後、急速に進む」と煽るような発信も多い。とりあえず、医療DXと言っておけば、何か発信している気になるのだろうか。かつて医療、製薬業界でEBM(Evidence‐Based Medichine)という言葉が流行った。しかし、時の経過ともに、空洞化し、バズワード化し、うわっ滑りし、やがてメディアは乱用を止めた。散々使って、使い飽きたから、読者の目を引き留めるために次の流行語、バズワードに移ったのだ。EBMは大事で、当然、いまも医療用語として存在する意義、価値は十分ある。しかし、バズワード化したら意味がない。本質からどんどん離れていくからだ。新用語のバズワード化を避けるには一体、誰のため、何のためのものかーー。そこを常に問い続ける必要がある。今、各種メディアに溢れる「医療DX」も、かつてのEBMと同じ道を辿るのではないかと危惧を抱いている。

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【10月22日発】中外製薬 患者の声を活かすイベント“3時間“ 

 

◆中外製薬の奥田修代表取締役社長CEO

 中外製薬が先週10月16日に開いた患者の声を聞いて事業活動に活かすイベント「PHARMONY(ファーモニー) DAY2024」に参加した。同社は患者との対話イベントを20年から5年連続で開いている。今回は社員の取り組み発表を加えるなど内容をさらに拡充。名称を新たにしての開催となった。イベントは予定時間内に収まらず、3時間近く続いた。奥田修代表取締役CEOが終始、席を離れず患者団体の代表、社員の発表を聞き、直接対話を交わす場面が印象的だった。各種団体主催の患者イベントには、これまで何度かお邪魔しているが、いずれも「一方通行的」な硬直感があった。しかし今回、中外が開いたイベントは、社長と患者、社長と社員が相互に情報交換する形式で、会場は私が過去の感じたことがない「融合感」に包まれていた。奥田社長は「他の会社、ステークホルダーも是非、真似をして欲しい」と話していた。しかし、どうだろう。3時間通しのイベントで、患者や社員と直接、向き合えるトップが今、日本に何人いるだろうか。

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【10月17日発】 医薬品価格交渉 “グレーゾーン”への切り込み進む チェーン、交渉代行業者に“行動変容”をもたらす可能性

 

◆厚労省の医薬品流通改善懇談会

 医療用医薬品の“単品単価交渉”が今後、より徹底されるだろう。長年の放置されてきた“グレーゾーン”にも次々にメスが入っている。

 厚労省が先週10月10日の医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会(以下、流改懇)に提出した資料「単品単価交渉の解釈について」で、これまで許容範囲なのか、そうではないのかはっきりしなかった“単品総価” にノーを突き付けた。また、価格交渉は地域、配送回数、購入金額などを総合的に勘案して行うべきことを明記。単に購入量だけを理由に値引(スケールメリット)を迫る行為を間接的にけん制した。スケールメリットのみを追求しているチェーングループ(同一法人)、ボランタリーチェーン(複数の法人格、事業主で構成する組織)や、価格交渉代行業者(買い手から卸との交渉を請け負う業者)があるとしたら、行動変容を強いられるだろう。

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【10月15日発】MeijiSeikaファルマ “サイエンスコミュニケーション”を呼びかけ 「コスタイベ」機にワクチンの「情報発信」を問う 

 

◆MeijiSeikaファルマの小林大吉郎代表取締役社長

 MeijiSeikaファルマが新型コロナ感染症適応の次世代mRNAワクチン(自己増幅型=レプリコン)「コスタイベ筋注用」について9月25日と10月8日の2回に渡り、記者説明会を開いた。ネット上に虚実ない交ぜの情報が拡散し、いくつかの団体が医師や医療従事者の名を連ねて接種中止を求める運動を展開している現状に危機感を抱き、正確な情報提供に全力で取り組んでいる

 コスタイベは世界に先駆けMeijiSeikaファルマが日本で初めて承認を得た新技術を応用したワクチン。毎度、海外の後塵を拝し、メディアや国民から「日本はなんでもっと早く新薬やワクチンを開発できないのだ」と散々、批判を浴び続けてきた製薬業界にあって、コスタイベの世界初、日本承認は快挙だ。しかし、今度は逆に「日本初承認ということは未知なことがあるということ。だからこそ不安なのだ」という声が出てきた。ネット上の情報混乱、接種中止を求めるネガティブキャンペーンの根底には、不安から来る忌避感があると思われる。小林大吉郎代表取締役社長は「新しいワクチンに不安を抱くのは健全なことだ。それに対して正確な情報を提供する義務が我々にはある。今後、こういう場(記者説明会など)を何回も設ける。是非、サイエンスコミュニケーションを考えて御発信いただきたい」と参加メディアに訴えた。

 ネガティブキャンペーンはエスカレートしている。10月から主に65歳以上を対象とする定期接種がスタートしたが、医療機関が注文をしようとすると不当な手段で阻止したり、その医療機関を電話やSNSで誹謗中傷したりする過激な行動も出ているという。小林社長は「これは、もはや破壊行為、製造販売業者として看過できない。法的な手段を取る」との態度を示した。

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【10月9日発】大塚のレキサルティ  アルツハイマー病の随伴症で正式承認  適応外の抗精神病薬に影響も※同日17時43分に一部修正

 

◆大塚製薬の井上眞代表取締役社長

 大塚製薬が抗精神病薬「レキサルティ」でアルツハイマー型認知症(以下AD)に伴う問題行動、心理症状(アジテーション)治療の追加承認(9月24日付)を得て医療機関に本格的な情報提供活動を開始した。同剤の新効能は「統合失調症」「うつ病・うつ症状」に次ぐ3つ目。日本で初めてとなる。ADに伴うアジテーションに対しては、これまで医師の裁量で、他の抗精神病薬が適応外で処方されるケースが多かったが、今後、正式に適応承認を得たレキサルティに置き変わっていく可能性がある。

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【10月7日発】J&J “医薬品”と“医療機器”の技術融合 膀胱がん治療で画期的な新システム、治験順調

 

◆ジョンソン&ジョンソンのジョン・C・リード エグゼクティブ・バイスプレジデント(右)と関口修平代表取締役社長(左)

 ジョンソン&ジョンソン(以下、J&J)が4日、医療用医薬品の国際戦略と日本事業の現状を説明する記者会見を開いた。医薬品とデバイス(医療機器)を組み合わせた新たな治療薬送達システムの国際臨床試験が膀胱がん領域で順調に進展していることや、9月に日本で承認を取得した完全ヒト型二重特異性抗体ライブリバントで肺がん領域に初めて参入、薬価収載までの間、患者に無償提供していることなどを紹介した。J&Jが日本で医薬品事業の記者会見を開くのは数年ぶり。

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【10月1日発】世界初の新型コロナワクチン「コスタイベ」が日本に登場!Meijiファルマが「非科学的情報」をけん制

 

◆MeijiSeikaファルマの小林大吉郎代表取締役社長

 新型コロナワクチンの定期接種(主に65歳以上対象、費用は一部自己負担)が今日10月1日からスタートする。これを機に、新しいタイプのmRNAワクチン「コスタイベ」が世界に先駆けて日本の臨床現場に登場する。既存のmRNAワクチン(国内3種)は、免疫を誘発するたんぱく質(抗原)生成のmRNA(設計図)を接種するというシンプルな仕組みだが、接種したmRNAが長持ちせずに消滅してしまう。一方、コスタイベは新技術を応用し、mRNAがすぐには消滅せず一定期間、自己増幅する。臨床試験によって既存ワクチンより少量で効果を発揮、副反応は同程度で、持続期間も長いことを証明した。既存のmRNAとは区別し、次世代mRNAワクチン、レプリコン(自己増幅型=Salf‐amplifying)ワクチンなどと称される。製造販売元のMeijiSeikaファルマは先週9月25日、記者説明会を開催、コスタイベの開発経緯、意義を強調した。

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