日医・鈴木常任理事の暴論に、日薬・三浦副会長が猛然と抗議

  日本医師会の鈴木邦彦常任理事が薬剤師業務を巡って暴言を発し、日本薬剤師会の三浦洋嗣副会長が猛然と抗議するという場面が、先週の中央社会保険医療協議会で立て手続きに2回もありました。論争には他の委員も参戦し、最終的に、いずれも三浦氏に、軍配が上がりましたが、日本の医師を代表する日医の選出委員から、ただ単に職能対立を煽るような発言が飛び出す現状を目の当たりにすると「日本の医療は本当に大丈夫なんだろうか?」と、不安になります。

はじめは12月4日。鈴木氏が「一般名で処方せんを出しても、医師が後発品を勧めたわけではないので、もし一般名処方で薬局が患者に後発品を勧めたら、それは薬剤師の責任だ」と発言、これに対して三浦氏が「意味が分からない。副作用が生じた場合は薬剤師が責任を負えと言ってるのか」と喰いつきました。鈴木氏が要領を得ない答弁を繰り返したため、曖昧なまま終わりそうになりましたが、連合選出の花井十伍氏が「私も鈴木氏の発言には疑問を感じる。医師、薬剤師の連携あってこその後発品使用促進なのに、そういう発言は不安だ。連携して欲しい」と参戦、鈴木氏と同じ日医選出の安達秀樹氏も「医師法でも、処方の責任が医師にあることは明らか。三浦氏が疑問を呈したのは当然のことだ。訂正された方がいい」と鈴木氏に発言撤回を促しました。これを受け鈴木氏はすかさず「その通りでいい」と折れたので、会場の失笑を買いました。

もうひとつは12月6日、薬剤師の病棟業務。前回の診療報酬改定で加算評価した後、患者にとって非常にいい効果が出ていることがわかり、鈴木氏も、その効果を認めたのですが、「さらに評価する(点数を上げる)場合は、調剤報酬の財源でやっていただきたい」と発言したのです。これに対して三浦氏は「診療報酬、調剤報酬は施設に対して支払われている。同じ薬剤師だからと言って、病院薬剤師業務の評価財源を、保険薬局の調剤報酬から捻出すべきという考え方はおかしい」と詰め寄りました。宇都宮啓医療課長が「三浦氏の指摘通り、診療・調剤報酬は施設に支払うものだ」とし、鈴木氏は沈黙。この議論は終わりました。

しかし、こんな低レベルの議論をしていていいんでしょうか?「一般名で処方しても後発品を勧めるのは薬剤師だから医師には責任ない」とか、「病院で仕事していても同じ薬剤師だから、その評価財源は調剤報酬を使え」とか、鈴木氏の発言は明らかに現在の法体系を無視した暴論です。10月まで中医協委員だった山形大学学長特別補佐の嘉山孝正氏がかつて「お金の分捕り合いの議論はよくない。各医療職種が自らのエゴを超えて、患者、国民にとって、より良い医療を実現するには、どういう評価が適切か。中医協では、それを議論すべきだ」と常々、話していたことを懐かしく思い出します。

で、写真は中医協。休憩中の傍聴席です。年末の予算編成に向け、議論もどんどんヒートアップしております!!こうやって観ると、なんだかボクシングの観覧席みたいですね(笑)。もうひとつは日比谷公園にて。銀杏の葉が黄金に輝いてきれいです!!ではみなさま、素敵で楽しい一週間をお過ごしください。

 

コメント

現在のコメント

コメントを書く

 
  (公開されません)
 
 
 
 

 
© 2024 薬新プラザ|医薬品業界の「本質」を発信するサイト