【10月27日発】沢井製薬・九州工場 “カプセル詰め替え”はなぜ起きたのか?行政処分レベルは「悪質性」「社会的影響」「組織的関与」「隠ぺいの有無」を考慮して決定

◆沢井製薬・沢井光郎会長

 沢井製薬が九州工場で製造していた胃潰瘍治療薬テプレノンカプセルで、長期に渡って不正な溶出性試験を実施していた事実が発覚した。溶出性試験は、販売後の医薬品が服用者の体の中でしっかり溶けて効能、効果を問題なく発揮するかどうか、数年毎に確認する試験。厚労省の省令(GMP)で企業に精密な実施が義務付けられている。試験結果で、溶け具合(溶出性)が基準値を極端に下回ること(OOS=OUT OF SPECIFICATION)がわかったら、本来の効能・効果を発揮せず、治療に影響を及ぼしかねないので、使用期間内でも回収などの対応が必要になる。OOSは、カプセルの経年劣化が影響して発生することが多い。沢井は、そのカプセルを比較的新しいモノに替えて試験を実施していた。主要成分(内容物)を、比較的新しいカプセルに詰め替えれば、溶出性は維持できて当たり前で明らかなGMP違反だ。沢井は、テプレノンでそれをやっていた。

 

 

◆沢井製薬・木村元彦社長

 

 

 沢井は「同様の事案は、テプレノン以外の製品にはない」と説明、すでに全ロット回収し、今のところ健康被害報告はない。

 ただ、小林化工、日医工の不正発覚以降、後発医薬品各社の製品回収、限定出荷が続出。行政処分が次々に下され、国民の不信感は増幅している。例え、販売後の劣化を確認する溶出性試験で、それが一製品に止まっていたにせよ、後発品業界トップ3に名を連ねる沢井で不正が発覚したのだから、社会的な衝撃は大きい。信頼を回復するには、相当の時間を要するだろう。一体なぜ、こんな不正が起き、しかも長期間続いたのかーー。沢井が10月23日に発表した特別調査委員会の報告書を読むと、その原因の一端が見えてくる。

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