世界初の認知症治療薬”アデュカヌマブ”の「合否判定」、24時間以内にFDAが結果発表!

 みなさん、お元気ですか?緊急事態再延長も1週間が経過し、20日まであと2週間。なんとか落ち着いてほしいものです。

 さて米国で申請中のエーザイとバイオジェンが開発している認知症治療薬アデュカヌマブ。本日7日にFDAが可否を公表する予定です。先進国はどこも高齢化を迎え、アルツハイマー型認知症の患者が増加。クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)が著しく減少し、介助支援も必要なので、社会的コストの面でも課題になっております。

米バイオジェン研究所・抗体研究風景(バイオジェン提供)

 しかし、これまで世に出ている医薬品はエーザイが開発したアリセプトしかないのです。しかもアリセプトの効果は「進行抑制」(認知機能の低下を遅らせる)。「治療」(認知機能を上げるまたは改善する)はできないのです。一方、いま開発を進めているアデュカヌマブはまさに「治療」効果を前提に開発、申請している新薬で、もしFDAが承認したら、世界的に爆発ヒットすること間違いなしです。ピーク時の売上高はアリセプトの3000億円を優に超えると言われています。

 ただ、このアデュカヌマブ。試験段階(15~18年にかけて実施)で紆余曲折がありました。試験のプロトコル(試験の設計図で、通常は試験が終わるまで固定する)を何度も変更、患者のメリットを考え、途中で最高用量を投与する患者数を増やしたりしています。

  FDAの専門家委員会は、18年12月、中間解析段階の試験データを見て「ああ、この感じだとこのまま続けてもいい結果は出ないね。やめた方がいいよ」と提言、それを受けバイオジェン、エーザイも19年3月に試験を中止しました。

 しかし、バイオジェン、エーザイが中止後、試験データをよくよく吟味すると、「まだ希望の光は完全に消えていない!」と確証するに至ったのです。試験は2本走らせていたのですが、1本は失敗、ところが、もう1本はうまく行きそうな傾向が出ていたのです。最高投与量患者の数の違い(途中でプロトコルを変更したから違いが出た)が、2つの試験結果に相違を及ぼしたとされます。メーカー側は、はじめから終わりまで、2本とも最高投与量で試験をやっていたらいい結果が出ていたのではないかと。そう考えるに至ったのです。

 そこでバイオジェンがFDAに掛け合って事情を説明、FDAも「うーん。それならまあ申請してもいいだろう。いま認知症治療薬は全然ないし、みんな困ってるからね。。。」と言うことで、申請を受け付けたのです。しかし、審査に大きな影響を及ぼすFDAの専門家委員会からは「このデータでは承認するわけにはいかない」と批判的な意見が出ています。それでも患者、国民は喜ぶだろうなあと思っていたのですが、米消費者団体は「科学的に効果が証明されていない。財政影響も大きい」と反対しています。

 そんな寒風吹き荒ぶ中でのFDA裁定。果たして、どんな結果となるか。。。。

 米国との時間差は13時間で日本の方が早い。FDAの審査結果は早ければ日本時間8日未明、遅くとも午後には出るのではないでしょうか。

 それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

 

 

 

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