Posted on 6月 14th, 2010 by IDAKA
昨日(13日)、縁あって「川口・鳩ケ谷女性薬剤師の会」の研修会で、講演させていただきました。医薬品産業の現状と将来を、私なりの視点で、かいつまんでお話させていただきました。みなさん最後まで、熱心に聞いていただき、大変、ありがたく思いました。
日々、患者さんを前に、調剤業務に勤しむ薬剤師の先生方と、研究開発、情報提供、販売活動に邁進する医薬品産業の方々。扱っているものは同じ「クスリ」ですが、見ている角度が違うような気がします。やはり、直接、患者さんと向き合っている薬剤師の先生方の方が・・・。なんと言いましょうか・・・。純粋に患者さんを想っている方、ボランティア精神が強い方が、多いような気がします。もちろん医薬品産業の中にも、そういう方がいないわけではありませんが、どちらかというと、ビジネス。収益アップを重視している。この世の中、何人たりとも経済を無視して、生きていける人はありませんから、否定はできませんが、やはり医薬品産業は最終消費者である「患者」を常に忘れて欲しくないなあ、と。そんなふうに想います。もちろん、業界ジャーナリストの私も、放っておくと経済的、政治的視点に偏りがち。薬剤師の先生方とお話をしていて、「患者」に想いを馳せることが、どれほど大事か。再認識致しました。「患者」は、いつも他者であるとは限らず、時には自分や近親者だったりもします。私という己(おのれ)は、己の業務を通じて、どこに対して何をして、どういう姿勢で世の中に貢献するのか。原点を見つめながら、気を引き締めて今週も取材、執筆に取り組みます!川口・鳩ケ谷女性薬剤師の会のみなさま、ご機会をくださり、本当に、ありがとうございます!!深く感謝いたします。
で、写真は御茶ノ水橋。アーチの向こう側のビル群と、こちら側の緑、川、線路のバランス。私の好きな風景のひとつです。この橋・・。学生時代から何度、渡ったことやら・・。おっと、回想に入るとどっと色んな思い出が押し寄せてきそうなので、この辺で失礼いたします。
Posted on 6月 8th, 2010 by IDAKA
日本人宇宙飛行士、野口聡一さんが長期滞在後、無事地球に帰還して話題を呼んだ国際宇宙ステーション。 実は医薬品開発の実験も行われているんですって。最近知ったものですから知ったかぶりして、つい書いてます。地球上では決して混ざり合うことがない物質でも、無重力環境では混ざり合う可能性があり、成功すれば、これまでにない高純度の結晶たんぱくを合成することができるかも知れないんですって。睡眠誘発剤や、筋ジストロフィー治療薬で、すでに芽が出そうだと言います。 是非、取材に行きたい!!って、さすがに無理か・・・。
で、写真は近所のラーメン屋さんで撮影。最近、モノトーンの写真ばかりだったので、明るめなものなんかないかなあ~、と考えていたら、あったよ、ありましたよ。目の前に。水の入ったコップ。ピンクのテーブルの上で、白熱灯の光をほのかに浴びて意外にきれい!!日常にうもれた「美」を再発見。ちと、大げさでしょうか?失礼。
Posted on 6月 6th, 2010 by IDAKA
糖尿病治療のインクレチン関連薬が続々と登場、数年後、治療トレンドは大きく変化していることでしょう。DPP4阻害薬には近く武田薬品が参入、全部で3成分4品目となります。一方、GLP1アナログもノボノルディスクが近く第一号製品を発売します。すでに、使用上の注意の改訂で指摘されている他剤との併用には十分な注意が必要です。
ところで、SU剤については「使いすぎると、膵臓のベータ細胞が疲弊してしまう」という仮説があります。しかし、関西電力病院の清野裕先生は、この仮説を疑問視。新たな仮説を打ち出しています。「SU剤を使ってもベータ細胞は疲弊するわけではない。ただ、何らかの理由で、反応しないケースがあるだけ。ところがDPP4阻害薬を与えると、SU剤にもフルドーズで反応し、大量にインスリンを出す。それが、今回の副作用につながったのではないか」というものです。何しろまだ、わからないことだらけです。ましてや、糖尿病治療は多剤併用がほとんどです。慎重な販促活動が求められます。
で、写真は創業50年を超す老舗のラーメン屋さんと、夜空に浮かぶおぼろ月。先日、糖尿病学会で訪れた岡山市街で撮影。何とも言えない風情を醸し出していました。
Posted on 6月 1st, 2010 by IDAKA
サノフィ・アベンティスとの戦略的提携に踏み切った日医工。色んな見方がありましょうが、私は、田村友一社長の英断を高く評価します。大手外資と組むことで国内のプレゼンスは確実に上がるし、海外の販路も視野に入れた活動ができる。その反面、いつ買収されて主導権を失ってもおかしくない薄氷の上を歩くような毎日がのしかかります。それでも、国内ジェネリック(GE)企業上位3社では、初めてのビジネスモデル。このまま政府の後押しが続くかどうかわからないGEビジネスで、他社に先駆けて新たな一歩を踏み出したわけです。主導権や看板などメンツを第一に考えるか。それとも明日の医療を見つめて、そこに貢献できるビジネスを考えるか。田村社長の判断は間違いなく後者ではないでしょうか。ヴィスコンティ監督の古い映画「山猫」に出てくる「変わらずに生き残るためには、自ら変わらなければならない」という言葉を思い出します。沢井製薬、東和薬品は今後、どう動くでしょうか。残された道は、日医工同様、外資と組むか、大手国内新薬メーカーと組むか、それとも同業他社と組むか。いっそのこと、両社で合併するか。選択肢は限られています。
で、写真は恵比寿ガーデンプレイスタワーの地下。ファミリーマートです。ちょっと近未来的。欧州の地下鉄構内みたいです。看板に「ファミマ!!」って書いてあります。いつもながら、文章とは全く関係ありません(笑)
Posted on 5月 31st, 2010 by IDAKA
国内では潜在患者を含めて2000万人を超えるといわれる糖尿病。 いまや世界的にもパンデ
ミック状態です。それを象徴するかのように27~29日、岡山市内で開かれた日本糖尿病学会の学術集会は大盛況。1万人以上の参加者が押し寄せました。内容も時代の節目にふさわしく、新しい診断基準、HbA1c測定値の国際標準化、インクレチン関連薬、大規模臨床試験などなど、最先端のテーマが目白押しでした。ただ、これだけ新しい動きがあると、これまでスタンダードになっていたSU剤、インスリンの使い方に大きな変化が出るはずです。こういう時、発生しやすいのが薬害。最大限の注意が必要です。個人的には、学会で副作用とか、薬剤の切り替え成功例だけを集めたセッションをやって欲しいです。全国の先生方の情報交換になっていいと思うのですが・・・。難しいでしょうか?
で、写真は学会開催地、岡山駅前。旧制第6高校の創立100周年を記念して建立された銅像「青春感謝」です。理屈抜きにカッキィー!!! 側面に「胸に無限の覇気あらば 守れ不屈の意気の香を」と刻まれています。忘れかけてたバンカラ精神を思い起こしました。
Posted on 5月 27th, 2010 by IDAKA
製薬協の長谷川新会長が先日の記者会見で、おっしゃっていました。いま製薬産業が世界的に直面している「技術革新の壁」はワクチン、抗体、RNA干渉技術応用医薬などによって、「いつか必ず崩せる」と。いまは低分子薬が市場の9割以上を占めていますが、今後、徐々に高分子薬に置き換わる。それによって、製薬産業は再び活気付くという見立てです。しかし、問題は価格です。高分子薬はどれも高い。少子高齢化、医療費財政窮迫の中で、いつまでも「良い薬なんだから価格が高くて当然」という論理を振りかざしているだけなら、日本のリーディング産業にはなれないでしょう。どうやってコスト効率を高めるか、あるいは医療保険の仕組みを変えるか。難問に本気で向き合う時が来ています。
で、写真は新宿駅西口付近。赤、紺、緑、黄、白。意識したわけではないのでしょうが、看板の色の組み合わせが図らずも、いい感じにハモっています。私が油絵画家ならこれをモチーフに筆をとるんですが、残念ながら、そういう高尚な趣味も腕もありません。
Posted on 5月 18th, 2010 by IDAKA
先週から今週にかけ国内製薬業界に、大きな動きがありました。まず業界トップの武田薬品。3年前に公表した中期経営計画がまだ後、一年残っているにもかかわらず、仕切り直して、10年度からスタートする12年度までの新たな3か計画を策定。しかも、医療用医薬品の最終年度売上目標を、前回計画の最終目標(10年度)より約700億円j低い1兆3300億円と見積もりました。さらに、ああでもないこでもないと、憶測記事が飛び交っていたアステラス製薬の米OSIの買収にようやく目途が立ちました。そして前回触れた第一三共のトップ交代。加えて明日以降、製薬協の会長交代、日薬連の会長交代が続きます。
評価はさまざまですが、こういう変化が、製薬産業の発展、ひいては国民、患者が享受するよりよい医療の実現につながることを切に期待します。
本日は医薬品企業法務研究会の月例会で講演させていただきました。製薬企業の法務担当者の方々の前で講演するのははじめてでしたが、全部で2時間。脳味噌にあることを、つたない言葉で、ぶちまけました。にもかかわらず、みなさん本当に真剣に最後まで聞いてくださり、とてもありがたく思いました。機会を与えてくださった、みなさまに深く感謝いたします。
で、写真はNYにある生活環境デザイン企業SICIS(シチス)のショールーム。http://www.sicis.com/日本人の私にとっては、全く不慣れで、むせかえるくらいゴージャスなデザインですが、欧米ではひそかにヒットしているようです。イタリアが起源の会社。今年、日本にも上陸したみたいです。今度時間がある時、日本のショールームに行くつもりです。
Posted on 5月 14th, 2010 by IDAKA
第一三共のトップ交代は、ちょっと驚きでした。白羽の矢が立ったのは、ダークホース。現副社長執行役員の中山譲治氏だったからです。取締役4人を置いて、執行役員から一足飛びに代表取締役に就任することになります。中山新社長はサントリー出身で、同社が旧第一製薬に医薬品事業を徐々に委ねていくのと軌を一にして、軸足をサントリーから、第一製薬に移し、03年6月、第一製薬の取締役になります。その後、第一三共になってからは、ずっと執行役員でした。現取締役に、次期社長と噂される方がいないわけではなかったので、私にとってはサプライズでありました。この時期、旧三共出身でもない、旧第一出身でもない中山氏が社長に就任する人事には、何やら“庄田コード”のような暗号を感じますが、とても新鮮です。中山新社長は会見で、今後の経営方針を「医薬品事業とシナジー効果がある多角化」という言葉で説明されました。ここにも新たな時代の到来を感じます。
7、80年代。製薬産業が国民皆保険や、薬価基準に守られ、護送船団方式で、のんびりと成長を続けていた頃、各社の事業は新薬だけでなく、OTC、健康食品、飲料など様々な領域に手を広げる“多角化”が当たり前でありました。このとき、サントリーはじめとする異業種が、医薬品産業にうまみを感じ取り、どっと参入しようとします。しかし、90年代に入って、医薬品取引に建値制が導入され、外資系企業が自販体制を構築、国内製薬企業各社も「選択と集中」を合言葉に、新薬に経営資源を重点投入し、そのほかの事業は売却あるいは撤退、縮小する傾向が続きます。同時に医薬品産業に熱い視線を注いでいた異業種も、蜘蛛の子を散らすようにどっかにいってしまいました。それ以来、“多角化”は製薬業界で、一種、封印された言葉でもありました。しかし、今回、中山新社長がどうどうと“多角化”の封印を解きました。はてさて、この先に、どんな新しいビジネスモデルが待っているのか。中山新社長が、多角化全盛時代に、こぞって医薬品産業に参入した異業種出身であるという点に、何かヒントがありそうです。会見後、「製薬企業のビジネスモデルはもうすべて出尽くした感じがしますが」と聞くと、中山新社長は「いや、まだ(新しいのが)ある」と自信たっぷりでした。
で、写真はギリシャ・・・・・・・。というのは当然ジョークです^^; 恵比寿ガーデンプレイスの中庭。がんばって欧州している、いくつかの東京スポットのなかでも、結構、いい線いっていると思いますが、どうでしょう?
Posted on 5月 10th, 2010 by IDAKA
いくらGNP(国民総生産)が増えても、GDP(国内総生産)が増えないと日本の景気は良くならならないんですよね。「何言ってんだ。いまさら」と言われてしまいそうですが、学生時代遊び過ぎたもんで・・。最近、経済学に関する本を何冊か読んでしみじみ再認識いたしました。で、欧米の大手製薬j企業はインドなど新興国で、原材料を調達したり、実際に製造を任せたりして、ギリギリのコスト抑制を進めています。そういう状況を指して「日本の製薬企業は遅れている。欧米にならって新興国をもっと活用すべき」という主張が強まっております。実際、いくつかの国内企業は、具体的に動き出してもいます。でも、新興国を活用すると、GNPは膨らんでも、GDPは逆に縮小し、日本全体の景気を考えると、決していいことではないんですよね。とはいえ、そうしないと、欧米の大手製薬企業との競争に勝てない。だからと言って簡単に「ビジネスだから」と割り切ってほしくない。さらに欧米企業にむざむざと負けてほしくないとも思います。日本の製薬企業の首脳陣は、このジレンマをどう乗り切るのか。期待感をもって見つめ続けたい。もちちん、私自身も思案を重ねながら・・。
で、写真は、先日、恵比寿の東京都写真美術館で観たジャンルー・シーフhttp://syabi.com/contents/exhibition/index-22.htmlの写真展ポスター。本当は表参道でやっているレスリー・キーhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%BCの写真展に行くはずだったんですが、開催期間を誤り、既に終わっていました。で、急きょ、予定を変更して、まったく知らなかったジャンルーの写真展を観たんですが、これが大当たり!!!色々、インスピレーションをいただきました。
Posted on 5月 6th, 2010 by IDAKA
ゴールデンウィーク明けから、製薬企業各社の決算発表がピークを迎えます。はてさて、今回の決算数値は、果たして、どんな枝ぶりになっていることやら。各社数値を集計して、分析記事を書く時、一番、安易で楽なのは「新薬の有無で、明暗を分けた」と言う奴。これを使えば、10年前でも、今でも、そして20年先でも間違いにはならないでしょう。しかし、何か言っているようで、その実何も言っていない。私自身は、さすがに、やりません。
で、写真は数年前NYで撮ったアルパチーノ。地下鉄128st駅の高架線下で、ロケをやっているのに偶然遭遇。夢中でデジカメのシャッターを押しました。チェスをやっているシーン。かなりガードがきびしかたんですが、日本で培った持ち前の記者根性、あるいはパパラッチ根性で警戒線をかいくぐって、何枚も撮りました。しかし、案の定、興奮してて大概の写真は思いっきり手ぶれしていました。(笑)ところで、この映画。どうもまだ日本では公開されていないようです。情報お持ちの方、お知らせくださーい。