ノボ ノルディスクファーマが国内で約30年ぶりの肥満症治療薬、ウゴービ皮下注(GLP-1受容体作動薬、セマグルチド)を2月22日に発売した。薬価収載が昨年11月22日付だったから「収載から3か月以内」という規定ギリギリ、満を持しての発売だ。同日開いた記者会見に、キャスパー ブッカ マイルヴァン代表取締役社長【写真】らが登壇。適正使用推進、安定供給確保に向けた取り組みを徹底する姿勢を見せた。新薬の発売記者会見は、企業にとって「晴れやかな舞台」になるはずだが、ウゴービの記者会見は、どことなくピリピリ感が漂っていた。最後の質疑応答も予定時間より5分以上早く切り上げられた。その後、マイルヴァン社長以外の役員は退席、いわゆる“ぶら下がり取材”には一切応じていただけず、以後の質問はすべてPR会社×××××を通じて行うよう指示を受けた。ジャーナリストとしては

◆沢井製薬の澤井光郎会長・2月20日にキュア・アップが開いたNASH治療用アプリの記者会見に登壇した。
医薬品、医療機器に次ぐ第3の治療技術としてここ数年、注目を集めている治療用アプリーー。PCやスマートフォンのアプリを通じて医師と患者を結び、双方に各種情報を逐次発信。患者の行動変容を促しながら、医師の生活指導を強化することで疾患治療に導くものだが、日本の医療保険診療で、どこまで浸透するか。現時点では未知数だ。製薬企業はどうするか?医薬品と並行して、自社のビジネスアイテムに取り込むか?それとも、医薬品の存在を脅かす新技術として行く手を阻むか?企業によって対応は異なっている。少なくとも医療保険での評価は、

◆ギリアド・サイエンシズ ジャパンのケネット・プライスティング代表取締役社長
ギリアド・サイエンシズ ジャパンのケネット・プライスティング代表取締役社長は19日、オンコロジー領域で2030年末までに売り上げの約3分の1とするグローバル戦略改革を示した。買収した米カイトファーマ買収によりCAR-T療法のグローバルリーダーに躍り出ている。加えて薬物複合抗体(ADC)のサシツズマブ ゴビテカン製剤「トロデルヴィ」の適応拡大を進めていくが、日本も同路線を踏襲し幅広いがん領域適応を目指す。
※この原稿は業界OB、大先輩「ShinOM」さんに書いていただきました!ストレートニュースですが、“精度”と“深み”そして“切れ”が違います。他媒体では読めない!是非!

◆日本製薬工業協会の上野裕明会長
24年度の薬価制度改革は製薬業界の要望が多数反映された。日本製薬工業協会の上野裕明会長は15日の記者会見で「ドラッグラグ・ロスの解消やイノベーションを後押しする第一歩。引き続き新たな“価値評価の仕組み”の議論を進めていく」と前向きに評価した。24年度は医療、介護、障害福祉サービス報酬の3つの改定が重なる“トリプル改定”の時期で、そもそも薬価にどれだけ財源が回るのか心もとない状況だった。しかも納入価と薬価の平均乖離率が約6%で過去10年で最低、引き下げによって発生する財源も少ない。そんな中で、なぜ制度改革に、これほど多くの業界要望が受け入れられたのかーー?財政面から考察する。

◆大塚製薬・樋口達夫社長兼CEO
大塚ホールディングスの樋口達夫社長兼CEOは14日の記者会見で、6月に詳細を発表予定の2028年を最終年とする第4次中期経営計画の骨格を発表、レキサルティなど自社販売の10品目と戦略的導出2製品を「グローバル10プラス2」と位置付け、次世代の成長ドライバーとする方針を明らかにした。またアルツハイマー病(AD)におけるアジテーション対策、がん領域での治療薬開発、新たな高血圧治療法など、社会的課題への取り組みを拡大していくとした。詳細を報ずる。【ShinOM】

◆武田俊彦内閣官房政策参与
総理大臣直轄の内閣官房に設置された「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」(以下、構想会議)が8日、2回目の会合を開いた。大学など学術研究機関(アカデミア)が生み出した新薬の種(シーズ)をいかに迅速に製品化して世の中に送り出すかーー。具体的な方策について議論を重ねている。今回は、1回目(23年12月27日)に続き、構成委員の提案を聴いた。【構成委員の提出資料はコチラをクリック】
シーズの受け入れ先として、医師や学会が主導する「公的な組織」を設置し、製薬企業、バイオベンチャーと並ぶ「第3ルート」とする案や、エビデンスがはっきりしないまま高額な自由診療が行われ産業としての成長が危ぶまれている再生医療分野に、“学会お墨付きの民間保険商品”を導入する案など、厚労省の審議会では中々上がってこない独創的な提案が続出している。まさに百家争鳴、議論百出のようだが、会議は非公開。現在地、向かうべき方向性がいま一つわかりづらい。会議終了後の記者ブリーフィングには武田俊彦氏(内閣官房健康戦略室政策参与)が登壇。ブリーフィング後、構想会議の位置付け、現状、今後の方向性をわかりやすくご教示いただいた。その一端をQ&A形式で紹介する。

◆退任が決まった武田薬品のコスタ・サルウコスCFO
武田薬品工業のトップマネジメントに変動があった。6兆円を超えるシャイアーの巨額買収(19年1月)から早や5年。財務戦略を担ってきたCFO(最高財務責任者)のコスタ・サルウコス氏が24年4月1日付で退任する。サルウコス氏は、クリストフ・ウエバー代表取締役社長CEO、アンドリュー・プランプ研究開発統括責任者とともにシャイアー買収前後の難しい事業運営を支えてきた。米メルク、アラガン勤務後、15年に武田の欧州、カナダCFOとなり、18年3月にグローバルのCFOに昇格した。2月1日の23年度第3四半期決算説明会で「武田で仕事できたことを誇りに思う。20年間、海外で働いてきた。オーストラリア(母国)に戻る」と話した。後任にはジャパン・ファーマビジネスユニットの古田未来乃社長が就く。

◆サルウコス氏の後任、武田薬品・古田未来乃氏(ジャパン・ファーマビジネス・ユニットプレジデント)
トップマネジメントの交代は“世の常”。とくに珍しくない。ただし、武田の場合、シャイアー買収後の成果がまだ明確に出ているとは言い難い状況だ。そうした中でのCFO交代。なぜか今なのか?ーーー

◆医療用医薬品の流通改善懇談会(12月21日撮影)
メーカーが自社の医薬品を1つの卸に限定して出荷する、いわゆる「1社流通」がここ数年ジワジワと広がっている。医療機関、薬局関係者から「医薬品が入手しにくくなるのではないか心配」「価格交渉がしにくくなった」などとの声が上がり、昨年、厚労省の「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」(以下、流改懇)で議論のテーマになった。結果、「1社流通」を実施するメーカーに対して「卸と協力して医療機関、薬局に丁寧に説明し、しっかり安定供給すべき」という趣旨の文言が、3月までに施行予定の改訂流通改善ガイドライン(以下、改訂GL)に盛り込まれることになった。しかしながら、この1文にどれだけの効力があるだろうかーー。今後、「1社流通」の対象品が広がっていけば、医療用医薬品の価格交渉、値決めの構造を大きく変える可能性がある。現状と今後についてレポートする。