「膨張する薬剤費」を「経済成長の伸び」に抑え込むドラスティックな薬価制度改革案が登場!!!

 みなさん、お元気ですか?緊急事態宣言の延長で、まだしばらく息苦しい日々が続きますが、なんとか乗り越えましょう!

 さて先週5月28日、一般社団法人新時代戦略研究所(INES)がドラスティックな薬価制度改革案を公表しました!!!端的に言うと、薬剤費(医療保険で支払う全医療用医薬品の金額)の伸びを経済成長率の伸びの範囲内に抑えるー。言い方を変えると、薬剤費の伸び率に上限を設定し、個々の医薬品価格は、全体の伸び率を勘案して設定するー。そんな内容です。伸び率の配分は画期的新薬に多く、特許が切れた医薬品には少なくするようにします。

 伸び率に上限を設けるということだけに着目すれば、製薬業界にとってネガティブですが、画期的新薬がこれまでより高く評価される可能性があるという点でポジティブな面もあります。

 まとめたのは薬価制度に詳しい小黒一正氏(法政大経済学部教授)、菅原琢磨氏(同)、土居丈朗氏(慶応大経済学部教授)、別所俊一郎氏(東大大学院教授)など6人の学識経験者からなるINESの研究会です。協賛企業にMSD,武田薬品、ノバルティスファーマ、ファイザー、マルホの5社が名を連ねています。ただ、日本製薬工業協会は74社。協賛企業はほんの一握りでしかありません。今後、各社がどんな反応を示すか注目です。

 医療用医薬品の費用は医療保険財政から支払われるのですが、その価格は定期的に引き下げられます。それでも画期的な新薬が次々に登場、加えて特許が切れた古い医薬品もそれなりに使用されるので、高齢化とともに薬剤費は大きくなる一方です。そのため政府は、薬剤費全体を下げる新ルールをたびたび導入して個別医薬品の価格を叩いてきました。しかし、新ルールは付け焼刃でしかなく、しかもそれができては修正、またできては修正を繰り返すので、製薬企業各社は「収益の先行きが読めない。これでは事業計画が立たない」と批判。薬価制度そのものも複雑になり、とても分かりにくくなってしまいました。

 「薬価制度の抜本改革が必要だ!!!」。もう何十年も前から言われていることです。しかし、これまでは微修正を繰り返すのみ。名ばかりの抜本改革でした。今回、INESの研究会がまとめた改革案は、薬剤費、すなわち財政のあり方そのものに踏み込んでおり、膠着気味の抜本改革論議に一石を投じた格好です。

 今後、この改革案は政官業を巻き込み、様々な議論がなされるでしょう。

 

 写真はとあるお寺の池で。景気の良い金色の鯉が悠然と泳いでいて優雅な気持ちに浸れます。それでは皆様!素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

 

 

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