医薬分業は「傷病名がない院外処方箋」が致命的な欠陥。薬局薬剤師が「患者の傷病名を知らない」現実をどう考えるか。真正面から議論すべき!!

img_2543     みなさん、お元気ですか?

医師が医薬品の処方箋を書き、薬局がその内容をチェックして調剤する。いわゆる医薬分業ですが、この仕組みで、医療の質を最大限に引き上げるには、致命的な欠陥があります。それは、処方箋に患者の傷病名が書いてないことです。

薬局薬剤師に与えられる情報は、処方箋に並んだ医薬品の名前だけ。飲み合わせや、副作用をチェックするにも限界があるのです。例えば慢性腎疾患(CKD)患者には、いくつも禁忌(投与禁止)の薬がありますが、処方箋の情報だけでそれを推測、察知するのは極めて困難です。処方箋に傷病名がないのは「患者のプライバシーへの配慮だろっ?」て、考えがちですが、実はそれだけではないです。医療現場でオフラベルの処方(承認外の適応での使用)が、結構あって、そのまま処方箋に書くと、患者も、薬剤師もびっくりして、無用な混乱を呼んでしまうのです。例えば、吐き気を抑えるのに、統合失調症治療薬、ふるえを抑えるのに、てんかん治療薬を使うケースがある。その場合、もし処方箋に傷病名を書くとすると「統合失調症」「てんかん」となるという具合です。医薬分業の政策効果、質をさらに高めるには、処方箋と傷病名のあり方について丁寧に議論を積み重ねていく必要があると考えます。現状のままでいいというなら、薬局が、単に医師の処方通り医薬品を調剤するだけの場であっても「致し方ない」と認めることになります。

とはいえ、これまで、ほとんど議論さえされていないのに、今すぐ処方箋に傷病名を記載しろと言うのは、非現実的です。そこで数年前に出てきたのが、医療機関で実施した臨床検査値を書いた検査値付き処方箋です。福井大病院から京都大に伝わり、西日本を中心に少しずつ全国に広がっています。近隣の薬局は、処方箋に書かれた検査値を見て、禁忌や要注意の医薬品を、医療機関に伝えています。10月に開かれた日本薬剤師会学術大会でも、関連分科会が大盛況でした。(医薬経済16年11月1日号14、15頁、『広がる「検査値付き」院外処方箋』をご覧ください⇒コチラ)薬局薬剤師も検査値の判読について研鑽を重ねています。残念ながら、検査値付き処方箋の発行医療機関は西高東低で、西に多く関東は少ない。それでも千葉大病院が発行し始めたので、他に伝播するのを期待したいです。

  というわけで、医薬分業の致命的な欠陥は「処方箋に傷病名が記載されていない」=「薬局薬剤師に患者の傷病名が知らされていない」という点にあるのです。大事な点なのに、何十年も真正面から、しっかり議論されたこともなく、スルーでした。賛否はあっていい。しかし、スルーしたまま勝手なこと言ってると、問題の本質からどんどん遠のいていってしまう。

薬局や調剤を叩いて診療報酬アップを狙う、政治力の強い医師会の尻馬に乗って、ただ単に「医薬分業はだめだ」「保険薬局はなってない」と、大げさに騒いで、はしゃぎまわったり。昔、高校、中学の部活によくいた運動部の先輩(90年代に絶滅。。。であって欲しい(*^。^*))のように「気合が入っていない」とか、「本気出してない」とか、うすっぺらな精神論を振りかざして、その実、満たされない自己承認欲求を慰めているに過ぎない言論は、全く無意味なのです。

 で、写真は都内で。約5000点の写真集が手に取れるカフェ。優れた写真家の作品を鑑賞しながら、穏やかな午後のひと時を過ごしました!!それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください。

 

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