【お知らせ】本日更新は延期。明日更新いたします。

 

「本社への説明つらかった」、米製薬団体、フェリシアーノ日本代表が吐露、薬価制度見直し「15年以降、50個超」

 はい!皆さんこんにちは!先週のゴールデンウィーク明け以降、愚図ついた天気が続きますが、お元気でしょうか?

 米国研究製薬工業協会(PhRMA)が本日16日午後、記者会見を開催。日本代表のジェームズ・フェリシアーノ氏(在日執行委員会委員長、アッヴィ合同会社社長)が、こう話しました。

 「日本の薬価制度は15年以降、50個を超える見直しがあった。その都度、本社、本部に報告しなければならない。とくに苦痛だったのは、新薬創出加算(特許期間中の保険薬価を維持する制度)の対象範囲縮小と、毎年の薬価改定、市場拡大再算定の理不尽な対象選定だ。本社への説明はホントにつらかった」。

 ちょうど同日、日本、欧州、米国の製薬団体が共同提案を公表し、「医薬品の研究開発促進」や「医薬品産業の健全な育成」を訴えています。その中でも、薬価制度については「透明性・予見性」の維持を強調しています。簡単に言うと「薬価を引き下げるための制度の見直しを、短期間に何度もやらないでください!先行きがどうなるかわからないと、事業計画が建てられなくなる。結果、日本への新薬導入も躊躇せざるを得ない」ってことです。

 実際、ヘルスケアの大手調査会社IQVIAの予測調査でも、日本の医薬品市場は主要10か国で唯一マイナス。特許期間中の医薬品の保険価格も政策的にどんどん下げられています。日米欧3極の製薬業界団体は共同で、日本政府に強く改善策を求めていく方針です。

 今後、政府がどこまでどう受け止めるか?

 夏の参院選、新型コロナをはじめとする感染症の脅威、23年4月予定の診療報酬、薬価制度改改革。。。。。そんな中で、医薬品産業政策についても各方面、各段階で議論が進んでいきます。今後も、しっかりウオッチして参ります。

 写真はフェリシアーノ氏。毎回、日本語でプレゼンテーションしてくださいます。いまだ英語に弱い私にとって大変ありがたい。感謝です!!!今回の記者会見には、会場に行ってリアルに参加しました。業界の皆様に直接、お会いできるライブは、やっぱりいいです。曇天に引きずられて沈みがちな気持ちも上向きます!それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください!!!

 

 

 

新型コロナ対策“3年目”、日本独自モデルを!別に海外と同じでなくていい!!

 

  みなさん、お元気ですか?2年ぶりにコロナ規制無しだったゴールデンウィークも終了!!!いかが過ごされたでしょうか?

 新型コロナ。。。休み中に感染したヒトも増え、休み明けで検査数も増えるので、まあ一般メディアが定番とする「前週と比べて〇人減った!」「〇人増えた!」ということで言えば、今後しばらく増える可能性があります。しかし、1年前、2年前のように「危ない!」「死んでしまうぞ!」と、ヒステリックに大騒ぎする“煽り報道”“煽り発信”も少なくなり、世の中も大分、冷静になってきました。

 

 国を挙げた新型コロナ対策が始まって、もう3年目です。この間、コロナの感染には地域差、民族差があり、海外で実施している施策をそのまま持ち込めばいいわけではないことが明確になりました。また、患者を受け入れる医療機関、医師の積極性に濃淡があり、日本の医療提供体制の脆弱性が見えてきました。

 今後も警戒、注意は必要ですが、全世界一律の対策は「正解」ではない。その地域、民族にもっとも適した対策を打つ必要がある。そう考えると、こっから先、日本はじめ世界各国の首脳陣は、感染症対策に関する運営センス、アイディアの独自性が問われる。

 日本のことで言えば、そろそろSARS、MRSと同等の対策ランク「2類」を緩め、人々が活動しながら、感染を最小限(ゼロにするのは不可能なので。。。)に抑える。日本独自の政策を確立する時期が来ています。

 ということで今週はこの辺で。。。写真は連休中に訪れた上野の美術館前で撮影。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。

 

 

 

キュアアップの高血圧治療用アプリ、販売は基本「単独1社完結体制」も、協業の可能性は「否定しない」と佐竹社長

 

 みなさん、お元気ですか?世間は、ゴールデンウイークのド真ん中!暦通りの方もいるし、先週金と今日、月曜にお休みを取って「ひゃっほー!10連休!!!!」なんて羨ましい方もいらっしゃるかもしれませんね。

 さて先週4月26日付で、キュアアップが申請していた高血圧用治療アプリが承認され、年内にも販売される見通しになりました。医師の処方コードをもらって、患者がアプリをダウンロード。そこから発せられる各種情報を受けて生活習慣を改善すると、血圧を下げ、健常値を維持できる効果があります。医療保険の対象です。このアプリが広がり、治療現場で成果が積みあがっていけば、「とりあえず出しとくかあ」みたいに、安易だった高血圧治療薬の処方は少なくなるかもしれません。

 アプリはソフトウエアですから、医薬品のように物理的に運んだり、保管したり必要はない。処方コードに沿って、患者が自分の端末にダウンロードした時点で購入完了、使用開始となる。だから薬のような大所帯の販売部隊はいらないかもしれませんね。キュアアップの佐竹晃太社長も基本的に単独1社での販売管理体制を整備すると話しています。

 しかし、アプリはまだ新アイテムですから、医療現場でいかに理解してもらうかが今後の課題です。佐竹社長も「販売の協業は否定しない」と言っておられます。個人的には、理解浸透という面で、メーカーや、CSO(医薬品販売受託会社)が参加するのも悪くないのではないかと考えます。

 写真はキュアアップの佐竹晃太社長。それではみなさま、素敵な一週間をお過ごしください。

【速報4月27日付】

キュアアップの高血圧治療用アプリが「承認」獲得

生活改善指導で「医薬品を代替」、“医療費1.9兆円”の抑制に挑む

詳細はコチラ⇒https://www.yakushin-iryou.com/

 

 

MSDの会見で記者の質問が殺到&「未病への対応」に踏み出す製薬業界

 

 みなさん、お元気ですか?寒暖の著しい波が、続いていますね。温度調節が難しい今日この頃です。

 さて先週はいくつか記者会見がありましたので、その印象記を一席。。。。

 

◆MSDの会見は毎回、質問が殺到

 まずMSD製薬の年次会見(21日)。昨年4月の薬価引き下げでダメージを受けましたが、抗がん剤キートルーダなどが順調で売上高は2890億円(7.5%アップ)。今期22年は薬価改定もないし、コロナ治療薬ラゲブリオなどが貢献するので、順調に伸びるでしょう。

 MSDの記者会見は、このところ毎回、質問が殺到します。コロナ治療薬、抗がん剤、子宮頸がんワクチンなど、わかりやすい製品、事業が多い。加えて昨年は、1社単独で日本の薬価制度について意見表明したことでも注目されました。記者会見では、カイル・タトル社長が事業全体を説明した後、白石博満副社長が研究開発、ビジネス、医療保険など様々な角度から、毎回、日本語で丁寧に深く補足説明する。会見の運びも極めてスムーズです。そんなこんなで参加している記者の「もっと理解したい」「質問したい」というモチベーションが非常に高まっているように思います。

   MSD製薬には、ベテランの広報担当者が複数名いらっしゃいます。その方々の「志」「磨き上げたプロの気配り」あってのことでしょう。最近は、自社の広報を縮小し、PR会社に丸投げってケースも散見されます。MSDには是非、「トップシフトの本気の広報」を続けて行って欲しいです。

◆薬事、医療品評価委員会の共通テーマは「未病への対応」

 

 そして翌22日、新薬メーカー73社で構成される日本製薬工業協会が薬事委員会、医薬品評価委員会の活動計画についてリアル会見を設けてくださいました。

 薬事委は主に、医薬品の「承認申請」、医薬品評価委は、主に医薬品の「安全性、有効性の各種試験」について検討する委員会ですが、22年度は共通課題も沢山、あります。その中でも注目は「未病への対応」です。

 

 

 従来の医薬品の定義は「疾患を治す」でしたが、これからは疾患になる前に、予防する。すなわち“未”だ“病”ではないうちに対応する。それが大事な時代になりました。製薬業界として、この問題にどう向き合うのか?それを両委員会で議論することになります。まだまだ書きたいこと、お伝えしたいことは尽きませんが、今回は、この辺で!!!!

おいおい改めてディープに発信いたします。

 写真は、MSDのタトル社長、白沢副社長のツーショット。二番目が薬事委員会委員長の柏谷裕司氏(武田薬品)、三番目が医薬品評価委員会委員長の柳澤学氏(エーザイ)。丁寧にご説明したいただき、感謝しております。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。

 

 

 

 

「連続生産」ブレイク寸前!!!国内製薬企業も導入し、迅速かつ効率的に自社品製造!価格への反映を期待したい!!

   みなさんお元気ですか?夕刻になって雨がシト、シト、そしていまザア、ザア降りに変わりました。

 さて本日18日、新薬メーカー73社が加盟する日本製薬工業協会の「品質委員会」の記者会見に出席。「新時代の足音」を感じてきました。

 同委員会の22年度の活動計画に「連続生産」への対応や、3Dプリンターなど新製剤技術への準備が盛り込まれています。

 「連続生産」は、ここ数年に出てきた技術で、日本では塩野義、田辺三菱、エーザイ、富士フイルムなど数社しか導入していない。連続生産で医薬品を作る場合、各社が個別に厚労省などと綿密に相談して世に出しますが、何せ新技術で、事例も少ない。だからこそ、業界内で少ない情報を持ち寄って、安全性、有効性、品質確保について一定の認識を共有しておきましょうというのです。

 医薬品の製造は大きく言うと「量を測って」「混ぜて」「こねて」「乾かして」「形にして」「きれいにする」という6つの過程をたどる。従来は、ひとつひとつの過程で、取り出してヒトが目視で確認する「パッチ生産」だったのですが、「連続生産」はいちいち取り出さず、6つの過程を一気に進め、デジタル技術で状態確認する。迅速かつ効率的な製造が可能になるのです。

 品質委員会には的確な基準を確立して、よりよい形で普及させて欲しいです。当然ですが、国内製薬業界で連続生産が定着した暁には、素晴らしい医薬品を、いまより安い価格で提供してくれるはずです。製薬各社さん、そこんところお忘れなく!よろしくお願いしますよ!

 写真は製薬協品質委員会の記者会見風景。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください!!!

 

 

一般の人に知られていない「バイオシミラー」!大事なのに。。。。

 

 みなさん、お元気ですか?しばらく気温変動の激しい日が続きましたが、それも終わり。ようやく春の気候をゆっくり味わえるようになりました。

 さて先週4日、日本バイオシミラー協議会のフォーラムがありました。

 業界関係者以外の方は「バイオシミラーって何よ?」って、なるかもしれません。医薬品って、数10年前までヒトが化学物質を合成して作る「化学合成医薬品」が主流だったんですが、いまは、遺伝子組み合えとか、細胞培養とか、もともと生物が持っている力を利用して作る「バイオ医薬品」がどんどん出てきています。

 で、初めに出た「バイオ医薬品」の特許が切れて、その特許情報を利用して初めに出たバイオ医薬品と、限りなく、そっくり(similar)に作った医薬品をバイオシミラーと言います。初めのバイオ医薬品と全く同じものを作ろうとしても、製造工程や場所の違いで全く同じにはできないのがバイオの特性なんです。だからシミラー(similar)なんです。ただ、疾患に対する効果、安全性は初めのバイオ品と同等、しかも価格は初めのバイオ品より安い。

 そのため医療費効率化の観点から、政府は数年前からバイオシミラーの使用促進を働き掛けています。それもあって日本でもバイオシミラーの数も増え、徐々に使用されるようになっています。

 先週のフォーラムに参加し、「数年前と比べるとずいぶん増えたなあ」との印象を受けました。ただ、使用割合は24%ほど。主に化学合成医薬品中心の先発品と後発品(ジェネリック)の使用比率は、後発品が80%ですから、それと比べたらまだまだ低い。フォーラムでは様々な課題が示されました。この先どうなるでしょう?それはおいおい発信いたします。地道に取材を続けます。

 写真は休みに立ち寄ったかカフェで。。。。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。

 

 

 

 

 

 

特定保健指導を“実体験”!有難き日本の保健制度!

 みなさんお元気ですか?

 本日は、公的医療保険の保険者による「特定保健指導」を初めて受けました。昨年受けた健康診断の結果、中性脂肪、nonHDLコレステロールが基準値を超え、対象に選ばれました!(誇るものではない、苦笑)。指導員の方に色々、アドバイスを受け、規則正しい食事と、適度な運動の継続を目標に設定しました。当たり前のことなんですが、やはり他者と対話して回答を導き、目標を定めるとモチベーションが違いますよね。日本の公的医療保健制度の有難さを実感、がんばろう!と思いました。そんなこんなで、もうこんな時間に。。。。今回はこれで失礼!

 写真は近所でみた桜。どういうわけか桜は雨も似合いますね!みなさま、素敵な1週間をお過ごしください!

 

中外製薬が「眼科」、「皮膚科」領域で“ユニークな抗体医薬品”の承認を取得!!!いまだ衰えを見せない技術主導の開発戦略!次なる課題は医薬品を超える新サービス開拓

 みなさんお元気ですか?

 中外製薬の奥田修社長が先週、記者懇談会で、同社の現状について色々やり取りしてくださいました。中外は21年に売上高9998億円を達成。22年度は、創業以来初めて売上高1兆円超える見通しです。

 世界的な製薬企業スイス・ロシュの傘下に入りながら、日本国内で上場を維持し、中外製薬独自の新薬を生み出し続ける。このスタイルが確立して早20年が経過しました。日本で最も早く抗体医薬品開発、製造に乗り出したのも中外で、その勢いは、いまだ衰える気配はありません。

 中外の新薬開発は技術重視で、初めから特定の疾患領域にターゲットを絞る戦略は取りません。技術が使えるところなら、どんな疾患でも開発ターゲットになります。

 最先端技術を使った開発ですから、結果的に、ニーズが高く、新薬トレンドの移り変わりが激しいがん領域が多いのが現状ですが、時々、面白いものが出てくる。本日3月28日に、アトピー性皮膚炎のかゆみを改善する抗体医薬品「ミチーガ」、加齢黄斑変性を治療する抗体医薬品「バミースモ」(ロシュから導入)の製造承認を取得、間もなく臨床現場で処方してもらえるようになります。

 そんなこんなで、中外の新薬開発力は日本の中でも際立っています。ただ、数年前に打ち立てた経営計画では、目指すべき姿を、それまで掲げていた「日本のトップ製薬企業」から「世界のヘルスケア産業のトップイノベーター」にすそ野を広げました。医薬品以外の患者貢献サービスを含めて、ヒトの健康と幸せを支えるという思いからでしょう。新薬の開発力では申し分のない中外ですが、自ら掲げた理想像を実現するには、今後、薬以外でどんなサービスを生み出し、存在感を示すかも課題になりましょう。期待をもってウォッチしていきます!

 写真は奥田修社長。それではみなさん、素敵な1週間をお過ごしください!!!

 

 

エーザイの内藤晴夫CEO アルツハイマー治療薬開発「不退転の決意」表明!!!

 

 みなさんお元気ですか?春近しと言えど本日、降雪也。油断ならん気候です。

 さて先週16日、アルツハイマー型認知症(AD)の治療薬開発に力を入れているエーザイのインフォメーションミーティングが開かれ、内藤晴夫代表執行役(CEO)が今後も、ADの治療薬開発に不退転の決意で臨む姿勢を表明しました。

 エーザイは90年代半ばにADの進行を遅らせる薬アリセプトを米国、イギリス、日本に送り出して以降、一貫してADを「治療する薬」の開発を目指しています。しかし、この領域は中々、ハードルが高い。症状の進行は抑制できても、症状をなくす、すなわち「治療効果」を証明した薬は、今の今まで出ていない。

 昨年6月、エーザイと米バイオジェンとの共同開発品アデュカヌマブ(バイオジェン発)が、ADを引き起こす1因とされる脳内のβアミロイドを除去する薬として米国で承認されました。しかし、「疾患に、どこまで効果があるか、副作用は大丈夫か、データが不十分」と承認そのものを疑問視する専門家も多く、追加試験が義務付けられています。さらに米国の公的医療保険は、追加試験に参加する患者にしか認められない状況です。

 しかし、エーザイは新薬開発を続ける大方針を変えません。バイオジェンとの間で締結したアデユカヌマブの契約を変更し、自社の負担を軽減したうえで、自ら創製した第3の新薬レカネマブに軸足を置いて研究開発に力を入れます。※レカネマブもバイオジェンと共同開発契約を締結しています。

 先のインフォメーションミーティングは、内藤CEOの決意表明の場になりました。

 そもそもADをどうとらえるかーー。「老化現象のひとつ。治療すべき疾患ではない」という意見も昔からあります。人類の平均寿命が延びる中で、世界的なトレンドがADは治療より、むしろ、いかに予防すべきかが重要視されるようになってきています。そんな状況ではありますが、もし「治療薬」の開発に成功すれば世界初!!!「人類の福音」となるのは間違いないでしょう。

 個人的な意見ですが、エーザイには、新薬の開発と同時に、疾患の発症予防、治療を始める時期と止める時期をしっかり見極めるツールの開発なども期待しています。こちらの方は、ハイリスクハイリターンの新薬ビジネスと比べ、収益化がかなり難しいと思われますが。。エーザイならやってくれそうです。

 ということで写真は熱弁をふるう内藤CEO。今回はリモートで、毎年楽しみにしているリアルライブは観られませんでしたが、液晶画面を通じて熱気はひしひしと感ぜられました!!!それではみなさん!素敵な1週間をお過ごしください!

 

 
 
 
© 2025 薬新プラザ|医薬品業界の「本質」を発信するサイト