Posted on 4月 29th, 2010 by IDAKA
新年度に入って早々、製薬企業のマイナス情報が、明るみになり、一般紙、業界紙を問わず、「業務停止」「隠ぺい」「データ改ざん」「不祥事」などなど、おどろおどろしい見出しが沢山、躍りました。この手の事象が起きると、待ってましたとばかりに、「けしかん!!」と正義漢ヅラして、ヒステリックに対象企業を糾弾する同業者をよく見かけます。そういう姿を見ていると、日ごろ満たされない自分の鬱憤を晴らしているだけのように見えて実に浅ましい。同業者として、いやでいやでしょうがありません。「あんた何様?そんなに聖人君子なの?記者ってそんなに偉い商売なんですか?えっ?」と問いかけたくなる。
同類項に括られたくないので、こういう事象が起きると、私は、ちょっと距離を置くようにしています。しかし、今回はあまりにひどい。感情的、情緒的に、叩くだけ叩いているだけ。向こうには弱みがあるから多少ミスリードがあっても、反論できません。中国に「水に落ちた犬は叩け」ということわざがあるそうですが、まさにそんな感じ。目を覆いたくなるようなむごたらしい光景です。
ねちっこくご高説を宣わった挙句、記事の最後はせいぜい、「企業体質」「担当者の不正」「倫理欠如」「監督不行き届き」とか書いて終わり。ひどいのになると、トップが頭下げている写真を載せて「出直せ」だって。んっだよそれ。あんた、いつからお奉行様になっちゃたんだよっつーの。
何が言いたいのかというと、ジャーナリズムに不可欠な冷徹な検証が全くない。そうした中で、光っているのは医薬経済5月1日号の「『ミドリ十字の原罪』説は本当か」。http://www.risfax.co.jp/product/iyaku.html 情緒で視界を曇らすな、定説でお茶を濁すなと訴えています。あと、同紙同号の最終頁「編集後記」。会見で詰問する記者の姿にあきれて「一体、何に怒っているのか」「冷静になれ」と戒めています。さらにRISFAX会員頁の知る人ぞ知る、私の大先輩、異伝子さんの4月14日付コラム「責任の所在」。http://www.risfax.co.jp/product/risfax_web_pw.htmlマイナス行為が起きる環境を醸成したトップの責任が極めて重大だと断じています。どれも、読み応えがあります。
何も提携している医薬経済だからといって、身びいきで言っているわけではありません。こういう骨太な、至極真っ当な、批判精神で綴った記事に近頃、とんとお目にかかれません。正義の味方もどきか、広告記事みたいのばっかし。本当に、他にないんですよ。悲しくなるくらい。あまりに営業重視になって記者が委縮し、いまやジャーナリズムは死に体です。終わっちゃっている媒体、ものすごく多いです。
それから、トップが記者会見で頭を下げれば、全て水に流すという慣習も極めて日本的です。ただ、これは文化かも知れないので、否定はしません。何か起こったら、責任は全部手下に負わせて、自分たちは全く実務にタッチせず、高級車乗り回して、ゴルフばっかやって、うまいもの食って遊んでいる「ヤバイ組織」とは違います、皆さんと変わらぬ普通の、紳士的な会社ですよ、ということを社会に示すには、むしろ必要な儀式かもしれません。おっと、私も記者なんだから、こんな戯言をかましていないで、しっかり取材、執筆しないといけません。
で、写真は新宿にあるファッションビルの広告。左上にある「かに道楽」のネオンと一緒に写したら、ミスマッチになって面白いかなと思ったんですが、結構、マッチしてしまいました(笑)
Posted on 4月 26th, 2010 by IDAKA
察しのいい製薬企業の経営陣や政策担当者、そして日々、地べたを這うように、まじめに取材活動を展開している業界紙ジャーナリストなら、すでにお気づきのことと思いますが、後発品使用促進という政府目標。結構怪しいですね。長期収載品の追加引き下げが2.2%と決まった時点で、将来は長期収載品も後発品もない、特許が切れた医薬品の低薬価施策時代がやってくるのではないかと考えたはずです。実際、第一三共、ファイザーのニュービジネスは長期収載品と、後発品の「両にらみ」です。後発品だけを見ているわけではないという点に注意が必要です。先発品(長期収載品)か、後発品かという、お決まりの「あっちか、こっちか」論に陥り、いつまでも「大手もGEに参入」という見方に囚われていると、本質からどんどん遠ざかってしまうでしょう。
で写真は己(オノレ)です。新宿のとあるビルの地下。エレベーターの扉に写った姿。表面に暈しが入っているので、いい具合に顔が見えません(笑)

もう一つはMR向け媒体「週刊アプローチ」。4月から装いも新たにスタート。手ごろに読めて、面白くて役に立つ!!私も書かせていただいております。川越さん。いつもありがとう!!
http://www.utobrain.co.jp/seminar/periodic/approach/2009/index.shtml
Posted on 4月 21st, 2010 by IDAKA
普天間基地の移設問題で、民主党政権が揺らいでいます。 鳩山総理が確約した「5月末決着」が実現しないと、支持率はかなり低下するでしょう。しかぁーし!しかしですよ。そもそもこの問題。短期間で決着をつけようとすること自体に、無理があるのではないでしょうか?というか、そんなに短期間で決めちゃっていいんですか?米軍基地問題は、戦後日本がずっと引きずってきたもので、いまや政治、経済、外交にかかわる構造問題と化しています。それを政権発足後、一年もたたずに、結論を出そうとするなんて・・・。もちろん、そのままでいいとは思いませんが、短期決着にこだわるあまりにずさんな結論でお茶を濁せば後々、大変なしっぺ返しが来るはずです。
で、写真は東京駅前・丸善の4階。私が尊敬するスーパーエディター松岡正剛先生のプロディースで、テーマ別のコーナーができていました。本をただ単に棚に入れるだけではなくて、横倒ししたり、上積みしたり。新刊本だけでなく、古書も交じっています。無秩序に見えて、“ひと棚いちテーマ”が、隅々まで行き届いていてきれい。 まさに「知の森」という風情。本棚は迷路のように配置されていて、奥に分け入っていくと、なんだか本がこちらに語りかけてくるような錯覚を起こします。
Posted on 4月 18th, 2010 by IDAKA
大正製薬のリアップ。今後、相当、売上げが伸びるでしょうね。ご承知の通り、日本皮膚科学会が男性脱毛症の治療ガイドラインで、推奨ランクAにしました。万有製薬のプロペシアもAですが、こっちは医療用で、医師の処方がいるので、伸びるにしても、きっとリアップほどではないでしょう。学会がはっきり効果を裏打ちすると、使用者も安心しますね。
抜け毛が気になる方は多いでしょう。私はもともと髪が細くて薄いので、学生時代から、よく友達に「お前、近頃、薄くなったなあ」とか言って、からかわれていました。でも、まあ、何とか抜け毛の進行を最小限に食い止めながら、ここまできたわけです!(笑) 学生時代に散々、私をからかった友達に久々に会って、そいつが立派に光を放って世の中を明るく照らしていたりすると、心の中で「勝ったぁ~」と、ひそかに優越感に浸ってしまいます。(単なる時間差の問題かも知れませんが・・・) ところが最近、良く見たら髪に白いものもチラホラ。オイオイ、抜け毛と、白髪のダブルは勘弁でっせ!せめて、どっちかにしてくれ!と祈るような、今日この頃です。
で、写真は東京・丸の内のオープンカフェで。パソコンのキーボードを叩いていたら、目の前に、はとバスが・・。ガイドさんが乗客に手を振っていました。東京のど真ん中。ちょっと、のどかな平和な風景。
Posted on 4月 13th, 2010 by IDAKA
過去1年は診療報酬・薬価制度改革、しかも薬価維持特例(新薬創出加算という形で実現)の導入という大きなテーマがあって、取材・執筆も必然、制度政策を主とすることが多くなりました。新年度を迎えたことですし、これからしばらくは是非とも個別企業の研究開発、営業、マネージメントにスポットを当てた取材に力を入れたいと考えています。
制度政策の舵取りをするのは厚労省ですが、実際に医薬品を生み出し、経済活動を営んでいるのは企業です。何とか、本質を掴み、いい記事を書きたい。しかし、厚労省と企業を比べると、明らかに企業の方が取材・執筆の壁が厚いし、高い。まず厚労省の職員は国家公務員で基本的に情報開示するのが義務です。一方、企業は株主に対して、一定の情報開示が必要であるものの、私のような一介のジャーナリストに何でもかんでも話す義務はありません。また、厚労省は一箇所に、ほとんどすべての機能が集約されているので、ワンストップでいくつもの取材ができます。しかし、企業取材は広報の方々と、さまざまなやり取り、日程調整が必要で、仕込みに時間がかかります。かつて、厚労省の記者クラブに所属していた頃、省内のエレベータを上がったり、下がったりするだけで、すぐに取材ができて簡単に記事が書けて、ホント楽ちんでした。でも、その当時から、こんな毎日を過ごしていていいはずない。まともな記事が書けるわけはないぞと、うっすらと感じていました。やはり、業界紙記者は企業活動を見極めてこそ、存在意義が認められると考えていたからです。企業のみなさんとどう向き合い、何をどう伝えるか。私自身まだまだ、研鑽中です。
厚労省の職員数はざっと5万人程度。ここから地方への出向者や、旧労働省関連の職員を除くと、3万人くらいでしょうか。何のことはない。第一三共1社の連結従業員数と同じくらいなんです。製薬業界には歴史も、考え方も、性質も違う、複数の巨大組織が沢山あります。薬新の社訓は「真摯に取材し、自信をもってお伝えします」。この精神から外れることなく、まっすぐ行きますので、みなさま!今後ともよろしくお願いいたします!
で、写真は自宅近くのカフェで。先週日曜日の昼下がり。やや逆光。悪しからず
Posted on 4月 9th, 2010 by IDAKA
最近、複数の医薬品卸関係者に、お話を伺う機会を得ました。みなさん共通しておっしゃるのは「メーカーは新薬創出加算の意義を医療機関にもっと積極的に伝えてほしい」ということです。とても切実に聞こえます。新薬創出加算は、確かに価格に直結するルールです。一度、卸に売り渡した製品の価格交渉に、メーカーが介入すれば、公正競争規約などに触れてしまします。しかし、この加算には崇高な理念と意義、そしてメーカー各社はその理念と意義にふさわしい製品を持っているはずです。価格を口にしないで、それを説明することは十分、可能ではないでしょうか。メーカーが強く導入を主張してきた加算です。医療機関への説明も、卸任せでいいはずはないでしょう。もっとも、当初、12年度実施のはずが、2年前倒しして今年度から試行となったため、各社の準備が遅れているのかもしれません。早急に態勢を整えて、メーカーも医療機関に説明に回るべきだと考えます。メーカー、卸、医療機関関係者の共通認識がなければ、新薬創出加算、そして流通改善もうまくいかなくなってしまいます。
で、写真は神田錦町の西海商店。古き良き下町風情たっぷりの外観。菓子パンとか、アイスとか、煙草とか、雑貨があります。昼下がりの午後、取材途中に撮りました。店の前は、タクシーの運転手さんの憩いの場&情報交換の場のようで、それらしき方々が歓談していました。
Posted on 4月 6th, 2010 by IDAKA
与謝野さんがとうとう自民党を離党しましたね。平沼さんと、数人の同志で新党を立ち上げるとのことです。どれだけの支持が得られるかわかりませんが、閉塞感で一杯一杯の政局に、多少なりとも揺さぶりをかけることになるでしょう。昨年の選挙で多くの国民が自民党にあきれて民主党に期待を託しました。しかし、その民主党政権も発足以来、ずっと迷走状態が続いています。舛添さんはどうするのでしょうか?谷垣さんはもっても参院選終了まで。党に残るにせよ、去るにせよ、いまのうちに何らかのアクションを起こさないと、存在感が少しずつ薄くなっていく気がします。ていうか、なんかしてほしい。勝手に期待感を抱いています。
結局、しばらく政局は混迷が続く。視界不良のこの時代、誰もが永遠に一党を支持し続けるのは不可能です。選挙民である私たち自身、複眼の視点で、冷静かつ緻密に、その都度、その都度、打ち出される政策を吟味する必要があると考えます。もう、どっかの一党に支持表明しておけば、後は何もしないでお任せ、安心、楽ちんという時代は終わったんです。いまだに、どの政党を支持するかが、会長選の大きな争点になってしまう医師会は大丈夫なんでしょうか?
で、写真は新宿東口、武蔵野ビル1階。香港から来たテイクアウト中心のドリンクとクレープのお店「パールレディー」です。実は私、ここのココナッツミルクティーが大好きなんです。タピオカをたっぷり入れます。ほとんど若い女性客なんで、あまり人がいない時を狙ってコソコソ、買います。しかし、この日はご覧の通り、大盛況。なんで買えませんでした。トホホホ。ジュンク堂に寄って帰りました。
Posted on 4月 1st, 2010 by IDAKA
いやあ~。中医協委員の嘉山孝正先生の発言には、いつも目から鱗です。おっしゃっていることは別に奇をてらっているわけでもなく、至極真っ当なのですが、みんなが気付いていてあえて言わない。あるいは、日常に溶け込んでいて見落としていることなんです。それを、力まず、飄々と(先生、すいません。でもそう見えますんで・・)話されるものですから。相手は、一瞬、面喰って、二の句が継げなくなってしまいます。
3月31日の中医協でも、ぶっ放しました。新薬創出加算の試行が決まり、薬価制度改革論議がひと山越えたと、みなさん安堵感を抱いていたところに「そろそろ薬の価格の付け方について根本的な議論をすべきではないか」と問題提起されたのです。えっ!?て思いました。先生曰く「大型製品の特許が今年、来年、次々に切れる。いまのように、どんどん薬価が下がると、新薬の開発ができなくなる可能性がある。配合剤が出てくるのは新薬の開発ができないからだ」 医薬経済社・RISFAX⇒http://www.risfax.co.jp/
最終的に、薬価専門部会、あるいは総会で、議論することになりました。でもどうやって、何を議論するのか。まだ決まってません。終了後、先生に具体案を聞くと「初めに薬価を高くするのは早期にコストを回収するためだ。そうではなくて、初めの薬価は低くしても、その薬価を長く保てるようにする方がいい。例えば特許期間を20年にするとか」ということでした。嘉山先生。今日1日付けで、国立がんセンターの理事長にご就任されます。2回ほど、直接インタビューをさせていただきましたが、本質的、革新的なことをさらりと言ってのける。「おかしいことはその時にどんどん言わないと、後で大変なことになる」春風駘蕩なお人柄です。とは言え、それは積み重ねた臨床経験で培った自信に裏打ちされています。誰でもできるわけではないでしょう。
で、写真は裏原宿の帽子屋さん。奥の方に見えるのが入口。そこまでは板が渡してあって、左側に小さな岩場と池があります。おしゃれです。
Posted on 3月 30th, 2010 by IDAKA
素晴らしい晴天!!前回、今週は2009年度の最終週と書きましたが、実は2010年度の始まりの週でもありました!!いよいよ新薬創出加算の試行開始です。この加算は、国内の医薬品の研究開発、承認審査、流通にまで影響を及ぼす可能性があります。当然、試行の検証ポイントも沢山あります。ところが意外に見過ごされがちな検証ポイントがあるんです。その辺りにスポットを当てて、間もなく発刊される医薬経済2010年4月1日号に記事を書きました!!是非、ご一読ください!⇒http://www.risfax.co.jp/product/iyaku.html
で、写真は、小石川の戦没者霊園にある水を使ったモニュメント。ふと、足元を見たら、春の光を浴びて、模様がとてもきれい。とても平和なムードを醸し出しています。きちんと礼拝した うえで、一枚撮らせていただきました。この素晴らしき平和な毎日がいつまでも続きますように・・。合掌
Posted on 3月 29th, 2010 by IDAKA
さあ、今週は2009年度の最終週です!4月の薬価収載品が議題になる中医協総会、そして、いよいよスイッチが入った未承認・適用外薬解消の第二回目の検討会会合が開かれます。表には出てきませんが、製薬企業各社も決算期の最終週で、色々な作業、会議で大忙しでしょう。もちろん厚労省の方々も・・・。それを念頭に、私も気を引き締めて事にあたり、己の職務を全うする所存です。
先週はセジデム・ストラトジックデータ社のユートブレーンセミナーで講演をさせていただきました。ご来場の皆様ありがとうございます!講演は取材、執筆とは全く違った奥深さを感じます。まだまだ未熟ですが、一度演台に立ったらとことん、気合いを入れて全力で話しますので、今後ともよろしくお願
いいたします。そしてユートブレーンの中村さん。その都度、適切なアドバイスをくださり、感謝いたします。
で、土曜日。久々に晴れましたね。なんか気持ちが良かったので、宮下公園を、足の向くまま気の向くままにチイ散歩!!!したら、少しですが桜が咲いていました。まだまだ満開とは言えませんが、精一杯がんばってる感じ。やはり桜はいいですね!さらに奥に行くと、若者たちがもう花見をしていました(楽しそう!)。右の写真。下の方に寝袋で寝ている男子が見えます。イモムシみたいです。おそらくかなり朝早くから場所取りをしたのでしょう。彼の奥にでかいスピーカーも・・。これは午後二時くらいですが、夜には、仲間が集い、さぞすごい飲み会をやらかしたことでしょう(笑)。