国内医薬品市場の「減少」、「頭打ち」!!一体、誰のせいなのか?

 「日本の医療用医薬品市場は今後10年間、頭打ちか、減少する」

欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)が5月31日、日本の医薬品市場に関するシミュレーションを発表しました。制度改革で薬価(保険で支払う医薬品の価格)を厳しく引き締めれば「減少」、現行制度を維持してもせいぜい「頭打ち」にしかならない。今の医薬品市場は薬価ベースで約10.6 兆円だが、10年後の2026年度予測は最小で8兆円、最大でも10.3兆円で、市場は膨らまない。そう見ています。EFPIAはじめ製薬業界は、この予測をもって「薬価だけ締め付けても医療費は適正化できない」「新薬を高い価格でもっと評価欲しい」と主張しています。それはそれで、立場上、当然の主張でしょう。

 しかし、素朴な疑問が、頭をもたげてきます。「減少」「頭打ち」の原因は、何なのか?という疑問です。単に「新薬の評価が低いから」でしょうか?「医薬品産業政策が弱いから」でしょうか?私はそうは思いません。

かつて1品目で1000億円を超える売り上げを叩き出した高血圧、高脂血症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病治療薬は、みな特許が切れて価格の安い後発品にシェアを奪われています。研究開発トレンドは「低分子」から「高分子」(バイオ医薬品)に移行しており、新薬を生み出すにもハードルは上がっている。各社の新薬がなかなか出てこないのです。薬価で高く評価するにしても、評価に資する新薬が出てこなければ、評価のしようがない。また、どんな新薬を、どう、どの水準で評価するのか?という課題もある。「頭打ち」か、「減少」が予測される国内市場の中で、製薬業界、企業は、何をどう訴えるのか?より具体的で説得力のある主張が必要な時です。

 写真は記者会見するオーレ・ムルスコウ・ベックEFPIA Japan会長(ノボノルディスクファーマ社長)。それではみなさん!!!素敵な一週間をお過ごしください。

 

 

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