医療保険で支払う「医薬品価格」の議論が見えにくい!

  みなさんお元気ですか?

 22年4月の薬価制度改革に関する議論が年末にかけて佳境を迎えます。

 今回はコロナ禍の緊急事態宣言、自民党総裁選、衆院選などの影響もあり、公的な議論の回数が極めて少ない。中央社会保険医療協議会薬価専門部会のことですが、従来なら改定前年の4~11月に10回程度は開かれるところ、今回は今日11月29日時点で、わずか6回しか開かれていない。

 さすがに今週は12月1日と3日に会合がセットされましたが、遅れを取り戻すには、今後年末までギュウギュウ詰めの予定が組まれることになるでしょう。

 ただ、もしかしたらもう公的な会合の意義が薄れているのかもしれない、とも考えます。表ざたにならない水面下の交渉、議論が主流になれば、公的な会合はもはや「セレモニー」でしかない。当然、回数も減る。そうならないことを願います。議論はなんでもオープンに。なかんずく社会保障に関するテーマは薬価改定も含め、国民、一般に開かれていることが大事だと考えます。

 というわけで今週はこの辺で。

 写真は久々に見た日の出!寒くなってきました。みなさまお身体に気を付けて。素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

 

日医、横倉前会長の「コロナとかかりつけ医」論、岩波新書から発刊

 みなさんお元気ですか?21年もあとひと月ちょっと。9月まで約1年半はコロナ禍、緊急事態宣言で、毎日に大きな変化がなかったからか、今年はとくに早く感じます。

 さて今回は書籍の紹介。日本医師会の横倉義武前会長著、「新型コロナと向き合うー『かかりつけ医』からの提言」が岩波新書から発刊されました。実は、まだ斜め読みでしっかり読めてないのですが、情報は速さも大事なのでお伝えしたいと思います。

 横倉氏は2012年から20年6月まで4期8年間、日医会長を務めました。今回、発刊された著書は、横倉氏が医会長として新型コロナとどう向き合ったか。20年1月から6月までの半年間の活動をドキュメント形式で書き記しています。このような類の書籍や記事にありがちな自分を必要以上に大きく見せようとする「武勇伝」や「手柄話」に陥らず、うまくいったことも、いかなかったことも、あるいは現時点において社会的にも失敗、判断ミスとされていることも、自らが日医会長として携わった政策であれば、包み隠さず記しているように思います。遠慮がちというか、あまり多くはないのですが、ところどころ反省(?)らしき記述もあり、だからこそ本書は今後の政策課題を照らす提言にもなり得ると。。。私はそう受け止めています。

 中でも第3章の「『かかりつけ医』の果たすべき役割」では、横倉氏が理想とする「かかりつけ医」像が語られ、おそらく今後も発生するであろう新興感染症といかに向き合うか。自らの問題意識も述べられています。以下、3点、抜粋します。

 「かかりつけ医が一層、普及・定着していれば、新型コロナ感染症についても相談、検査、診断と治療、療養といった一連の医療を切れ目なく、適切かつ円滑に行えたのではないか」(226頁)

 「今回のような感染症パンデミックにおけるワクチン接種において、かかりつけ医がどのように関与していくことが求められるのか(略)、今後考えていく必要があります」(229頁)

 「感染症パンデミックなどの緊急時におけるかかりつけ医の関わりについて(略)さらに考えていく必要がある」(235頁)

 コロナ禍で、医師会幹部は、コロナの危険性を認識させるため国民に何度も何度も「警告」を発しました。しかし、コロナ禍で「かかりつけ医」は何をするのか、医師会は組織としてどんな取り組みをするのか。不安で一杯の国民に寄り添う発信はほとんどなかった。私は、医師会が国民に「安心感」を与えてくれることを期待していましたが、それは叶わなかった。

 そう考える私にとって横倉前会長の提言は「かすかな光明」となり、明日の希望となるのであります。

 写真は日本医師会の横倉義武前会長。それでは皆様、少しずつ冷えてきます。お体に気を付けて。素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“賞味期限”が近い薬価の「調整幅」。まずはその意義、機能、影響について公正なる議論を!!!

 

   みなさん、お元気ですか?先日、気の早い商店からクリスマスミュージックが聞こえてきました。「ああ、また1年が終わってしまうんかあ」。。。と焦燥感にかられました。まったく時間、歳月ってやつあ~、人々の営み、計画なんて、てんでそっちのけです。情け容赦なく一方的に、先へ先へと流れていきます。

 さて先週11月8日、財務省が、同省の基幹会議というべき財政制度審議会に「薬剤費の予算統制」という資料を提示しました。まあ、毎度のことながら「医療保険で支払う医薬品の価格を抑えるべし」と主張しています。財務省は日本国の金庫番ですから、結局、薬だって安ければ安い方がいい。だから財務省が「薬剤費の予算統制」というのは、当然と言えば当然のことです。ただ、今回は、薬価の決め方、改定の仕方を根本的に見直すよう提言している。その点で、いつもより一歩、踏み込んでいると言っていいかも知れません。

 医療保険で支払う医薬品の価格は定期的に見直しています。メーカー、卸が医療機関や薬局に販売した価格を基に見直すのですが、2%以内だったら値引きが認められています。例えば保険薬価100円の薬を98円で売っても、保険薬価は100円で据え置きとなります。2円分は医療機関、薬局の収益(薬価差益)となります。この2%を薬価制度では「調整幅」と呼んでいます。公的に認められた“薬価差益”といってもいいでしょう。

 しかし、今回、財務省が作成した資料では、このまま薬剤費が伸びるのであれば「調整幅の廃止も検討せよ」と訴えています。

 そもそも「調整幅」って一体、なんなのか?なんのためにあるのか?2%のまま今後も続けていっていいのか?実は、ずっと前から、曖昧なままです。ただ、もし真正面から議論することになれば、簡単に答えは出ず、収拾がつかなくなる。そう考えて、敢えて曖昧なままにしておいた。しかし、ここに来て財務省が、正式に検討会課題にするよう提案したので、波紋を呼びそうです。

 さきに厚労省の審議会(中央社会保険医療協議会)も、まさに「調整幅の在り方」を議題に載せました。そこに財務省が、おいかぶせるように乗っかって、本気で議論するよう求めた格好です。

 万物流転。時間は流れる。時代も人も技術も変わる。制度だって不動は許されない。ある程度、継続するにしてもやはり賞味期限ってもんがあるはずです。薬価の「調整幅」も、そんな時期を迎えたのではないでしょうか?

 写真は紅葉、もう1週間もすれば、もっと一面に広がるでしょう。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。

 

【お知らせ・IQVIAセミナー 視聴可能期間21年12月8日まで】

どうなる?新政権下での薬価制度と医薬品のこれから

 

 

 

 

 

 

【お知らせ】次のブログ更新は明日16日(火)となります。

 みなさんお元気ですか?毎週月曜更新の薬新カフェ。今回は都合により明日16日(火)にさせていたさきます。よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

IQVAセミナーで講演、岸田新政権で薬価制度、医薬品産業はどうなるか?

 

 みなさまお元気ですか?9月までの騒動は一体なんだったんだ?そう思うくらい新型コロナがすっかり身を潜めてしまった今日この頃。いかがお過ごしですか?

 緊急事態宣言が明け、衆院選も終了。岸田新政権の「新しい資本主義」が本格的に始動します。とはいえ「新しい資本主義」って一体なんなのか?具体的な姿はまだ見えてきません。

 まあ、ある種のキャッチフレーズですから。。。。そんなもんかもしれません。

 岸田首相からすれば「『聞く力」を存分に発揮するから、旧来の政策の枠組み、発想に囚われず議論しましょう!」と。そんなポジティブなメッセージなんだと、勝手に受け止めております。

 さてそんな最中、今回は、みなさまにご報告です。IQVAソリューションジャパン主催のセミナーで10月26日(火)に「新政権と薬価制度改革の行方」をテーマに講演しました。その動画が12月8日まで配信されております。動画は、新日本戦略研究所(INES)が提示した薬価制度改革案の取りまとめ役、法政大学の小黒一正先生(経済学部教授)のご講演との2本立て。最後に小黒先生の御意見、構想をより分かりやすく解説していただくため、僭越ながら私と小黒先生で対談形式のようなやり取りもさせていただきました。収録日時は衆院選より前ですが、講演で触れた情勢認識、見通しに大きな狂いはなく、問題なくご覧いただけると思います。ただ、私のカミカミの滑舌、勉強不足による事実誤認がございましたら、そこはまだまだ発展途上の不束者ゆえ。寛大なるお心で、何卒、ご容赦ください。

 日本の薬価制度は製薬ビジネスの要。しかしながら、このところ、新薬の保険価格を維持する「新薬創出加算」の対象は狭められるわ、特許が切れた医薬品(長期収載品)の保険価格は叩かれるわ、特許切れ後に安価で出てくる後発品も追い込まれるわ、これまで2年に1回だった引き下げが、毎年実施されるわで「痛いこと」続きです。

 ウィズコロナそして岸田新政権誕生は、どうあれ「時代の変わり目」です。薬価制度改革もここで一度、立ち止まって根本的な課題を洗い直し、修正すべきは修正。壊すべきものは壊す。そんな巨視的かつ勇気ある取り組みが必要な時期ではないでしょうか?健全なる議論が大いに進むことを願ってやみません。

 写真は近くのカフェで。地球儀を見ていたら“妄想力”が強まり、これまで誰も足を踏み入れたことがない「未開の楽園」を探しに行きたくなりました(笑)それではみなさま、素敵な一週間をお過ごしください。

【IQVIAセミナー】

どうなる?新政権下での薬価制度と医薬品のこれから

 

 

 

 

 

製薬産業に好機到来!「主張すべきは主張すべき」

 

 みなさん、お元気ですか?

 コロナ禍そして岸田政権発足後、初の衆院選。自民党が単独過半数を維持し、引き続き公明党との連立政権が続きます。ただ、自民党は議席数を減らし、しかも多くのベテラン議員が落選しました。

 感触から言って、今後、安倍晋三元首相時代から続く強烈な「官邸主導」の政策運営は若干弱まるのではないでしょうか?少なくとも、今回の選挙結果から、国民はこれまでの「官邸主導」をそれほど評価していないことがわかった。というか、ずっと「官邸主導」で、かなり強引な政策運営を推し進めていながら、コロナという新興感染症を前にしたとたん、誰が責任者で、どこで誰が政策を練っているのかわからない「目くらまし作戦」「エンマク(煙幕)体制」を敷いて、これといった打開策を打ち出せないまま、右往左往していた。その様子を見て、国民は無責任で頼りない印象を抱いたのは間違いない。まあ毎度のことなんですが、自民党が単独過半数を獲得して「勝利」というより、野党の存在感が薄く「弱すぎる」ということなんでしょう。

 で製薬産業への影響がどうなるか?安倍、菅政権は2016年末の4大臣合意以降、薬価制度への切り込みを強めています。しかも、官邸主導で、いきなり上から厳しい政策を落っことす。市場拡大再算定、長期収載品薬価を引き下げるG1、G2ルールの導入、新薬収載時の四半期改定、中間年改定。。。いずれも業界の要望、予想より厳しく切り込まれました。

 一方、新型コロナの感染拡大で製薬産業への注目度、期待感は高まっています。

 そんな中、今回新たに岸田文雄新政権がいよいよ船出する。ご承知の通り岸田首相は「新しい資本主義」をキャッチフレーズに掲げ、自身の「聞く力」を重視して政策運営を進めていくと宣言しています。製薬産業界とっては、防御一辺倒から脱し、主張すべきは主張する、よい時期ではないか。そんなふうに私は考えます。

 ペンディングになっていた21年の薬価改定論議もいよいよ動き出します。舞台となる中医協薬価専門部会は、定例の水曜日3日が休日なので、5日に開かれる見通しです。

 それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

 

日本製薬工業協会が13年ぶりにHPリニューアル、「国民、患者への発信」を意識した新画面に!

 

 みなさんお元気ですか?今週は薄曇りでスタート。新型コロナの感染が急激に鈍化し、びっくりですね。理由もわからないから、なんも言いようがないですが。。。

  なにはともあれ、「危ない!」「危ない!」「死ぬるぞ!」「死ぬるぞ!」という脅しで溢れかえった風潮が収まってホッとしています。勿論、感染対策は十分心がけています。別に誰かに恫喝されなくても。。エチケットですからね。

 さて新薬メーカー73社が加盟する日本製薬工業協会が9月1日にホームページをリニューアルしました。新型コロナ感染拡大で、製薬企業への期待と関心が高まる中、時宜を得た対応だと思います。

 ただ、HPリニューアルは08年以来、実に13年間ぶり。研究型産業でありながら、これまでよく放置してきたなあとも思います。

 一般的に業界団体のHPって、会員間の情報交換や、連絡事項を発信する場という要素が強く、殺風景でつまらない画面が多い。しかし、もう内輪だけで理解しあっればいいという時代は終わり。国民、患者の情報収集欲も、収集力も高まっているし、業界への期待感も大きい。製薬協には、今回のHPリニューアルを機に是非、国民、患者への発信力を高めて行って欲しいです!

 写真は国会議事堂。10月31日は衆院選挙です!選挙後、岸田政権の「新しい資本主義」の姿も徐々に見えてくるでしょう。それでは皆様、素敵な1週間をお過ごしください

 

衆院の代表質問で「ぐっすり睡眠」を貪る議員が大量発生!!!日本は大丈夫か!?

 みなさんお元気ですか?なんだか時として肌寒ささえ感じる今日この頃です。

 さて岸田文雄新政権が発足。「新しい資本主義」をテーマにした政策運営が始まります。これが緊縮財政路線なのか?積極財政路線なのか?どんな形で産業育成を考えているのか?まだよくわからない。選挙前ですから、当然ですね。岸田政権の姿がくっきり見えるようになるのは10月31日の衆院選後、与野党のパワーバランスがはっきり定着してからでしょう。

 そういう意味で、今度の選挙は私たちの今後を決める大事な選挙です。各候補者の政策、実績、人柄をしっかり見極めてしっかり投票に臨みましょう!

 てなことで先週11~13日、岸田首相の所信表明を受けた各党の代表質問があり、その模様がTV中継されていたので、出先で何気なくその動画を見ていると、なんと衆院議員席の先生方!寝てる、寝てる(笑)テレビカメラが入って中継があるのを知っていながら、これだけ堂々とお眠りあそばされているとは。。。しかもウトウトどころか、本気でがっちり「睡眠」に取り組んでおられる。だはっ。なんか力のない笑いが出ました。

 写真は11日、代表質問初日の衆院議員席。ぐっすり寝ている先生方は次の選挙大丈夫なんでしょうか?人ですから、そりゃ居眠りぐらいはするでしょう。しかし、ここまで堂々と本腰入れて寝られてしまうと、言葉を失ってしまいます。

まあなんとか気を取り直して次の選挙の一票で意思表示します。

【お知らせ】MEジャーナルで先週、臨時速報を発信いたしました。詳細は以下。

◆【臨時速報10月16日付】
岸田政権の「新資本主義会議」に塩野義の澤田副社長
「感染症対策」「女性リーダー」「デジタル化」で起用

 

22年4月の薬価制度改革、ほとんど議論してないんですけど。。。

 

 みなさんお元気ですか?コロナの感染拡大が急激に弱まり、世の中全体が「あれっ?」って感じになっていますね。こんなこともあるんですね。やっぱウイルスって謎が多い。。。つかみどころのないお方ですわ(苦笑)

 で岸田新政権が発足、この後、衆院選もあります。岸田新総理は「新しい資本主義」とかいうテーマを掲げていますが、まだ何が何やらまったくわからない。選挙結果もどう出るかわからない。そんなこともあって今後の政府の動きも読みずらい。

 実は22年4月、製薬業界にとって影響が大きい2年に一度の薬価制度改革があるんですが、まったく議論できていない。議論の舞台である厚労省の審議会(中央社会保険医療協議会・薬価専門部会)も前回の8月4日以降、開かれていない。いつもなら9、10月は、どこをどう改革するか、各論を議論している時期なんですが。。。。このまま大した議論はなされず、年末になだれ込む可能性も大きくなってきました。その際、改革の内容は「議論が足りないから小ぶり」となるか?それとも「議論はしていないけど官邸主導でやることはやる」とバッサリ切るか?現時点で予測しても、2つの極論にしかならない。しっかり取材を続けます。

 写真は近くのカフェで。テラス席が気持ちのよい季節になりました。古本屋さんで学生時代に読んだロマン・ロランに遭遇。「そうかあ!そうだったのかあ!」。おっさんになったればこそ、理解できる新たな感動がありました!やっぱ活字ちゅうのはいいもんです。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。

 

【お知らせ】講談社、現代ビジネスに「高血圧の治療用アプリ」について一般向けの記事を書きました。どなたでも無料でお読みいただけます。お時間がございましたら是非、お読みください。

もう「血圧の薬」は時代遅れ?「スマホアプリ」が激変させうる高血圧治療の未来

 

新型コロナのワクチン、治療薬開発を「続けさせていただきたい!」 塩野義の手代木社長が訴える!「平時の国家備蓄」「余剰はアジア供給」という“新たな枠組””も提案

 

 みなさんお元気ですか?すっかり秋になりました!

 さて新型コロナウイルの感染拡大。このところ弱まっているようです。しかし、なぜここにきて急に弱まったのか?その要因は、はっきりしていません。従って、この先、感染状況がどうなるかもまったくわからない。いい方向でも、悪い方向でも、あらゆる「可能性」はまだ残っている。だから、軽々な発言は慎みたいと思います。縮小の要因が分からないまま、将来について言及、予測しても意味がないからです。メディアに頻出する「専門家」の方々も、確証が得られない「予言」は止めて、しばらく黙っていて欲しいものです。混乱するだけだから。

 ただ、これまでのパンデミック(感染爆発)、インフォディック(パニックに乗じた虚実ないまぜの情報氾濫)がなぜ起きたか?根本要因を考えると、最も大きな要因は、ワクチン、治療薬がなかったからだと考えます。

 昨秋、ワクチンが出て、最近、新たな治療薬も少しずつ出てきているのですが、いまのところ外資系メーカーの製品がほとんど。日本のメーカーのものは正式承認されていません。

 そんな中、塩野義製薬がワクチン、治療薬、抗体検査、抗原検査などフルラインでコロナ対策製品を揃える構えです。「国産ワクチンが必要だ」とよく言われますが、いま開発を進めているのは塩野義と、KMバイオロジクス、第一三共だけです。さらに治療薬は塩野義1社のみ。

 国内の他の製薬企業は、感染症治療薬やワクチンの開発に乗り気ではありません。もし対象とする感染症が流行しなければ、出番がなく、収益ダメージが大きい。ビジネス上、リスクが高いのです。ただ、感染症はいつどこでどのような規模で、またいつまで続くのかわからない。一度、パンデミックになれば今回のコロナのように社会的にダメージは計り知れない。

 ですから、感染症対策は、本来は「健康予防政策」というよりも、むしろ「国家安全保障政策」として取り組むべきなのです。その一環で、国産ワクチン、国産治療薬の開発促進にも力を入れて欲しい。

 塩野義製薬の手代木功社長は9月29日に開いた記者会見でこう訴えました。

 「ここ2年程、インフルエンザの流行がなく、関連治療薬の売り上げはほぼゼロだ。このまま感染症ビジネスを続けていけるのかという状況だ。しかし、続けさせていただきたい。困っていない時、平時はインフルエンザ、コロナ治療薬は国が備蓄していただく。ワクチンも買い上げていただき、状況によってアジア諸国に供給する。そういう新しい枠組みを作っていただきたい。感染症の特殊性をご理解いただきたい」。

 日本の感染症対策は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」。流行期あるいは流行が起きそうになると、大きな議論になるが、収束すると忘れてしまい、何の対策も準備しない。その繰り返しでした。今回の新型コロナ禍は、しっかり教訓を政策に活かしてもらいたいもんです。

 写真は記者会見に臨む塩野義製薬の手代木功社長です。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。皆さんは食欲の秋?読書の秋?楽しみましょう!

 
 
 
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