行政取材と企業取材
過去1年は診療報酬・薬価制度改革、しかも薬価維持特例(新薬創出加算という形で実現)の導入という大きなテーマがあって、取材・執筆も必然、制度政策を主とすることが多くなりました。新年度を迎えたことですし、これからしばらくは是非とも個別企業の研究開発、営業、マネージメントにスポットを当てた取材に力を入れたいと考えています。
制度政策の舵取りをするのは厚労省ですが、実際に医薬品を生み出し、経済活動を営んでいるのは企業です。何とか、本質を掴み、いい記事を書きたい。しかし、厚労省と企業を比べると、明らかに企業の方が取材・執筆の壁が厚いし、高い。まず厚労省の職員は国家公務員で基本的に情報開示するのが義務です。一方、企業は株主に対して、一定の情報開示が必要であるものの、私のような一介のジャーナリストに何でもかんでも話す義務はありません。また、厚労省は一箇所に、ほとんどすべての機能が集約されているので、ワンストップでいくつもの取材ができます。しかし、企業取材は広報の方々と、さまざまなやり取り、日程調整が必要で、仕込みに時間がかかります。かつて、厚労省の記者クラブに所属していた頃、省内のエレベータを上がったり、下がったりするだけで、すぐに取材ができて簡単に記事が書けて、ホント楽ちんでした。でも、その当時から、こんな毎日を過ごしていていいはずない。まともな記事が書けるわけはないぞと、うっすらと感じていました。やはり、業界紙記者は企業活動を見極めてこそ、存在意義が認められると考えていたからです。企業のみなさんとどう向き合い、何をどう伝えるか。私自身まだまだ、研鑽中です。
厚労省の職員数はざっと5万人程度。ここから地方への出向者や、旧労働省関連の職員を除くと、3万人くらいでしょうか。何のことはない。第一三共1社の連結従業員数と同じくらいなんです。製薬業界には歴史も、考え方も、性質も違う、複数の巨大組織が沢山あります。薬新の社訓は「真摯に取材し、自信をもってお伝えします」。この精神から外れることなく、まっすぐ行きますので、みなさま!今後ともよろしくお願いいたします!
で、写真は自宅近くのカフェで。先週日曜日の昼下がり。やや逆光。悪しからず