第一三共新社長 「多角化」の封印を解く

  第一三共のトップ交代は、ちょっと驚きでした。白羽の矢が立ったのは、ダークホース。現副社長執行役員の中山譲治氏だったからです。取締役4人を置いて、執行役員から一足飛びに代表取締役に就任することになります。中山新社長はサントリー出身で、同社が旧第一製薬に医薬品事業を徐々に委ねていくのと軌を一にして、軸足をサントリーから、第一製薬に移し、03年6月、第一製薬の取締役になります。その後、第一三共になってからは、ずっと執行役員でした。現取締役に、次期社長と噂される方がいないわけではなかったので、私にとってはサプライズでありました。この時期、旧三共出身でもない、旧第一出身でもない中山氏が社長に就任する人事には、何やら“庄田コード”のような暗号を感じますが、とても新鮮です。中山新社長は会見で、今後の経営方針を「医薬品事業とシナジー効果がある多角化」という言葉で説明されました。ここにも新たな時代の到来を感じます。

7、80年代。製薬産業が国民皆保険や、薬価基準に守られ、護送船団方式で、のんびりと成長を続けていた頃、各社の事業は新薬だけでなく、OTC、健康食品、飲料など様々な領域に手を広げる“多角化”が当たり前でありました。このとき、サントリーはじめとする異業種が、医薬品産業にうまみを感じ取り、どっと参入しようとします。しかし、90年代に入って、医薬品取引に建値制が導入され、外資系企業が自販体制を構築、国内製薬企業各社も「選択と集中」を合言葉に、新薬に経営資源を重点投入し、そのほかの事業は売却あるいは撤退、縮小する傾向が続きます。同時に医薬品産業に熱い視線を注いでいた異業種も、蜘蛛の子を散らすようにどっかにいってしまいました。それ以来、“多角化”は製薬業界で、一種、封印された言葉でもありました。しかし、今回、中山新社長がどうどうと“多角化”の封印を解きました。はてさて、この先に、どんな新しいビジネスモデルが待っているのか。中山新社長が、多角化全盛時代に、こぞって医薬品産業に参入した異業種出身であるという点に、何かヒントがありそうです。会見後、「製薬企業のビジネスモデルはもうすべて出尽くした感じがしますが」と聞くと、中山新社長は「いや、まだ(新しいのが)ある」と自信たっぷりでした。

で、写真はギリシャ・・・・・・・。というのは当然ジョークです^^; 恵比寿ガーデンプレイスの中庭。がんばって欧州している、いくつかの東京スポットのなかでも、結構、いい線いっていると思いますが、どうでしょう?

 

コメント: 1

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中山太郎元外務大臣の息子さんですよね!

 
 

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