MSDが単独で薬価制度見直しを提言!キートルーダの引き下げで窮状を訴える。

 みなさんお元気ですか?夏真っ盛り!本来なら海、山、川にGO、GO!という季節ですが、今年は異様な状態が続いています。なんとか乗り切りましょう!

 さて7月27日、MSDが主力の抗がん剤キートルーダの度重なる薬価引き下げに悲鳴を上げ、現行薬価制度を見直すべき、とする記者会見を開きました。薬価制度については、これまでは団体が意見を取りまとめるのが基本で、製薬企業が単独で記者会見で開くのはかつてないことです。ある意味、これも新時代の象徴的な出来事でしょう。

 キートルーダは17年初頭に「悪性黒色腫」「非小細胞肺がん」の適応で薬価収載されましたが、その後、いくつもの適応がん種を追加し、19年後半まで順調に売り上げを伸ばしていました。しかし、日本の薬価制度には当初の予測以上に市場が伸びた医薬品と、その類似品は薬価を引き下げるルールがあります。キートルーダは予想以上に市場が伸びたので、20年に一度(2月と4月に分割実施)引き下げを食らっていました。

 そして21年8月、今度は19年4月に登場した競合品テセントリク(中外製薬)が売り上げを伸ばし、テセントリクが引き下げ対象になったため、その類似品として薬価を引き下げることになりました。

 結果、キートルーダの薬価は収載時から4年間で48%低減、競合品テセントリクを下回ることになりました。4半期ごとの売り上げは19年第3四半期の約380億円をピークに徐々に減少、21年第1四半期は約250億円まで減少しており、8月からの薬価引き下げで今後もかなり厳しい推移を辿ることになりそうです。

 MSDの記者会見には、カイル・タトル社長、白沢博満上級副社長執行役員(グローバル研究開発本部長)、笹林幹生執行役員(マーケット・アクセス部門統括兼流通担当)が登壇。窮状を訴えました。具体的な見直し案も提示したのですが、今後、どこまで受け入れられるか。注目されます。

 日本の薬価制度は複雑。とくに外資系のトップから見ると「奇異」に映るようで、日本の社員に「なぜこんなに下げられるんだ」と不満を爆発させるケースも多いと聞きます。

 今後、薬価制度に関する個社での単独会見、意見表明が増えるかもしれません。少なくともMSDはその前例を作りました!

 写真はMSDのタトル社長(MSD提供)。それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

 

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