武田薬品と、テバの合弁設立の「狙い」は鮮明、退路を断ち、新薬に特化

 16年4月以降に設立される武田薬品とテバファーマの合弁会社について追加情報が発表されました。扱うのは武田の長期収載品「ブロプレス」「タケプロン」「ベイスン」などだそうです。で、この合弁会社設立。「武田の狙いがいまいち、よくわからん」と訝しがる声もありますが、そうでしょうか?私はむしろ、鮮明ではないか、と思うのですが。。。

武田は長期品を手放し、新薬開発にまい進する。いわば退路を断ったわけです。そして自社の長期品の命運を、国内専業の後発品メーカーではなく、海外に販路を持つテバに託した。株式41%分の、見返りは得られる。後発品事業は、一部、あすか製薬と提携していますが、少なくとも、今後、あすかとの提携を広げることはないでしょう。というわけで、国内でも、テバの長期品、後発品事業のプレゼンスが今後、高まっていく可能性があります。武田の新薬開発も、エッジが鋭くなっていくかもしれません。先に、エーザイが循環器系の長期収載品を、味の素との統合会社に委ねました。時代の変化に合わせて、国内企業も少しずつ新しい動きを見せ始めています。16年は、きっと何かありそうです。

写真は中医協。16年度制度改革もようやく一息。ということで2015年の薬新カフェの更新は、今回で終了です。1年間ありがとうございました!よいお年をお迎えください!

 

ギリアドは「費用対効果分析」に参戦し、「ソバルディ、ハーボニーの適切な薬価はこうだ!!」と実証せよ!!

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みなさん、お元気ですか?

16年度の薬価制度改革で、売上高が1000億円を超える巨額な医薬品は、保険から給付する薬価(保険薬価)を下げることが決まりました。ギリアド・サイエンシズ社のC型肝炎治療薬ソバルディと、ハーボニー配合錠などが対象になる見通しです。

ギリアドおよび製薬業界は「医療現場で評価され、使われているのはよい薬だからだ。にもかかわらず売り上げが増えただけで保険薬価を下げるなんてあんまりだ」と問題視、一方、中央社会保険医療協議会の先生方は「医療保険財政には限りがある。薬価が高いものが、どんどん売り上げを増やすと、国民皆保険制度がもたない」と主張しています。

IMG_1843いずれも一理ありますね。ただ、結局のところ、どの程度の薬価が適切なのか?いまのところ万人が納得する説得力のあるデータは示されていない。16年4月以降、医薬品や技術の費用対効果を測る作業のテストが始まります。ギリアドには是非、テストに参加して「当社製品の正しい保険薬価はこうだ!」と示してほしいものです。

 

 

 で、写真は銀座、山野楽器とブルガリのイルミネーション!!今週はクリスマス、そして来週は大みそか、でもって、いよいよ16年1月1日を迎えます。年末は何かと忙しい。「心を亡くす」と書いて「忙」。そうならないよう心がけたいですね。それではみなさま。素敵な一週間をお過ごしください。

 

消費税軽減税率の導入、年金積立金の損出で、軋む日本の社会保障制度。

IMG_1867 消費税の軽減税率が飲食料品全般に適用される方向になりました。今日、明日の生活だけ考えると、いいように見えますが、これって正しいでしょうか?消費税は「もっとも公平性がある」と言われますが、飲食料品を軽減したら、つましい生活をしている低所得者より、いいものを購入消費する高額所得者の方が、軽減の恩恵は大きくなると言われます。また、税率の軽減で、当初当てにしていた1兆円の財源が吹っ飛ぶので、消費税の投入先である社会保障費へのしわ寄せも大きい。11月末には、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、我々国民の年金積立金の株式投資に失敗して7兆8000億円もの損出を出しているし。そもそも年金積立金を、株で増やそうとすること自体、邪道なんです。◎関連記事⇒コチラ

財源はないわ。年金はますます縮小するわ。高齢者介護の需要が益々、増大するわ。勢い医療費ばかり目の敵にされてしまうような気がします。大丈夫でしょうか?しっかりウォッチしていきたいと思います。

 で写真は先週12月11日の不思議な空。水彩絵の具で塗ったような。。。あるいは大きな綿で作ったような。この日、東海地方は朝から気温が上がり、三重県では25度を超える夏日になったそうです。ということで、15年も大詰めです!みなさん、素敵な一週間をお過ごしください!

 

記者クラブ優遇の「傍聴差別」はやめろ!薬価改革論議が大詰め!

IMG_1848  はい!みなさん。お元気ですか?16年度の薬価制度改革論議も、いよいよ終盤を迎えます

で、これまでのところ新薬創出加算の維持・継続と、基礎的医薬品の価格維持が決定、長期収載品の価格引き下げも対象品が60%以下から70%以下に広がるも、引き下げ率は据え置かれる方向になっています。ということは?そうです!製薬業界の言い分は概ね通っているのです。近年まれに見る改革です。と言って年末までの議論はまだ残っています。油断は禁物!過去の流れから推測すると、中央社会医療協議会薬価専門部会では今週9日(水)の業界意見陳述を経て、16日(水)に、制度改革の「たたき台」が示され、25日(金)の制度改革の「骨子案」でほぼ全体像が固まる見通しです。ということは今年の議論は残すところ後3回。気合い入れてウオッチしていきます!!

 厚労省!!厚労省!!

「お記者様」の優待席を直ちに撤去せよ!

 写真は全国都市会館で。2日(水)中医協論議が始まる前。右上は、入り口付近で談笑する傍聴者たち。この日は傍聴者席が70席弱しかなく、おそらく200人くらいが涙を呑んで、すごすごと帰っていきました。しかも9時開始で、6時に並んで待っていても、競争率が激しくて席が取れません。

ところが2番目、3番目の写真を見てください。2番目は、一般紙やテレビなど巨大メディアで構成する厚労記者会の「お記者様」らのお席、3番目は、健保連や国保中央会など厚労省とのつながりが深い団体や、専門誌が所属する日比谷クラブの「お記者様」らのお席で、初めから、しっかりご用意されています。

で、この、お記者様たち。一般傍聴者が何時間も並んで、やっとの思いで席を確保しているのをしり目に、開始時間ギリギリになってお殿様のように現れ、適当に聞いて帰る。あるいは、しっかり睡眠をとって前日の疲れを癒していきます。というか、もっとひどいのは「お記者様」の席は、めったに埋まりません。毎回3分の1以上が空席のままです。これってどーですか?厚労省のみなさん!!記者クラブの特別扱いはもうやめてください。そんな時代じゃないでしょ?

 

 

医療費の自然増を1700億円も圧縮していいのか?医療従事者の「人心荒廃」は医療保険制度の崩壊につながる!!!

みなさん!お元気ですか?街は早くもクリスマス一色ですが、いかがお過ごしですか?

 さて16年度、医療費・薬価改定論議も大詰めを迎えます。厚労省が推計した医療費の自然増(高齢化や技術の高度化などによる増加)は6700億円ですが、政府は財務省の意向を受け、自然増を5000億円(高齢化分のみ)に圧縮しようとしております。以前の日本医師会なら、猛然と抗議し、医療費アップを要求したでしょうが、最近はちょっと声が小さいように思います。確かに声は上げているんですが、10年、20年前のような勢い、迫力がない。ここ10数年、「日医は欲張り村の村長集団だ!」と、あまりに、叩かれ過ぎたので、弱ってしまったのかもしれません。また、世の中も、大きく変化し、国民も洗練され、声の大きさや、強引さだけでは、何も通らなくなりました。

それはそれで結構なことなんですが、やはり気になるのは医療費。本当に、自然増を圧縮していいのでしょうか?私は、諸外国との比較で、日本の国民皆保険制度ほど素晴らしい「文化遺産」はないと考えております。あんまりギュウギュウに医療費を絞ると、現場の医療従事者の生活を圧迫し、制度そのものが荒廃してしまいます。せめて自然増は、許容すべきではないでしょうか?

 で写真は先日、都内で行われた1型糖尿病の3人で構成されるバンド「1-GATA」のクリスマスライブ(ノボ ノルディスクファーマ主催)。糖尿病というと「生活習慣病」と思い勝ちですが、それは「2型」に限ってのこと。「1型」は自己免疫反応が引き金になって発症するもので「生活習慣病」ではないんですね。日本では「2型」が多く、「1型」の正しい理解が進まないようです。「1-GATA」のみなさん。素晴らしい演奏でした!!今後も、ご活躍を!!それでは皆様。穏やかで素敵な一週間をお過ごしください。

 

 

ここにきて製薬業界が急激に「巻き返し」、なぜか16年度薬価制度改革論議の「木枯らし」が和らいで見える

みなさん、お元気ですか?朝起きたら、久々にスカッとした晴天!いかがお過ごしですか?

さて、引き続き16年度薬価制度改革論議。ここにきて製薬業界が、かなり巻き返しているように感じます。最大の焦点である特許が切れた長期収載品の特例追加引下げ。さらなる切込みが懸念されましたが、いまのところ突っ込んだ意見は出ていません。それどころか、中医協の参考人から「長期品の特例追加引き下げで、果たして後発品の使用促進につながるのか。議論が必要」(坂巻弘之東京理科大教授)と、根本的な問題提起さえ上がってきました。新薬創出加算も、業界がスローガンを「本格導入」から「維持継続」に和らげてから、とくに強い否定的な意見はないように思います。先日、12日に開かれた医薬品卸売業連合会のセミナーで、沢井製薬の澤井光郎社長が「後発品の薬価は多くがはじめから先発品の40%だ。これ以上、引下げたら販売中止、設備投資中止で、政府目標も困難」と強く訴えました。厚労省の大西友弘経済課長は17年4月の消費税増税時の薬価改定を「できれば薬価調査無しで実施したい」という趣旨の発言をしました。これは、そっくりそのまま製薬業界の主張でもあります。

安倍政権が来年夏の参院選を睨んで、新3本の矢を打ち出し、社会保障重視に舵を切りました。また、10月末で、中医協委員も大幅に変わりました。経済課長も変わった。こういう節目は、何かしら急に議論の流れが変わることがあります。もちろん結論は年末までわかりませんが、今、製薬業界への「木枯らし」はいささか和らいでいるように感じます。

写真は中医協11月11日の風景。厚労省2階の講堂は広くていいです!できれば毎回講堂にしてもらいたいものです。ではみなさま。穏やかでかつ充実した、素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

長期収載医薬品と、巨大市場を形成した医薬品の価格引き下げはどこまで進むのか?

IMG_1473   みなさん、お元気ですかあ〜?

さて16年度薬価制度改革の論議。今回の焦点は、何と言っても長期収載品(特許が切れた医薬品)と、大規模市場を形成した医薬品の価格引き下げでしょう。長期収載品は、後発品に置き換えが進まない場合、置き換え率に応じて他の医薬品よりも1.5~2.0%多く引き下げられることになっていますが、条件をさらに厳しくし、引き下げの「網掛け」を広げる案が出ています。製薬業界は「導入してからまだ日が浅い。その影響もはっきりしていないのに、条件を厳しくするのは反対」との立場です。大規模市場を形成した医薬品は「当初予測の2倍」を超えた時に、他の医薬品以上に引き下げるルールがありますが、「当初予測の2倍を超えなくても売り上げが巨額なら、下げればいいじゃないか」という意見が出ています。当然、業界は反対。年末まで議論の行方をしっかり見つめていきます。

 写真は中医協の傍聴を求めて並ぶ人たちの列。年末まで、競争率は、まだまだ上がりそうです(^_^;)では、みなさま。昼夜の気温差が大きい今日この頃。ご自身の健康管理に気を付けて。素敵な一週間をお過ごしください。

 

後発医薬品の薬価論議、「下げろ!」「下げろ!」の大合唱。新規収載も、既収載もマイナスの方向に進展!

IMG_1470[1]  みなさん、お元気ですか?そぼ降る雨とともに11月最初の月曜日を迎えました。2015年も残すところ後2か月です。

さて16年4月の薬価制度改革論議。先週10月28日水曜日は、後発品の薬価政策がテーマになりました。当初から予測されていましたが、委員の意見は「下げろ」「下げろ」のオンパレード。新規収載品は先発品薬価の「0.6掛け(参入10品目以上は0.5掛け)」から「0.5掛け(同0.4掛け)」になる可能性が濃厚になっております。既収載品の薬価は将来の1本化をにらみつつ、「激変緩和」の意味からかろうじて3価格帯は維持されそうですが、やはりベクトルは、引下げの方向に進んでいます。

後発品の薬価は下がりますが、使用機会は拡大。各社の製品開発、価格競争も一層、シビアになるでしょう。

で写真は10月28日の朝日。日の出とともに起床し、厚労省に駆けつけたましたが、中央社会保険医療協議会の傍聴を求める人たちの行列は、すでに100m近い長さになっていました。いやあ〜、いつもながら常軌を逸した人気です(^_^;)。では皆様、お体を大切に。素敵な一週間をお過ごしください!

 

古参の中医協委員が退任、健保連・白川氏、日医・鈴木氏、今週10月28日「千秋楽」

IMG_1456[1] 今週10 月29日付で、中央社会保険医療協議会の委員交替があります。薬価専門部会の委員でもあり、新薬創出加算の対象絞り込みを主張していた支払側を代表する論客、健康保険組合連合会の白川修二副会長、薬価専門部会委員ではありませんが、医薬分業や、調剤薬局のあり方を厳しく批判していた日本医師会の鈴木邦彦常任理事が、委員を下ります。なので両氏は28日の会合が千秋楽になります。

白川、鈴木両氏はともに、民主党政権が発足した09年秋に中医協委員に就任。3期6年の最大任期を全うしました。山形大の嘉山孝正学長特別補佐(13年に退任)、京都府医師会の安達秀樹副会長(14年に退任)らと、中医協会場に颯爽と登場した日は、鮮烈でしたあ〜。東日本大震災で、天井が落ちて今は使われなくなった九段会館。初日から熱気溢れる議論があったのを昨日のことのように覚えています。

白川、鈴木両氏はいずれも、しばしば中医協論議の流れを変えるほど、強い発言力がありましたから、新しい委員に代わると、中医協のムードはかなり変わるかもしれません。白川氏は新薬創出加算の対象品目が、市場価格によって変動することを疑問視、「希少疾患や小児用を持っている新薬に限定すべきだ」と主張してきました。鈴木氏は、医薬分業の現状の問題点を追求し、医療保険財源を使った調剤薬局への各種の政策誘導を問題視しました。

両氏の退任は16年4月の診療報酬・薬価改定論議にどう影響するでしょうか?どうあれ議論に新風が吹くことを期待しています。

で、写真は旧古河庭園。バラの鑑賞会をやっていました。午後の日差しを浴びたバラ園の中を老若男女、沢山の人たちが、談笑しながらそぞろ歩き。平和で、のどかな時間が流れていました。秋が深まり、これから寒さが日増しに強まります。皆様、どうか身体に気を付けて、穏やかで素敵な一週間をお過ごしください!

 

 

 

高齢者の降圧剤治療の背後にチラつく「リスク」、血圧をあんまり下げると「認知症」「身体機能低下」に陥る?

IMG_1263みなさんお元気ですか?先週は休日だったので、2週間ぶりのブログ更新。その間、さらに秋が進行。いやあ〜、日の入りが早くなりました。

で、先々週、第38回日本高血圧学会総会を取材。とくに熱かったのは高齢者の降圧剤治療を巡る議論でした。75歳以上に降圧剤を使った治療はどこまで適切なのか?そもそも必要性があるのか?血圧をあんまり下げると、心身機能を弱めたり、アルツハイマー認知症を誘発する可能性があることを示唆する研究結果が徐々に出てきています。おそらく、高血圧治療は、今後、対象年齢ごとに細かく区分した基準が設定される方向に進むでしょう。その際、しっかりしたエビデンスの構築が必要になります。全体として、降圧剤の使用量は減るので、メーカーはあまり気乗りしないかもしれません。それでも、漫然と、降圧剤を使用するリスクが見えてきた今日、無視するわけにはいかないです。この分野の研究が活発化することを期待します。公的研究を指導する官の出番でしょう。

で、写真は学会総会があった愛媛のゆるキャラ「みきゃん」。ゆるキャラグランプリで、なんと総合1位を獲得しているそうです!!確かにシンプルでかわいいですね!ではみなさま。秋の陽だまりほど、寛ぎを感じる場所はないです。素敵な一週間をお過ごしください。

 

 
 
 
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