みなさんお元気ですか?
早くも夏が来たのかなーー?そう勘違いするくらい気温が上がったり、下がったり。。。まるで楽器のチューニングをするかのように小幅に寒暖差を繰り返し繰り返して、いつの間にか「夏」が街全体を支配し、カンカンに照り返す。日本列島に夏が来る前はいつもこんなですね。
さて、いま新潮文庫の「代替医療解剖」という本を読んでいます。ここでいう「代替医療」ってのは「主流派の医師の大半が受け入れていない治療法」。ホメオパシーとか、ハーブ療法などを取り上げています。発生の背景、内容、そして科学的検証結果が記されていて、なかなか面白い。もちろん、主流派の医療に照らせば「いかがわしい」だけなのですが、こうした療法発生する背景には、決まって副作用の強い既存療法への“アンチ魂”が横たわっている。あるいは、当時、国際的に対立関係にある国や思想があって「あいつらの医療は使いたくないわ」という対抗心なども影響している。ヒトの世ならではの、ひとつの傾向なのです。
まあ、それはともかく医師、患者、家族が疾患を治したい、健康を維持したいという意欲が高まってこそ、仮説として、ある新療法が生まれる。しかし、情動的に浸りきり、拙速になり過ぎると科学的検証を端折ったり、歪めたりして、ほとんど「信仰対象」のように祭り上げられ、強烈な「いかがわしさ」を発してしまう。
本書は、複数の“代替医療”を上げ、そのひとつひとつについて、発生した時代背景、きっかけを丁寧に説明、さらに一般には理解しづらい二重盲検比較試験の結果と、その検証を、“情感”とか、“好悪”とか、ありがちなヒトの野蛮さを排して、職人技とも言うべき圧倒的な文章力(執筆者だけでなく翻訳者も)で解説してくれる!!!!おそらく科学、数学に疎い文系オタクでも、読書力さえあれば(ない場合は保証しません、笑)、ぐいぐい引き込まれます。まさに「良質の読み物」です。
新しい医療が出現するきっかけは「偶然」という場合もあって、必ずしも経験や試験の積み重ねの延長にのみあるとは言えない。とはいえ、本書を読むと、二重盲検比較試験の設計、実施、検証がいかに大事かー。そしてまた、一度、確立した療法でさえ、臨床データを積み重ねて、絶えず改善、向上を目指す姿勢がいかに大事かー。医療を“情動”“好悪”が支配すると、何が危険で問題かー。。。考えさせられます。
結局、医療の最終消費者である患者の理解、リテラシーがもっとも大事なんではないかと。。。。いまさらですが、そんなことも思いました。
写真は東京丸の内。KITTEの屋上庭園から撮影した東京駅。あんまりうまく撮れませんでした(笑)高所恐怖症に付き(笑)
みなさんお元気ですか?肌に触れる風がヒタヒタと湿り気を帯び、梅雨の気配を感じる今日この頃。。。。。いかがお過ごしですか?私は雨が嫌いじゃないです。予定が延期になったり、思うように移動できなかったり。。。。なにかと“諦念”を強いられるから、散らかった心が鎮まり、なんとなく落ち着いた気持ちになるのです。
今日、帰宅途中、近所の空き地が掘り返されていることに気づきました。すすきや、梅の木が好き勝手に、雑然と生い茂った、いまや都内では珍しいヒトの手が加えられていない「野生の土地」でした。およそ400平方メートルはありましょうか。土の下や、木々や雑草に依存して生を営んでいた生物もいただろうに。。。。きっとまたマンションでも建つのでしょう。よく考えると、この地球は人間様だけのものではないんですけどね。。。。私たちヒトってホントに自分本位なんですからね。なんだか少し空しい気がしました。
さて今週の更新は5月16日火曜日と5月19日金曜日の2回となります。よりよい情報提供に向け、日々、精進を重ねます。どうぞよろしくお願いいたします!
製薬企業の飽くなき新薬開発チャレンジーーー。目的は当然、収益アップですが、行き着く先は、人々の健康と幸せの向上でなければならない。日本には国民皆保険制があって、医薬品は全部保険で認められる(現物給付)。だから、一定程度、国の財政の制約を受けざるを得ない。制約が緩すぎれば、製薬企業は潤うが、財政がもたない。といって制約が強すぎれば、製薬ビジネスは活気を無くし、産業は衰退する。
目まぐるしく変化する時代の「感性」をしっかり捉えながら、ちょうどよいバランスを常に探り続ける。永遠不変の「絶対的な正解」なんてない。だから絶えず議論し、修正し、保守点検して、また議論し、修正し、保守点検し、そしてまた。。。を繰り返す。それが新薬開発と保険財政の関係です。
さてIQVIAのオンデマンドセミナー(4月28日収録)の申し込みが始まりました。私は新型コロナなど感染症治療薬と、現在、注目されているアルツハイマー型認知症治療薬の開発について、医療保険財政との関係、課題を講演させていだきました。お時間があったら、是非、ご視聴ください。
新薬が与えるアルツハイマーの治療と医療保険制度への影響 (utobrain.co.jp)