“賞味期限”が近い薬価の「調整幅」。まずはその意義、機能、影響について公正なる議論を!!!

 

   みなさん、お元気ですか?先日、気の早い商店からクリスマスミュージックが聞こえてきました。「ああ、また1年が終わってしまうんかあ」。。。と焦燥感にかられました。まったく時間、歳月ってやつあ~、人々の営み、計画なんて、てんでそっちのけです。情け容赦なく一方的に、先へ先へと流れていきます。

 さて先週11月8日、財務省が、同省の基幹会議というべき財政制度審議会に「薬剤費の予算統制」という資料を提示しました。まあ、毎度のことながら「医療保険で支払う医薬品の価格を抑えるべし」と主張しています。財務省は日本国の金庫番ですから、結局、薬だって安ければ安い方がいい。だから財務省が「薬剤費の予算統制」というのは、当然と言えば当然のことです。ただ、今回は、薬価の決め方、改定の仕方を根本的に見直すよう提言している。その点で、いつもより一歩、踏み込んでいると言っていいかも知れません。

 医療保険で支払う医薬品の価格は定期的に見直しています。メーカー、卸が医療機関や薬局に販売した価格を基に見直すのですが、2%以内だったら値引きが認められています。例えば保険薬価100円の薬を98円で売っても、保険薬価は100円で据え置きとなります。2円分は医療機関、薬局の収益(薬価差益)となります。この2%を薬価制度では「調整幅」と呼んでいます。公的に認められた“薬価差益”といってもいいでしょう。

 しかし、今回、財務省が作成した資料では、このまま薬剤費が伸びるのであれば「調整幅の廃止も検討せよ」と訴えています。

 そもそも「調整幅」って一体、なんなのか?なんのためにあるのか?2%のまま今後も続けていっていいのか?実は、ずっと前から、曖昧なままです。ただ、もし真正面から議論することになれば、簡単に答えは出ず、収拾がつかなくなる。そう考えて、敢えて曖昧なままにしておいた。しかし、ここに来て財務省が、正式に検討会課題にするよう提案したので、波紋を呼びそうです。

 さきに厚労省の審議会(中央社会保険医療協議会)も、まさに「調整幅の在り方」を議題に載せました。そこに財務省が、おいかぶせるように乗っかって、本気で議論するよう求めた格好です。

 万物流転。時間は流れる。時代も人も技術も変わる。制度だって不動は許されない。ある程度、継続するにしてもやはり賞味期限ってもんがあるはずです。薬価の「調整幅」も、そんな時期を迎えたのではないでしょうか?

 写真は紅葉、もう1週間もすれば、もっと一面に広がるでしょう。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。

 

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どうなる?新政権下での薬価制度と医薬品のこれから

 

 

 

 

 

 

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