
◆中外製薬の奥田修代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)
患者の声を活かす中外製薬の取り組み「PHARMONY(ハーモニー)」に注目している。短期的に大きな収益を生み出す話ではないが、メディアにも門戸を開いたイベントを昨秋から毎年、開催。具合的な取り組み、進展度合いが外からも見える。僭越ながら記者の私も“伴奏”しているような気になって、興味深いのだ。
企業理念に「患者中心」「患者重視」「患者のため」「患者と共に」などを掲げる製薬企業は珍しくない。考えてみれば製薬企業が、医薬品を生み出し、製造し、困っている患者を助けるのは当たり前のことだ。本来、敢えて理念に掲げるべくもない。国内外各社が苦しむ患者を想いながら、医師など医療従事者と協力を重ねて日夜、医薬品の研究開発、製造に励んでいるのもよく知っている。しかし、社長自ら“旗振り役”となって、全社を挙げて時間を作り、患者と向き合い、困りごとを聞き、それを各部門に深く根付かせようと動いている企業は今のところ、中外製薬以外に知らない。他社も何かしているかも知れないのだが、少なくとも私のような記者、つまり外部者には見えないのだ。
中外製薬は2020年から患者との対話強化に乗り出し、22年に、その活動を「PHARMONY」と命名、24年秋から毎年1回、メディア関係者も入れるイベントを開いている。25年秋は2回目(11月12日開催)だったが、活動領域、内容がさらに
26年度の薬価制度改革に向け、厚労省の中央社会保険医療協議会で論議が粛々と進行している。改定が医療用医薬品マーケットにどのくらいの影響を及ぼすかーー。大まかな傾向を占う薬価調査結果(25年9月分取引)の速報値は、平均乖離率(保険薬価と医療機関への卸販売価格の差=いわゆる薬価差)「4.8%」――。前回の「5.2%」より0.4ポイント縮小し、過去最低記録を更新した。病院や薬局が経営原資として”薬価差”を当てにする時代はもう終わったのだ。むしろ近年は、薬価より高く購入する“逆ザヤ現象”も明らかになっているくらいだ。4.8%という数値が

◆日本製薬工業協会の宮柱明日香会長(製薬協フォーラムにて)
当然だが医師も医薬品も、医療にとってなくてはならない存在であり、事物である。一方はヒト、一方はモノという違いはあるが、同じ医療現場で、それぞれが持つ能力を相互補完的に発揮して患者、家族を助けるという共通のミッションを担う、切っても切れない密接な関係にあるのだ。しかし、診療報酬、薬価改定に関して言うと、両団体の主張は微妙に異なる。
毎年恒例の「製薬協フォーラム」(日本製薬工業会主催)が11月27日、経団連会館で開かれた。講演会、懇談会の2部構成でいずれも盛況。医療保険制度改革、診療報酬、薬価制度改革論議が大詰めを迎える中、この会は毎回、“束の間の休息”の場となり、会場は終始和やかなムードに包まれる。。
講演会にはBNPバリバ証券のチーフエコノミスト、河野竜太郎氏が登壇し、

◆米国研究製薬工業協会(PhRMA)のアルバート・ブーラ会長(ファイザー取締役会長兼CEO)
米国研究製薬工業会(PhRMA)のアルバート・ブーラ会長(ファイザー取締役会会長兼CEO)【写真】が来日し、17、18の2日間に渡り高市早苗首相ほか政府高官などを訪れ、会談した。医薬品分野のイノベーションに力を入れるよう要請したという。ブーラ会長がCEOを務めるファイザーは9月末、米国のトランプ大統領との間で「革新的な新薬は最恵国待遇(MFN=米国外で最も価格が安い国)の価格で提供する」と合意形成している。10月10日には英国アストラゼネカ、11月6日には米イーライリリーとデンマークのノボノルディスクファーマも、

◆MSDのプラシャント・ニカム代表取締役社長、HPVワクチンの男性定期接種化を求める
MSDが男性を対象にしたHPVワクチンの定期接種化を強く訴えている。
HPVワクチンは主に女性を対象とする疾患予防ワクチンとして登場したが、その後、臨床試験を積み重ね男性にも適応を広げている。今年8月、4価(予防できるウイルスの型数)の「ガーダシル」に加え、9価の「シルガード9」も男性適応の承認を得た。
しかし、現在、国の予算で賄う定期接種の対象は子宮頸がん予防を目的とする女性のみ。男性は定期接種の対象になっていない。一方、海外に目を転じると先進国首脳会議(G7)のメンバー7か国のうち、日本を除く6か国は女性だけでなく、男性も対象にした定期接種プログラムを実施している。
こうした日本の現状にMSDは懸念を抱いている。同社のプラシャント・ニカム代表取締役社長は「HPV関連のがんや、疾患を予防するワクチンのアクセスが日本の男性に十分に与えられていないことは非常に残念だ。日本の定期接種化が遅れれば遅れるほど将来、取り返しがない損益につながる」(25年11月7日開催の記者会見)と日本政府に向け早期実施を訴えている。
25年末までが“締め切り”となっている政府の宿題(検討課題)「薬剤給付の在り方」で、個別項目に挙がっているのは①長期収載品②先行バイオ医薬品③OTC類似薬――の3点だ。つまり、この3点について医療保険給付の仕組みを変えるのか、変えないのかが焦点なのだが、現時点でのゼロ(変えない)、イチ(変える)予測は、3点どれも「ゼロ(変えない)」はない。厚労省が11月6日に開いた社会保障審議会医療保険部会【右写真】に提示した「論点」の書きぶりは、「イチ(変える)」が前提。どこまで踏み込むかは別にして前傾姿勢に満ち満ちている。【医療保険部会の資料はコチラをクリック】
政局の混乱もひとまず収まり、
後期高齢者と若年世代の医療保険給付と負担について衝撃的なデータが明らかになった。医療保険制度改革を前に、厚労省が10月23日の社会保険審議会・医療保険部会に提出した資料に盛り込まれている。

一人当たり医療費は高齢になるにつれて増えていくので我々、国民は「自己負担も高齢になるにつれて増えていく」と考えがちだ。しかし、厚労省の資料によると、自己負担が増えていくのは60台後半(65~69歳)まで。その年齢層をピークに70歳以降の世代は医療費が大きく増えているにもかかわらず自己負担が一旦、大きく下がり、それ以後も低めに抑えられている。右写真(厚労省の資料から抜粋、資料の22頁001584438.pdf)
要するに後期高齢者の医療費負担がその他の世代と比べて極端に低く、優遇されているのだ。厚労省は、自己負担割合が1割もしくは2割になっているほか、高額療養費の「外来特例」などが影響して、後期高齢者の負担が極端に低く抑えているのではないか、との見ている。

26年度の薬価制度改革に関する骨子が



