ヒステリック・ジャーナル
新年度に入って早々、製薬企業のマイナス情報が、明るみになり、一般紙、業界紙を問わず、「業務停止」「隠ぺい」「データ改ざん」「不祥事」などなど、おどろおどろしい見出しが沢山、躍りました。この手の事象が起きると、待ってましたとばかりに、「けしかん!!」と正義漢ヅラして、ヒステリックに対象企業を糾弾する同業者をよく見かけます。そういう姿を見ていると、日ごろ満たされない自分の鬱憤を晴らしているだけのように見えて実に浅ましい。同業者として、いやでいやでしょうがありません。「あんた何様?そんなに聖人君子なの?記者ってそんなに偉い商売なんですか?えっ?」と問いかけたくなる。
同類項に括られたくないので、こういう事象が起きると、私は、ちょっと距離を置くようにしています。しかし、今回はあまりにひどい。感情的、情緒的に、叩くだけ叩いているだけ。向こうには弱みがあるから多少ミスリードがあっても、反論できません。中国に「水に落ちた犬は叩け」ということわざがあるそうですが、まさにそんな感じ。目を覆いたくなるようなむごたらしい光景です。
ねちっこくご高説を宣わった挙句、記事の最後はせいぜい、「企業体質」「担当者の不正」「倫理欠如」「監督不行き届き」とか書いて終わり。ひどいのになると、トップが頭下げている写真を載せて「出直せ」だって。んっだよそれ。あんた、いつからお奉行様になっちゃたんだよっつーの。
何が言いたいのかというと、ジャーナリズムに不可欠な冷徹な検証が全くない。そうした中で、光っているのは医薬経済5月1日号の「『ミドリ十字の原罪』説は本当か」。http://www.risfax.co.jp/product/iyaku.html 情緒で視界を曇らすな、定説でお茶を濁すなと訴えています。あと、同紙同号の最終頁「編集後記」。会見で詰問する記者の姿にあきれて「一体、何に怒っているのか」「冷静になれ」と戒めています。さらにRISFAX会員頁の知る人ぞ知る、私の大先輩、異伝子さんの4月14日付コラム「責任の所在」。http://www.risfax.co.jp/product/risfax_web_pw.htmlマイナス行為が起きる環境を醸成したトップの責任が極めて重大だと断じています。どれも、読み応えがあります。
何も提携している医薬経済だからといって、身びいきで言っているわけではありません。こういう骨太な、至極真っ当な、批判精神で綴った記事に近頃、とんとお目にかかれません。正義の味方もどきか、広告記事みたいのばっかし。本当に、他にないんですよ。悲しくなるくらい。あまりに営業重視になって記者が委縮し、いまやジャーナリズムは死に体です。終わっちゃっている媒体、ものすごく多いです。
それから、トップが記者会見で頭を下げれば、全て水に流すという慣習も極めて日本的です。ただ、これは文化かも知れないので、否定はしません。何か起こったら、責任は全部手下に負わせて、自分たちは全く実務にタッチせず、高級車乗り回して、ゴルフばっかやって、うまいもの食って遊んでいる「ヤバイ組織」とは違います、皆さんと変わらぬ普通の、紳士的な会社ですよ、ということを社会に示すには、むしろ必要な儀式かもしれません。おっと、私も記者なんだから、こんな戯言をかましていないで、しっかり取材、執筆しないといけません。
で、写真は新宿にあるファッションビルの広告。左上にある「かに道楽」のネオンと一緒に写したら、ミスマッチになって面白いかなと思ったんですが、結構、マッチしてしまいました(笑)
ヒステリックジャーナルね…。まさしく今のマスコミを象徴する例えですな、うまいこというね。氾濫する情報媒体に、ジャーナリズムを意識しているものが果たしてどれくらいあるのかな?
久々にこのサイトに立ち寄ったけど、きちんと更新しているのね。これからはもっとマメにチェックさせてもらうよ。
コメントありがとうございます!!
匿名で、めちゃくちゃ叩くだけなら2ちゃんねるとなんら変わらないってこと。
自分は性格的にも陰湿なの嫌なんですわ。