Posted on 7月 31st, 2017 by IDAKA
みなさん、お元気ですか?先週末は久方ぶりの雨降り。それでも各地のお祭り、花火大会は例年以上の盛況ぶりだったようです。
さて、日本で約10万人の患者がいるとされる非小細胞がんで、製薬企業各社の熾烈な新薬開発競争が続いております。今年に入って中外製薬のアレセンサが、同種同効品のファイザーのザーコリとの比較試験結果を公表。病勢進行、死亡リスクを53%低下させ、脳転移率も約4分の1に抑えることを示しました。それ以来、アレセンサが臨床現場でも圧倒的な支持を得ています。
競合品との1対1の比較試験で、これだけ差が出るのは極めて稀。というか、ライバル同士お互いに協力するのを嫌がって、そもそも1対1の比較試験はなかなかできないのが現状です。高血圧治療薬とか、糖尿病治療薬などは同種同効品がいくつもありますが、ほとんど偽薬(薬に似せて作った無害の物質=プラセボ)との比較試験で、2つの医薬品の良し悪しを比較判断する場合は、偽薬との差を見比べる程度です。ガチンコ勝負を避けて、お茶を濁しているのです。抗がん剤アレセンサ、ザーコリは、直接比較試験が実施できたこと自体、素晴らしい。高血圧や、糖尿病、高脂血症など、生活習慣病治療薬でも、メーカーが違う同種同効品は是非、やって、どっちがいいか、はっきりさせて欲しいです。
アレセンサ、ザーコリはともに、ALKというリン酸化酵素が混じった遺伝子(ALK融合遺伝子)を持つ患者を対象とする抗がん剤です。一般的に抗がん剤は投与しても、ほとんど効かない場合があるのですが、アレセンサ、ザーコリをALK融合遺伝子を持つ患者に絞って投与すると、9割近く効きます。
非小細胞患者のうちALK融合遺伝子を持つ患者は3~5%ですから、国内では、せいぜい4万人。それでも延命率が伸びれば患者さんに継続投与してもらえるので、企業も採算が取れます。この領域では武田薬品も試験を進めており、近く3製品が競合することになります。各社の開発競争が活発化するということは、新薬を待つ患者にとって良いことです。どんどんしのぎを削って欲しいです。
写真は週末に訪れた食堂で撮影。生まれて初めて飲んだトマトの味噌汁。見た目、彩りも美しい。あったかくておいしかったです。それでは皆様、素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 7月 24th, 2017 by IDAKA
みなさんお元気ですか?暑い日が続きます。今年は梅雨を超えて一足飛びに夏に突入って感じですね。
さて医療費に占める薬剤費を抑えようとする政府の施策は「薬価の抑制」に飽き足らず、「処方、投薬の抑制」にどんどん踏み込んできています。不適正な価格や使用は、是正して当然なのですが、それで製薬企業がいじけちゃうのは困りものです。例えば80年代までは、多くの国内メーカーが製造販売していた抗生物質。薬価が下がって儲からないので、数社を除いて、やめちゃいました。原料はほとんど中国産で日本のメーカーは作れません。生産設備も、技術も捨てちゃったんです。
様々な電気用品に使うレアアースはほとんどが中国産で、一時、政治利用され、めちゃくちゃ輸入価格が高騰したことがありました。打開策として、各国がこぞって代替原料に変更する動きを見せ、ようやく価格は正常化したようですが、ことほど左様に、原料輸入を一国に頼るのはまずいわけです。
今年4月からスタートした武田コンシューマーヘルスケア(武田グループの一般用薬子会社)は漢方製剤主要原料の国産化を進めています。「信州大黄」と「甘草」を国内で安定的に栽培し、自社の漢方製剤に使用しようという計画です。とくに「甘草」は漢方製剤の7割に使われている汎用原料です。しかし、現在はすべて中国からの輸入に依存しており、価格や量の変動リスクを抱えています。そこで国産化を進め、「純国産」を付加価値に販売しようというわけです。鹿島建設や、三菱樹脂も同様の計画を進めていますが、杉本雅史社長は「間もなく商業生産できる。おそらく当社がもっとも早く漕ぎ着けるだろう」と話しています。漢方と言えば、イコール中国、本家本元は紛れもなく中国なんですが、「純日本国産の漢方製剤」というキャッチフレーズのテレビCMが流れる日も近いかもしれませんね。抗生物質も、主要なものは、純国産をいつでも国内で生産できる体制を維持しておく必要があるのではないでしょうか?
写真は武田CHCの杉本社長。それでは皆様、夏、真っ盛り!!!楽しく乗り越えましょう!素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 7月 10th, 2017 by IDAKA
みなさん、お元気ですか?九州北部を豪雨が襲いましたが、関東は連日のカンカン照り。梅雨らしさがありません。これも地球温暖化がもたらす、異常気象ではないだろうか?と考えてしまう今日この頃です。
さて11日発令の厚労省人事が明らかになりました。事務次官が二川一男氏から蒲原基道氏(老健局長)に交代、優秀な人材が多いといわれる83年入省組が、それぞれ、いい感じのポストに就きました。
保険局長に鈴木俊彦氏(年金局長)、医政局長に武田俊彦氏(医薬・生活衛生局長)、年金局長に木下賢志氏(内閣官房社会保障改革担当室長)という具合です。この年次には、ほかに官房長に樽見英樹氏がいます。樽見氏といえば10年以上前、同氏が新人採用を担当されているときに「面接で最も重視している点はなんですか?」とお聞きしたことがあります。その際、「説明能力です」と回答されました。私が、さらに「説明能力というのは?」とお聞きすると「自分の思いや、実現したいと考えていることを他者にわかりやすく論理的に自分自身の言葉で、説得力を持って伝える能力です」とお答えいただいたのを思い出します。「なるほどお~」と思ったものです。説明能力がない役人なんて、いやですものね。「プレゼンテーション」ではなく、敢えて「説明能力」とした点が、結構大事だったりする気がします。
83年入省組のみなさんは、それぞれ誠実で、キャラが立っています。まさにこの年次は「豊作」です。蒲原新事務次官が、新体制を、いかに切り盛りして、善政を敷くか。注目していきます。
写真は先週、とある企業の方にご案内いただいた老舗の焼き鳥屋さん。焼き鳥、空前絶後のおいしさでした。そして何より、カウンターしかない風情が何とも言えない。写真は四代目が煮込みを仕込んでいる様子。また、是非、行きたいです。それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 7月 3rd, 2017 by IDAKA

みなさんお元気ですか?
いやあ~。東京都議選での自民党が大敗。安倍政権に大きなダメージを与えました。いわゆる安倍一強という状況で、自民党はわが世の春を謳歌していたわけですが、共謀罪の強行採決や、数々の閣僚の傲慢発言など、明らかにやり過ぎでした。その結果が今回の都議選での大敗。自民党は議席数を57から23に大きく減らしました。党幹部は「30議席を割るとは思わなかった」とぼやいているそうですが、能天気というほかない。都民そして国民の危機感はそれほど大きかったのです。驕れるもの久しからずといいますが、一度吹いた逆風はそう簡単にやみません。安倍政権は今後、内閣改造で体制を立て直そうとするでしょうが、小泉進次郎議員を閣僚に入れたくらいでは駄目でしょう。
しかし、やはり人は圧倒的な権力を持ってしまうと、他の人の声が聞こえなくなってしまうんでしょうか?高いビルディングの屋上から、路上を歩く人々を見下ろせば、米粒のように小さくしか見えません。でも、実は、それぞれがそれぞれの人生を背負って精一杯生きている。ずっと屋上にいると、思いをはせる感性さえ失ってしまうんだろうか?そんなことを考えた今回の東京都議選でした。
写真は近所で咲いていた今絶好調のあじさいさん。それではみなさん、素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 6月 26th, 2017 by IDAKA
みなさん、お元気ですか?ようやく梅雨入り?今年は案外、期間は短いかもしれませんね。
さて6月25日日曜日、私が長年、親しくしていただいているACメディカルの代表取締役副社長、昌原清植氏が東京大手町で開かれた日本薬局管理学研究会で講演されました。昌原氏は12年12月に「急性リンパ性白血病」と診断され、翌13年10月、造血幹細胞移植を受けました。しかし、14年、再び白血病細胞が増え始めたため、造血幹細胞を提供してもらった人から、リンパ球の追加提供を受け、回復しました。こうして文字にすると、なんだか非常に軽くなってしまうのですが、この間、同氏は、想像を絶する苦悶の日々を送ったようです。様々な薬の副作用、合併症が同氏を襲ったのです。講演では医師、看護師、薬剤師など多くの方に、助けられた経験を話し、薬局薬剤師に「多職種連携の重要性」を訴えました。
闘病中に昌原氏を襲った副作用、合併症は、がん治療で知られているほとんどすべてと言っていいでしょう。代表的なのは「口内炎」「サイトメガロウイルス網膜症」「下痢」の3つ。昌原氏によると、この3つの中でも、最もつらかったのは昼夜を問わず1日に何10回もトイレに通わなければならない「下痢」だったそうです。「薬の副作用として下痢を軽んじてはいけない。MRにも『副作用は下痢くらいです』などと、言うもんではないと話している」と語りました。
昌原氏は現在も外来で治療を継続中。薬は病院で処方箋をもらい、薬局で調剤してもらっています。講演では「医師は患者の性質、生活環境を考慮して処方する抗がん剤を選択している。薬局薬剤師も、それを知ったうえで調剤して欲しい」と訴え、処方元の医師とのコミュニケーションを求めました。
昌原氏はもともと、ものすごく明るく、エネルギッシュな方で、入院中、お見舞いに行った時も、ニコニコ笑顔で迎えてくださり、同氏が発する冗談にかえって笑わせてもらったくらいでした。厳しい副作用、合併症に苦しんでらしたこと。。全然、慮ることができず、今思うと、大変、ふがいなく思います。それでも、昌原氏のそんな「陽」の性格、姿勢、そしてご自身が薬剤師で、冷静に自分の容態に向き合ったことが良かったのかもしれません。いまでは、すっかり元気になられ、たまに私のお酒にも付き合ってくれますし、休みにはスキーにも行っているそうです。昌原氏は、同じ年同じ月生まれ!!!白血病になった経験を持つ業界人として、貴重な経験を業界に還元し、これからも、どんどん活躍して欲しいです。
※ACメディカルのHPに昌原氏の文章が掲載されています。かつて雑誌、医薬経済が、昌原氏の闘病記を連載していました。ご興味がある方は、是非ご覧ください。
写真は講演する昌原氏。それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 6月 19th, 2017 by IDAKA
いやあ~。最近、バンバン出てきますね。オーソライズド・ジェネリック(AG)。いいんでしょうか?こういうの?
新薬の特許が切れた後、同一成分同一効能で安い価格で出て来るのがジェネリック(GE)。その中でも、新薬メーカーと提携して、原料や製造方法、場合によっては工場の生産ラインまで同一にしたのが、AG(Authorized=許諾を得た+Generic=後発品)です。新薬メーカーは「新薬の特許が切れたら、GEに道を譲る」というのが大原則だったはずですが、只でGEを道を譲るのが癪なもんだから、提携した企業にAGを作らせてロイヤリティを得ているのです。特許が切れた新薬は長期収載品といいますが、新薬メーカーは長期収載品を売りながら、AGからもロイヤリティ収入を得ます。
長期収載品の販売に力を入れてGEの参入を阻害すると、薬価を下げるというルールがあります。だから、新薬メーカーは長期収載品の販売は引下げルールにかからない程度にそこそこに止めておいて、AGのロイヤリティで、その減収分をカバーしようと考えたわけです。新薬メーカーのあざとい戦略ですね。AGがバンバン出てきたら、新薬メーカーと提携していないGEメーカーは、たまったもんじゃないですよね。こういうのありでしょうか?
ただ、患者からしたらどうでしょう?新薬と原料、製造方法、工場まで同じで価格が安いなら、それにこしたことない。「AGいいじゃん!!」と思う方が多いのではないでしょうか?GEメーカーは、新薬メーカーと提携したAG以上の高品質、安価、付加価値を生み出していかねばなりません。逆に、AGが新薬メーカーのお墨付きと、支持率の高さに胡坐をかいて、高価格で販売し続けていると、いつか手痛いしっぺ返しを食らうでしょう。
写真はバラの花に埋もれた近所の喫茶店。見事な咲きっぷりでした!それではみなさん。素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 6月 12th, 2017 by IDAKA

ジェネリック医薬品の使用促進が浸透して、医療保険で支払う医薬品の価格政策が大きく変わりそうです。ジェネリック医薬品があるならそれを使うのが「当然」という考えを基本に、すべての政策の組み替えが始まるのです。
新薬の特許が切れると、同一成分同一効能の後発医薬品(ジェネリック医薬品)がいくつか出てきます。ジェネリックは、新薬の研究開発ほどお金がかかずに開発できるので、新薬より安い価格で患者に提供できます。医療保険財政財政の抑制につながるので、政府は10年くらい前から、我々国民に、ジェネリックの使用を呼び掛けてきました。はじめはあまり使われていませんでしたが、いまや国内で使用する医薬品の7割がジェネリックという状況になりました。で、ここにきて政府は態度を大きく変えてきました。
これまでは政府は我々国民に「ジェネリックを使ってください」とお願いしていたのですが、最近は「ジェネリックを使うのが当然ですよ」と突き放しにかかってきたのです。
で、何が変わるか?とりあえず、ジェネリックがあるのに使わないで、特許が切れた新薬メーカーの製品(先発品)を使う場合は「ジェネリックとの差額を自分で払ってください」という仕組みを導入しようとしています。政府が先週まとめた経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)には入りませんでしたが、素案の段階ではしっかり書き込まれていました。この仕組みは、もうずいぶん前から財務省が主張していて、将来、導入される可能性大です。保険薬局には「患者にジェネリックを使用を薦め、実際にジェネリックを使用してもらえたら調剤報酬を加算します」というご褒美があったのですが、これもいつか終わるでしょう。逆に「ジェネリックの調剤が少ない薬局は調剤報酬を減額する」という罰則ができるかもしれません。
というわけで、医療保険の医薬品関連政策は大きな転換点に差し掛かっています。
写真は近所でさりげなく咲いていたドクダミの花。お日様の光を浴びてなんだか楽しそうに見えます。それでは皆様。素敵な一週間をお過ごしください!
Posted on 6月 5th, 2017 by IDAKA

「日本の医療用医薬品市場は今後10年間、頭打ちか、減少する」
欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)が5月31日、日本の医薬品市場に関するシミュレーションを発表しました。制度改革で薬価(保険で支払う医薬品の価格)を厳しく引き締めれば「減少」、現行制度を維持してもせいぜい「頭打ち」にしかならない。今の医薬品市場は薬価ベースで約10.6 兆円だが、10年後の2026年度予測は最小で8兆円、最大でも10.3兆円で、市場は膨らまない。そう見ています。EFPIAはじめ製薬業界は、この予測をもって「薬価だけ締め付けても医療費は適正化できない」「新薬を高い価格でもっと評価欲しい」と主張しています。それはそれで、立場上、当然の主張でしょう。
しかし、素朴な疑問が、頭をもたげてきます。「減少」「頭打ち」の原因は、何なのか?という疑問です。単に「新薬の評価が低いから」でしょうか?「医薬品産業政策が弱いから」でしょうか?私はそうは思いません。
かつて1品目で1000億円を超える売り上げを叩き出した高血圧、高脂血症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病治療薬は、みな特許が切れて価格の安い後発品にシェアを奪われています。研究開発トレンドは「低分子」から「高分子」(バイオ医薬品)に移行しており、新薬を生み出すにもハードルは上がっている。各社の新薬がなかなか出てこないのです。薬価で高く評価するにしても、評価に資する新薬が出てこなければ、評価のしようがない。また、どんな新薬を、どう、どの水準で評価するのか?という課題もある。「頭打ち」か、「減少」が予測される国内市場の中で、製薬業界、企業は、何をどう訴えるのか?より具体的で説得力のある主張が必要な時です。
写真は記者会見するオーレ・ムルスコウ・ベックEFPIA Japan会長(ノボノルディスクファーマ社長)。それではみなさん!!!素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 5月 29th, 2017 by IDAKA
みなさん、お元気ですか?
窓を開けるだけで心地よい空気が部屋に入る。冷房も暖房も要らない。Tシャツ1枚で、どこにでも行ける。梅雨の前に、年に一度だけやってくる。1週間あるか、ないか。春とも言えず夏とも言えない。どっちつかずの肌感覚が、とても素晴らしい。私が一番好きな時期です。
さて先週5月25日(木)毎年恒例の日本製薬工業協会会長記者会見が開かれ、畑中好彦会長(アステラス製薬社長)が製薬協の今後の取り組みについてプレゼンテーションしました。畑中会長と言えば、業界内でも「勤勉」「実直」で有名。アステラスの快進撃を指揮する名経営者ですが、公的な発言は、どこに行っても手堅過ぎるほど、手堅い。だから記事にするのが大変、難しい。いわゆる「記者泣かせ」な、お方です。しかし、この日の会見では、薬価制度(医療保険で支払う医薬品の価格を決める制度)の改革について、かなり踏み込んだ発言をされました。
前回、このブログで書いた、いわゆる原価計算方式について「新薬のイノベーションを評価するには適切ではない」と強調、製薬協として新制度を提案する姿勢を表明したのです。「似たような薬がない新薬は、原価や営業利益の積み上げではなく、他の治療法などと比較して、どれだけ社会的な便益をもたらすかを考慮して、価格をつけるべきだ」と述べ、既存制度を根本的に改める必要性を訴えました。
現在、製薬協で具体案を構築中。近く公表される模様です。議論の舞台である中央社会保険医療協議会で、年末まで、後2回、業界が意見を述べる機会があります。「いましっかり議論をしておくことは、我々、業界にとって大いにアドバンテージがある」と畑中会長(懇親会にて)。どこまで説得力のある提案をまとめ得るか。注目です。
写真は畑中会長(右)と日本製薬団体連合会の多田正世会長(大日本住友製薬社長)。それでは皆さん!!素敵な一週間をお過ごしください。
Posted on 5月 22nd, 2017 by IDAKA
みなさん、お元気ですか?5月というのに、夏のような暑い日が続きます。海に行って、ザバザバしたあい~。今週は、そんな気分での幕開けとなりました(^O^)
さて先週は、医療保険で、個別の医薬品にいくら払うか――。それを決める保険薬価制度の改革について、製薬業界代表が中央社会保険医療協議会で意見陳述しました。すでに似ている薬がある場合は、その類似薬を基本に薬価をつけますが、類似薬がない場合、製造原価に、これまでの研究開発費とか、ある程度の利益とかを上乗せして薬価を決めます。これを原価計算方式と呼びますが、協議会では、この方式について、たびたび「当局と企業のやり取りが不透明だ」との指摘が出ています。今回の意見陳述でも焦点となり、全国健康保険協会の吉森俊和理事が「どのような提出様式や要件設定を求めているのか。雛形を示してほしい」という要望が出ました。以前には、日本医師会の中川俊男副会長も「モデルケースを資料で出してほしい」と要望していますから、厚労省も、さすがにもうスルーできないでしょう。わかりやすい資料を準備しなければならなくなりました。
「企業秘密が多いので開示できない」という理由で、これまで外に出ることがなかった原価計算のベールの一端が剥がされようとしています。業界も積極的に協力すべきでしょう。透明化した方が、痛くもない腹を探られるよりよっぽど、いいのではないでしょうか?
写真は中医協での意見陳述後、記者に囲まれながら会場を後にする日本製薬団体連合会の多田正世会長(大日本住友製薬社長)です。それではみなさん素敵な一週間をお過ごしください!!!