医療従事者は「偏差値」だけじゃ困る

 薬学部6年制がスタートして初めての薬剤師国会試験。合格率は88.3%でした。これまで7~8割で推移してきたことからすれば、かなりいい数値。もっとも、6年制になっても薬学部に入って薬剤師になることを志願した学生たちです。モチベーション高い分、合格率が高く出て当たり前かもしれません。問題は2、3年目。ただでさえお金がかかる薬学部。4年制から6年制になると、経済的な負担も増えるので、入学者の足が遠のきつつあります。それに少子化も重なって、大学は経営が成り立たない。地方の大学では、ものすごく低い偏差値でも、入学させている。歯学部が同じような状況で、しばしば「学生の質」が問題になります。ただ、先日、ある医療従事者と、この話をしたら、「偏差値なんて、あんまり関係ないんじゃない。医師も歯科医師も薬剤師も最後は、技術なんだから」という答え。確かに、そうかも知れないなあと思いました。しかし、さらに大切なことがあると思います。「心」です。偏差値が高く、技術があっても、結局は一番大事な「心」がなければ、患者は満足できない。「心」を高める、あるいは「心」を磨く教育が必要だと思います。ところが、どこの大学にも、とくにカリキュラムにはない。やはり、日常生活の中で、個々人が主体的に意識して、高め、磨くしか道はないのが現状です。

で、写真は近くの公園で。桜、潔くすっかり散ってしまいましたね。己(オノレ)が好きな野村秋介氏の自由律俳句を添えて終えます。敢然たる決意、真空の静寂を感じます。「誰もしゃべるな 桜が散つてゐるから」

 

抗がん剤ザーコリ見参!

  ファイザーの非小細胞肺がん治療薬「ザーコリ」(一般名=クリゾチニブ)が臨床現場に登場しました。前にも触れましたが、適応は非小細胞肺がん患者すべてではなく「ALK融合遺伝子陽性」の患者に限定されます。ALK融合遺伝子の陽性患者は、非小細胞肺がんの「4%」でしかないので、これまでの分子標的薬と比べて使用患者は一見、少なく見えます。しかし、あらかじめ、効く患者がはっきりしているので、患者にとって朗報です。実は、この薬、自治医科大の間野博行先生の研究が発端になってできた薬です。間野先生は、複数の国内大手企業を回って創薬研究を働きかけたのですが、全部断られたそうです。で、結局、ファイザーが開発、販売することに。国内企業は何してんのか?使用患者が少ないから、儲からないからという理由で、断ったとしたら、情けないことです。

で、写真は近くの公園で撮影。桜。みなさん!飲んでますか?楽しい一週間をお過ごしください!

 

春到来、どっこい己はまだ登山

 みなさん。春、春来ましたね!!あったか!しかーし、己(オノレ)はまだ登山中の身。いま8分目くらいです。というわけで、今週は一杯一杯なんで、写真だけアップさせてもらいます。近所の公園前で、やきいも屋さん発見。土、日だけの限定営業。でも、ちっちゃい子がいて、その子が風邪ひいたりしたら、お休みするんですって。ほんわか。微笑ましい(^。^)

 もう一つは、近くのカフェの花壇にあった白い花。例によって、名前はわかりません(笑)。では、みなさま。素敵な1週間をお過ごしください!己は登山、がんばるぞい!!

 

エーザイが包括提携、手代木・武田社長ってどうよ?

 年度末、己(オノレ)は、公私ともに、あわただしく過ごしております。なんか、ここんとこ年末より、年度末の方がせわしない。ヤマを超えれば春。12年度に突入します。何が起こるかわからん世の中です。こっから先は、飽くまで噂話。アリセプトの特許切れで、厳しい局面を迎えているエーザイが、どっかと包括的に提携するんじゃないかとか。塩野義の手代木功社長が、武田薬品の次期社長候補にラインナップされているとか。酒席では、好き勝手な想像が、まことしやかに語られておりまする。でも、「事実は小説より奇なり」。何事も、0%とは言えないですよね。商売柄、しっかりとメモに残すオノレです。

で、写真は都内で。桜と思ったら、「アンズ」と札がかかっていました。桜と違って木の幹から、直接、花が咲くんだそうです。早くヤマを超えて、満開の桜の下で、花見したい!!昨年は自粛でしたからね。ではみんさま、ごきげんよう!

 

選抜MRにもらったいいエナジー

 先週17日土曜日、某製薬企業の選抜MR研修会で、1時間30分ほど、今度の改定と、製薬業界への影響について講演させていただきました。全国のMRのなから、手上げ式で志願者を募り、会社の選抜試験に受かった数十名のMRのみなさんが参加、真剣なまなざしで、己(オノレ)のつたない講演を聞いてくださいました。話している最中、己(オノレ)の方にも、ビンビン気迫が伝わってきて、いいエネルギーを沢山もらいました。終了後は会場から「財政危機が起こったら、医薬品の保険価格はどうなると考えるか?」など、日本経済の根本から医薬品価格問題を捉える質問も出て、たのもしく思いました。是非とも、将来、会社や業界をしょって立つ力強い人材になってください。己も、かかわっている人たちを大切にしながら、研鑽、研鑽、また研鑽!!やるぞ!って思いました。

で、写真は都内で撮影。桜?にしてはチト早くないか?ネットで調べると、「冬桜」っていう種類みたい。あちこちの公園で、もうすぐ満開の桜が見られますね。

 

ブロプレスで新薬創出加算の“弱点”露呈

  武田薬品の高血圧治療薬(ARB)ブロプレス。値引きしないでも売れる優良医薬品として国内市場に君臨しています。そしたら、な、な、なんと昨年の薬価調査の乖離率は6.47~~6.77%。もう少しで新薬創出加算の対象(6.4%以内)に収まるところでした。【医薬経済社RISFAX3月13日号が、その背景を詳しく報じています。⇒http://www.risfax.co.jp/ブロプレスは今年12年、米国で、14年に日本で特許切れを迎えると言われ、それほど、新しい製品ではありません。業界が新薬創出加算の導入を強く求めていた時、対象となるのは希少疾病薬、抗がん剤、エイズ治療薬、画期的新薬などで、「ARBなど競合が激しく、市場が大きな製品は対象にはならない」と断言していました。この加算は本来、市場に出たばかりの優れた新薬を対象にし、投資回収を早めることによって、企業の研究開発を促す仕組みです。ですから、ブロプレスのように、すでに巨大市場を形成し、研究開発投資を十分回収したと見られる、“長期収載品間近の製品”は、対象として好ましくないわけです。もし今回対象になっていたら、中医協で診療、支払い双方から、「話が違う」と、かなり叩かれたでしょう。場合によっては、加算そのものが、御破算になる可能性だってあったかも知れません。業界首脳陣は、さぞ肝を冷やしたことでしょう。もっとも、加算条件に、値引き率を組み込んでいるので、今後、他の製品でも、同様のケースが、出てこないとは限りません。戦略的に、価格政策を練り上げて、加算を取得しようとする企業もあり、その是非が将来、議論を呼ぶでしょう。

で、自分の部屋。いまだかつてないトンデモナイ、MESSYな状態。先日、外出先から帰宅して、何気にメガネをはずしてお茶入れて戻ったら、メガネが行方不明に。【このブログ左の写真でかけてるやつ】それっきり姿を消してしまいました。さては書物の山(薬新エベレスト)に遭難したか・・・・。とほほ、気に入ってたのに・・・。そこで5年前に、一度、引退勧告したメガネくん【写真】に、無理を言って再登板を願い、なんとか凌いでます。しっかし、なかなかどうして、このメガネくんいい感じでがんばってくれてるんだな。読者諸氏は、きっと「お前の部屋、どんだけ散らかってるんだよ」って思うことでしょう。仕事場、寝室、書庫全て兼ねている大切な場所なんですが、もうモノの置場もなく、どうしようもない。うーん。でもなんとかするぞいっ!!!では、みなさま。お元気でお過ごしください。春の足音が聞こえてきましたよ(^O^)/

 

大震災は現在進行形、過去に非ず

 3.11から1年。東日本大震災は、いまだ現在進行形。歴史に刻まれる過去にはなっていません。しばし、人の世の明るい未来を祈って沈思黙考。己(オノレ)の来し方行く末を見つめます。でチト短いので、今週は水曜日14日に、もう一度、更新します。みなさま。大切な人たちと、健やかで、やさしく、温かい日々を、お過ごしください。

 

分子標的薬「投網型」から「弓道型」へ

 ファイザーの非小細胞肺がん治療薬「ザーコリ」(一般名=クリゾチニブ)が2月29日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を通過しましたあ~!!今後、薬価収載を経て、おそらく夏までには発売されるでしょう。しかし、適応症は非小細胞肺がん患者、すべてではなく「ALK融合遺伝子陽性」の患者に限定されています。ALK融合遺伝子の陽性患者は、非小細胞肺がんの「2~13%」でしかありません。ですから、逆に言うと87~98%の非小細胞肺がん患者には効かないということになります。2002年に、世界に先駆けて日本で承認され、副作用による死亡例が大問題になったアストラゼネカの非小細胞肺がん治療薬「イレッサ」(ゲフェチニブ)も昨年10月、「EGFR遺伝子変異陽性」患者に使用が限定されました。こちらは、非小細胞肺がん患者の何%を占めるかチトわかりませんが、間違いなく使用患者は、かなり絞り込まれる。逆言うと、分子標的薬は、これまで効かない患者にも投与されてきたわけです。多くの臨床医、医療従事者は「科学は日進月歩だから仕方がないことだ」と言いますが、効きもしないのに効くと信じて副作用に苦しんだ患者もいたわけで、何ともやりきれない気持ちになります。どうあれ、分子標的薬は、遺伝子解析技術の進展とともに、これまでのようにすべての患者をターゲットにする「投網掛け型」から、照準を絞った「弓道型」に変化します。製薬企業の研究開発、マーケティング手法も、劇的に変わるでしょう。

で写真はクラシコ書店の友人、田邉夫妻、そして御愛息のトラちゃん。幸せそうな、ほのぼのショット。1月、同書店主催の新年会で撮影。随分、経ってしまいました。子供は社会の宝です!!覗いてみてください!【クラシコ書店】⇒http://www.clasicoshoten.com/

 

5日の告示まで後1週間!!

  おはようございます!!春の気配を感じさせる今日この頃。みなさん、いかがお過ごしですか?来週5日の診療報酬、薬価改定の大臣告示まで、あと1週間です。すでに、各社のヒヤリングは終了。当日を待つばかりです。ところで新薬創出加算。今回試行継続が決まりましたが、取り囲む空気は決して順風とは言えません。日本病院会など病院団体からは「なんで製薬業界だけエコひいきするの?」という趣旨の不満が未だくずぶっています。卸からも「新薬加算品の仕切価格が高めになっているので、他の製品で大幅な値引きを迫られる」「医療機関に対するメーカーの説明が不十分だ」と言う声が上がっています。そして今回、長期収載品とともに、追加引き下げの対象となった後発品メーカーからも、こんな声が・・・。「後発品使用が進まないからといって、なぜ、我々後発品まで価格を下げられなきゃいけないの?そもそも後発品使用促進は、新薬創出加算の導入条件だったはず。それができないのは本来、新薬(長期収載品)メーカーの責任であり、後発品メーカーの責任ではない。こんなことされるんなら、新薬創出加算に反対する」。あと2年間、価格交渉、流通、新薬研究開発にどんな影響が出るか。じっくり見ていこうと思います。

で、写真は現在、東京国立近代美術館で開催中のジャクソン・ポロック展で撮影。http://pollock100.com/about/summary岡本太郎の「芸術は爆発だ!」ポーズを撮ってる己(オノレ)です。結構気に入ってるんですが、友人の感想は一言。「バカっぽい」でした。ダハッ(笑)。ポロックの作品は初期、形成期、成熟期、後期に分けて展示されています。何と言っても、形成期、成熟期がブッチギリにカッコイイ!!大きなキャンバスの上下、左右一杯に、生命の鼓動がリズミカルに描かれています。後期は画壇や評論家に酷評され、アルコールで心身を破壊。「こんなはずはない!」「いまに見ていろ!!」と、描き続けようとするんですが、思うように描けない。で、最後は自動車事故で死んじゃうんです。後期の作品。確かに成熟期に比べて見劣りするし、実験段階だったんでしょうが、己はそんなにきらいじゃないです。悔し泣きしながら、必死に描き続けるポロックの姿が思い浮かぶようで・・・・。

 

製薬産業でも「特別扱い」は無理

 12年度診療報酬改定の付帯意見で、中央社会保険医療協議会は「長期収載品の薬価のあり方」について真正面から議論する方針を示しました。また、厚労省は12年度予算で、革新的な医薬品の費用対効果を評価する「手法の検討」に8000万円を計上しました。ご承知のように、医療保険財源は切迫しています。国民の保険料、税金は毎年、増え続ける一方です。これまで通り、全ての医薬品を保険給付の対象にするなら、給付額は適切なのか?一体、国民に与えるメリットは数値的にどのくらいあるのか?もっと安価な代替薬あるいは治療技術はないのか?検証のメスが入るのは極めて当然のこと。その結果次第で、給付額や、給付範囲の見直しがあってもしょうがない。もうそこまで切羽詰まっていると思います。確かに製薬産業の納税額はトップになり、雇用も維持しています。だからと言って、医療保険の中で、常に、保護され、有利な立場でいるのが、「当たり前」でしょうか?私自身は、長期収載品だからどうこう、後発品だからどうこうという堂々巡りの議論には、そろそろピリオドを打ち、スタート時点の薬価は双方同じにすべきだと考えています。また、薬価算定ルールを設定したところで、解釈には必ず微妙な幅が生じます。その解釈を巡って行政と業界の意見対立が永遠と続くのでは、単なる「条件闘争」「政治闘争」になってしまいがちです。そこから抜け出すためにも、費用対効果を科学的、客観的に評価する英国のNICE(国立医療技術評価機構)のような第三組織を早急に設置すべきです。今回の中医協付帯意見、厚労省予算は、少しずつですが、そういう方向に進んでいるように見えます。製薬業界、そして関連産業は、それを見越した戦略立案が必要になります。

で、写真は先週16日、ブライアン・アダムスのコンサートがあった武道館の入口。ブライアンAは80年代に一世を風靡したロック歌手です。ア~イ・ニー・サンバーディ♪♪(ドメドメ和製英語) よく聴いたもんです。御歳52。知人のご紹介で、行ったんですが、これがすごい!!確かに、外見上、お年は召されましたが、当時の声量そのまま。しかも2時間15分ぶっ続けで演奏してんのに全然、息切れしてない。ほとんどアスリートです。ロック歌手はとかく煌びやかな面にばかりスポットが当てられますが、日常の自己管理、メインテナンスはハンパないんだろうなあー。と大いに関心。敬意を抱きました。己(オノレ)はまだまだです。ダハ(笑)

 
 
 
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